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第154話【買い物デート④】
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「わかりました。
では準備しますので少しお待ちください」
店員はそう言って奥の在庫管理の者に購入した品物の準備をお願いする。
「これを買ったら工房に戻る前に食事をしていこうか。
多分ドットさんも魔力切れで休んでいると思うからそのくらいの時間はあるだろう」
「本当ですか? 嬉しいです」
僕の提案にノエルは素直に嬉しそうな表情で笑う。
「商品の準備が出来ましたが本当に窓口でのお渡しで大丈夫なのですか?」
そう言う受付嬢の前のカウンターには薬のケースが山積みとなっていた。
「ああ、結構な量になるんですね。
まあ普通に大丈夫ですけど……」
僕はその薬が入った箱に手をあててスキルを使った。
「カード収納」
薬の種類別に入れられている箱ごとカード化して念のために鑑定スキルで内容の間違いがないかを確認してからポーチへ仕舞い込んだ。
「えっ!?
今のは何をされたのですか?」
突然目の前にあった薬箱が消えたのを目の当たりにして受付嬢が目を丸くして僕に聞いてくる。
「カード収納ですよ。
結構マイナーなスキルですけどこの辺りでも使える人はいると思いますよ。
せっかく授けられたスキルを使わないのはもったいないですし神様にも失礼ですよね」
この辺りでもカード収納スキルは不遇スキルであることは当然知っていたがあえてそう答えた。
「そ、そうですわね。
これだけの荷物をカード化出来るのであれば馬車は必要なかったですね。
お買い上げありがとうございました」
店員は不遇スキルも神様からの祝福であることを指摘されて少々バツの悪い表情を見せながらも丁寧にお辞儀をして購入のお礼を言った。
「では、これで……」
僕はそれ以上言うこともなくノエルと一緒に店を出た。
「やはりこの街でもスキルの優劣の認識が強いのですね」
「まあ、当然というか仕方がないだろうね。
カード収納スキルなんてレベルが低いうちは本当に役に立たないスキルだしレベルアップの訓練も地味すぎてどれだけやれば良いかも分からなければもう一つのスキルに力を注ぐのもうなずけるよ」
「そうなんですけどミナトさんのスキルを見ればどれだけ有能なスキルなのかは一目瞭然だと思うのですけどね」
ノエルは店員の態度を残念に思い自らの考えを僕に話してくれる。
「怒ってくれるのは嬉しいけれどまだまだカード収納スキルの有用性が示されていないんだから評価が低いのは無理もないんじゃないかな?
僕に出来ることはスキルの有用性を示しながらタイミングが合えば他人にも効率のいいレベリング方法を教えるくらいしかないけどそれも楽しいかもしれないよ」
「そうですね。
ナムルさんたちも今では各要所の要になってますからそういった人たちを増やしていけば世の中の認識も変わるのでしょうね」
「じゃあ、せっかくのデートなので美味しいものでも食べて帰ろうか」
少しばかり暗い話になったので僕は雰囲気を切り替えるべくノエルにそう提案をして彼女の手をとった。
「ふふふ。いいですね」
手を握られたノエルは笑顔でそう答えて僕と横並びで歩く。
「しまったな。
シェリルさんに良いお店を聞いておけば良かったよ」
当てずっぽうで食堂に入るのも旅の楽しみのひとつではあるが、せっかくのふたりのデートなのでハズレは引きたくなかったので考えた末に先に工房へ帰ることにした。
「――戻りました。
ドットさんはどんな調子ですか?」
おそらく魔力切れで倒れてるか少なくとも休んでいると思って確認しに行くとそこでは必死の形相で収納と開放を繰り返す彼の姿があった。
「あれからこの時間まで繰り返せる魔力が残ってたんですか?」
僕が驚いた様子でドットに尋ねると彼はそっとテーブルの横を指差しながら続けた。
そこには薬の瓶が複数本空の状態で置かれており彼が飲んだのだろうと推測をする。
「これは、魔力回復薬ですか?」
「ええ、そうです。
スキルを繰り返して使うと魔力が減って頭痛がしてくるのでちょいちょい回復しながら試していたのです」
「なんて贅沢な使い方を……。
それでレベルは上がりましたか?」
「はい。
始めて少しでレベル2になりましたのでどうしてもレベル3にしたくてずっと繰り返してました」
「なるほど。
しかし、そのやる気は買いますが効率を良くしないとレベリングは捗らないですよ」
「効率良くと言われても一体どうすれば……」
ドットの困惑した態度に僕はため息をついてレベル3への道筋を丁寧に教える。
「いいですか?
