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第127話【王都商業ギルド】
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「みんな、お疲れ様だったね。
今回もこうして無事に王都まで来れたことに感謝すると共に商売の成功を祈ろう」
無事に検問も通り抜けた商隊のメンバーはほっとした表情で門を通り抜ける。
「帯同させてくれてありがとうございました。
荷物の方はどこに運べばいいですか?」
僕は商隊のリーダーに荷物の置き場を聞いてまずはそこへと向かう。
「とりあえずこの倉庫に置いてくれ。
仕分けはこちらでやるから適度に置いてくれればいいぞ」
「え?
仕分けはもう出来てますから品物別に並べておきますね。
あ、これは内容のリストになりますので確認をお願いします。
このたびは旅の随行をありがとうございました。
では、また縁があればお会いしましょう」
僕は品物のリストを片手にあ然とする商人にお礼を言ってさっさとみんなのもとへ走って行った。
「すみません、お待たせしました。
では商業ギルドへ向かいましょうか」
僕が馬車へ戻るとマリアーナはうなずいて馬車を進ませる。
「僕たちは王都の商業ギルドは初めてですのでゾラさんが中心になって対応をお願いしますね」
「……ああ、任せておけ」
ゾラは今まで見せていたようなだらけた態度とは正反対の真面目な対応をしたので僕も気を引き締めた。
「……ここのようですね。
私は馬車を停めてきますが先に入られて受付をされてもいいですよ。
依頼の話が始まるまでには合流できると思いますので」
「わかりました。
では先に受付だけ済ませておきますね」
マリアーナはうなずくと馬車を停める専用の建物へと馬車を進めた。
「じゃあゾラさん案内をお願いしますね」
「ああ、こっちだ」
あいかわらず口数は少ないがふてくされたような表情ではなくいたって真面目な顔をするゾラに違和感を感じながらも黙ってついていく。
「――すまないが、ルルベはいるか?」
「あら、ゾラさんじゃないですか。
いつ王都へ戻られたのですか?」
「ついさっきだ。
それよりもルルベは居るか?」
「ルルベは居ますが何か急ぎの用事ですか?」
「ああ、ちょっと相談があるんだ」
「ゾラさんが相談ねぇ。
まあ、そのお連れさんが主な依頼主なのかもしれませんけどね。
どうしようかな?」
「なんだ?
なにかあるのか?」
ゾラは受付の女性の態度が煮えきらないのを疑問に思いながらも詳しく聞くと、ちょうど打ち合わせで席を外しているそうだった。
「それでいつごろ終わる?」
「おそらくもう1時間くらいだと思います」
「分かった。
もう少し時間がたってから顔を出すようにするから頼みがあると伝えて待っていてもらってくれ」
「……ずいぶん一方的な要求なのね。
まあ、そっちの男性が依頼主ならば断るのはかわいそうだから話は伝えておきますよ」
受付の女性はそう言うとなにかメモを書いて側にいた他の女性に渡して指示をしていた。
「とりあえず併設の酒場で待っているからな」
ゾラは彼女にそう伝えるとすたすたと隣の酒場の椅子にもたれ掛かるように座り飲み物を注文した。
「俺はエールをもらうがあんたも自分のものは自分でたのむんだな」
ゾラの言葉に僕は少し考えてから「紅茶をお願いします」と言って側にあった椅子に座った。
「――あら、もう受付は済んだのですか?」
飲み物の注文が終わった頃にマリアーナが馬車を停めて酒場に現れた。
「いえ、一応受付には行ったのですがゾラさんの知り合いの方が他の人の対応中で不在だったんです。
それで、その人が空くまでこうして飲み物でも飲みながら待とうかとなったんですよ」
「そうですか。
では、私もなにか頼むとしますね」
マリアーナはそう言ってウエイトレスを呼んでから飲み物の注文をした。
「しかし、交渉前にお酒とか少しは控えたほうが良いのではないですか?」
僕はゾラが頼んだエールを飲むのを見ながらそう苦言を伝える。
「はん、エールなんざ酒の中に入らねえよ。
こんなのいくら飲んだって全く酔いやしないぜ」
「――ほう。私との話の前に酒を飲むとはいい度胸をしているじゃないかゾラ」
僕の苦言など全く寝耳に水状態のゾラだったが突然かけられた言葉に彼の表情が凍りついた。
「ル、ルルベ。
いったいいつからそこに居た!?」
「久しぶりに王都へ戻ってきたのを聞きましたので急いで用事を終わらせて来たのですが、そのような状態ではまともな話は出来そうもありませんね」
そこに現れたのは30代に見えるキッチリとした服装の女性だった。
「い、いや。すまねぇ。
久しぶりにこっちに来たんで気持ちが緩んでいたようだ」
ゾラは慌てて手にしたエールのジョッキを机に置いてルルベに言い訳じみた謝罪を口にする。
「ふーん。
それで私に急用があるそうだけどどんな話なの?