早くレベルアップをしたいのはよくわかりますが薬を多接種して無理をするのは体に負担がかかりすぎますので禁止です。
今教えた方法を毎日10回繰り返していれば少なくとも1ヶ月もかからずにレベル3になれるはずですのでまずは慌てずにスキルを体に馴染ませるようにレベリングをしてください」
僕がそう諭すとドットは素直に非を認めてうなずいた。
「良かった。わかってくれて嬉しいです。
無理なレベリングで体を壊しては意味がありませんからね。
ところで話しは変わりますがこの辺りに美味しいデザートを出すお店はありませんか?」
「美味しいデザートですか?
それならばこの先の角を左に曲がって5軒目の食事処がドライフルーツを多く使ったものを出すことで有名ですよ。
あそこはお持ち帰りも出来ますのであなたならばカード化して持ち帰れば良いかと思いますよ」
それから貴重な情報をもらった僕たちはドットにお礼を言い、レベル3になったら開けるようにと伝えて手紙を渡してからお目当ての食事処へ向かった。
「食べてみて美味しかったら持ち帰りも頼みましょうね」
すでに今食べるものに加えて持ち帰りをどれにするかをメニューとにらめっこしながら幸せそうに選ぶノエルを微笑ましく見ながら僕も注文をした。
結局のところ、このお店でも爆買いをすることになり一部の商店ではカード収納持ちの若い二人組の爆買いが暫くのあいだ話のネタの上位を占めることになった。
では準備しますので少しお待ちください」
店員はそう言って奥の在庫管理の者に購入した品物の準備をお願いする。
「これを買ったら工房に戻る前に食事をしていこうか。
多分ドットさんも魔力切れで休んでいると思うからそのくらいの時間はあるだろう」
「本当ですか? 嬉しいです」
僕の提案にノエルは素直に嬉しそうな表情で笑う。
「商品の準備が出来ましたが本当に窓口でのお渡しで大丈夫なのですか?」
そう言う受付嬢の前のカウンターには薬のケースが山積みとなっていた。
「ああ、結構な量になるんですね。
まあ普通に大丈夫ですけど……」
僕はその薬が入った箱に手をあててスキルを使った。
「カード収納」
薬の種類別に入れられている箱ごとカード化して念のために鑑定スキルで内容の間違いがないかを確認してからポーチへ仕舞い込んだ。
「えっ!?
今のは何をされたのですか?」
突然目の前にあった薬箱が消えたのを目の当たりにして受付嬢が目を丸くして僕に聞いてくる。
「カード収納ですよ。
結構マイナーなスキルですけどこの辺りでも使える人はいると思いますよ。
せっかく授けられたスキルを使わないのはもったいないですし神様にも失礼ですよね」
この辺りでもカード収納スキルは不遇スキルであることは当然知っていたがあえてそう答えた。
「そ、そうですわね。
これだけの荷物をカード化出来るのであれば馬車は必要なかったですね。
お買い上げありがとうございました」
店員は不遇スキルも神様からの祝福であることを指摘されて少々バツの悪い表情を見せながらも丁寧にお辞儀をして購入のお礼を言った。
「では、これで……」
僕はそれ以上言うこともなくノエルと一緒に店を出た。
「やはりこの街でもスキルの優劣の認識が強いのですね」
「まあ、当然というか仕方がないだろうね。
カード収納スキルなんてレベルが低いうちは本当に役に立たないスキルだしレベルアップの訓練も地味すぎてどれだけやれば良いかも分からなければもう一つのスキルに力を注ぐのもうなずけるよ」
「そうなんですけどミナトさんのスキルを見ればどれだけ有能なスキルなのかは一目瞭然だと思うのですけどね」
ノエルは店員の態度を残念に思い自らの考えを僕に話してくれる。
「怒ってくれるのは嬉しいけれどまだまだカード収納スキルの有用性が示されていないんだから評価が低いのは無理もないんじゃないかな?