つまらない用件だったら引き上げるからね」
ふたりがどういった関係かはわからないがどうやらゾラよりもルルベの方が力関係上は上のように感じたので彼女の方に話しかけてみた。
「すみません。
僕たちがゾラさんに頼んで商業ギルドに連れてきてもらったんです。
ちょっと特殊な事情かあってどうしてもある方に魔道具を作って頂きたかったのですが知り合いが彼しかおらず無理を言って来てもらったんです」
「へえ、あんたの知り合いにしてはきちんとした物言いが出来る兄さんじゃないか。
特殊なって事はあまり人に聞かせたくない話もあるんでしょう?
いいわ、私が聞いてあげるからそこの第二応接室で待ってなさい」
ゾラか交渉をするまでもなくルルベは僕の話を素直に聞いてくれると言った。
「この方がゾラさんが相談しようとしていた方ですよね?」
「ああ」
「わかりました。
ではお願いします」
僕はそう答えるとマリアーナやゾラと一緒に応接室で待つことになった。
「紅茶をどうぞ」
部屋に入った僕たちがお客様用のソファに座ると職員の女性が紅茶を淹れたカップを僕たちの前のテーブルに置いていく。
「ありがとうございます」
僕が彼女にお礼を言うと軽くお辞儀をして奥の部屋へと入って行った。
今回もこうして無事に王都まで来れたことに感謝すると共に商売の成功を祈ろう」
無事に検問も通り抜けた商隊のメンバーはほっとした表情で門を通り抜ける。
「帯同させてくれてありがとうございました。
荷物の方はどこに運べばいいですか?」
僕は商隊のリーダーに荷物の置き場を聞いてまずはそこへと向かう。
「とりあえずこの倉庫に置いてくれ。
仕分けはこちらでやるから適度に置いてくれればいいぞ」
「え?
仕分けはもう出来てますから品物別に並べておきますね。
あ、これは内容のリストになりますので確認をお願いします。
このたびは旅の随行をありがとうございました。
では、また縁があればお会いしましょう」
僕は品物のリストを片手にあ然とする商人にお礼を言ってさっさとみんなのもとへ走って行った。
「すみません、お待たせしました。
では商業ギルドへ向かいましょうか」
僕が馬車へ戻るとマリアーナはうなずいて馬車を進ませる。
「僕たちは王都の商業ギルドは初めてですのでゾラさんが中心になって対応をお願いしますね」
「……ああ、任せておけ」
ゾラは今まで見せていたようなだらけた態度とは正反対の真面目な対応をしたので僕も気を引き締めた。
「……ここのようですね。
私は馬車を停めてきますが先に入られて受付をされてもいいですよ。
依頼の話が始まるまでには合流できると思いますので」
「わかりました。
では先に受付だけ済ませておきますね」
マリアーナはうなずくと馬車を停める専用の建物へと馬車を進めた。
「じゃあゾラさん案内をお願いしますね」
「ああ、こっちだ」
あいかわらず口数は少ないがふてくされたような表情ではなくいたって真面目な顔をするゾラに違和感を感じながらも黙ってついていく。
「――すまないが、ルルベはいるか?」
「あら、ゾラさんじゃないですか。
いつ王都へ戻られたのですか?」
「ついさっきだ。
それよりもルルベは居るか?」
「ルルベは居ますが何か急ぎの用事ですか?」
「ああ、ちょっと相談があるんだ」
「ゾラさんが相談ねぇ。
まあ、そのお連れさんが主な依頼主なのかもしれませんけどね。
どうしようかな?」
「なんだ?
なにかあるのか?」
ゾラは受付の女性の態度が煮えきらないのを疑問に思いながらも詳しく聞くと、ちょうど打ち合わせで席を外しているそうだった。
「それでいつごろ終わる?」
「おそらくもう1時間くらいだと思います」
「分かった。
もう少し時間がたってから顔を出すようにするから頼みがあると伝えて待っていてもらってくれ」
「……ずいぶん一方的な要求なのね。
まあ、そっちの男性が依頼主ならば断るのはかわいそうだから話は伝えておきますよ」
受付の女性はそう言うとなにかメモを書いて側にいた他の女性に渡して指示をしていた。
「とりあえず併設の酒場で待っているからな」
ゾラは彼女にそう伝えるとすたすたと隣の酒場の椅子にもたれ掛かるように座り飲み物を注文した。
「俺はエールをもらうがあんたも自分のものは自分でたのむんだな」
ゾラの言葉に僕は少し考えてから「紅茶をお願いします」と言って側にあった椅子に座った。
「――あら、もう受付は済んだのですか?」
飲み物の注文が終わった頃にマリアーナが馬車を停めて酒場に現れた。
「いえ、一応受付には行ったのですがゾラさんの知り合いの方が他の人の対応中で不在だったんです。
それで、その人が空くまでこうして飲み物でも飲みながら待とうかとなったんですよ」
「そうですか。
では、私もなにか頼むとしますね」
マリアーナはそう言ってウエイトレスを呼んでから飲み物の注文をした。
「しかし、交渉前にお酒とか少しは控えたほうが良いのではないですか?」
僕はゾラが頼んだエールを飲むのを見ながらそう苦言を伝える。
「はん、エールなんざ酒の中に入らねえよ。
こんなのいくら飲んだって全く酔いやしないぜ」
「――ほう。私との話の前に酒を飲むとはいい度胸をしているじゃないかゾラ」
僕の苦言など全く寝耳に水状態のゾラだったが突然かけられた言葉に彼の表情が凍りついた。
「ル、ルルベ。
いったいいつからそこに居た!?」
「久しぶりに王都へ戻ってきたのを聞きましたので急いで用事を終わらせて来たのですが、そのような状態ではまともな話は出来そうもありませんね」
そこに現れたのは30代に見えるキッチリとした服装の女性だった。
「い、いや。すまねぇ。
久しぶりにこっちに来たんで気持ちが緩んでいたようだ」
ゾラは慌てて手にしたエールのジョッキを机に置いてルルベに言い訳じみた謝罪を口にする。
「ふーん。
それで私に急用があるそうだけどどんな話なの?
つまらない用件だったら引き上げるからね」
ふたりがどういった関係かはわからないがどうやらゾラよりもルルベの方が力関係上は上のように感じたので彼女の方に話しかけてみた。
「すみません。
僕たちがゾラさんに頼んで商業ギルドに連れてきてもらったんです。
ちょっと特殊な事情かあってどうしてもある方に魔道具を作って頂きたかったのですが知り合いが彼しかおらず無理を言って来てもらったんです」
「へえ、あんたの知り合いにしてはきちんとした物言いが出来る兄さんじゃないか。
特殊なって事はあまり人に聞かせたくない話もあるんでしょう?
いいわ、私が聞いてあげるからそこの第二応接室で待ってなさい」
ゾラか交渉をするまでもなくルルベは僕の話を素直に聞いてくれると言った。
「この方がゾラさんが相談しようとしていた方ですよね?」
「ああ」
「わかりました。
ではお願いします」
僕はそう答えるとマリアーナやゾラと一緒に応接室で待つことになった。
「紅茶をどうぞ」
部屋に入った僕たちがお客様用のソファに座ると職員の女性が紅茶を淹れたカップを僕たちの前のテーブルに置いていく。
「ありがとうございます」
僕が彼女にお礼を言うと軽くお辞儀をして奥の部屋へと入って行った。
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