僕に出来ることはスキルの有用性を示しながらタイミングが合えば他人にも効率のいいレベリング方法を教えるくらいしかないけどそれも楽しいかもしれないよ」
「そうですね。
ナムルさんたちも今では各要所の要になってますからそういった人たちを増やしていけば世の中の認識も変わるのでしょうね」
「じゃあ、せっかくのデートなので美味しいものでも食べて帰ろうか」
少しばかり暗い話になったので僕は雰囲気を切り替えるべくノエルにそう提案をして彼女の手をとった。
「ふふふ。いいですね」
手を握られたノエルは笑顔でそう答えて僕と横並びで歩く。
「しまったな。
シェリルさんに良いお店を聞いておけば良かったよ」
当てずっぽうで食堂に入るのも旅の楽しみのひとつではあるが、せっかくのふたりのデートなのでハズレは引きたくなかったので考えた末に先に工房へ帰ることにした。
「――戻りました。
ドットさんはどんな調子ですか?」
おそらく魔力切れで倒れてるか少なくとも休んでいると思って確認しに行くとそこでは必死の形相で収納と開放を繰り返す彼の姿があった。
「あれからこの時間まで繰り返せる魔力が残ってたんですか?」
僕が驚いた様子でドットに尋ねると彼はそっとテーブルの横を指差しながら続けた。
そこには薬の瓶が複数本空の状態で置かれており彼が飲んだのだろうと推測をする。
「これは、魔力回復薬ですか?」
「ええ、そうです。
スキルを繰り返して使うと魔力が減って頭痛がしてくるのでちょいちょい回復しながら試していたのです」
「なんて贅沢な使い方を……。
それでレベルは上がりましたか?」
「はい。
始めて少しでレベル2になりましたのでどうしてもレベル3にしたくてずっと繰り返してました」
「なるほど。
しかし、そのやる気は買いますが効率を良くしないとレベリングは捗らないですよ」
「効率良くと言われても一体どうすれば……」
ドットの困惑した態度に僕はため息をついてレベル3への道筋を丁寧に教える。
「いいですか?
早くレベルアップをしたいのはよくわかりますが薬を多接種して無理をするのは体に負担がかかりすぎますので禁止です。
今教えた方法を毎日10回繰り返していれば少なくとも1ヶ月もかからずにレベル3になれるはずですのでまずは慌てずにスキルを体に馴染ませるようにレベリングをしてください」
僕がそう諭すとドットは素直に非を認めてうなずいた。
「良かった。わかってくれて嬉しいです。
無理なレベリングで体を壊しては意味がありませんからね。
ところで話しは変わりますがこの辺りに美味しいデザートを出すお店はありませんか?」
「美味しいデザートですか?
それならばこの先の角を左に曲がって5軒目の食事処がドライフルーツを多く使ったものを出すことで有名ですよ。
あそこはお持ち帰りも出来ますのであなたならばカード化して持ち帰れば良いかと思いますよ」
それから貴重な情報をもらった僕たちはドットにお礼を言い、レベル3になったら開けるようにと伝えて手紙を渡してからお目当ての食事処へ向かった。
「食べてみて美味しかったら持ち帰りも頼みましょうね」
すでに今食べるものに加えて持ち帰りをどれにするかをメニューとにらめっこしながら幸せそうに選ぶノエルを微笑ましく見ながら僕も注文をした。
結局のところ、このお店でも爆買いをすることになり一部の商店ではカード収納持ちの若い二人組の爆買いが暫くのあいだ話のネタの上位を占めることになった。
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