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第125話【王都への道③】
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不寝番を始めて数時間ほど経過したころ、僕は眠気覚ましに紅茶を飲みながら周りを見ると馬車ごとに一人程度の不寝番が同じように焚き火をして過ごしているのがみえた。
(特に問題は起きないかもしれないな。
まあ、商隊の規模を考えれば自ずと護衛の人数も分かるだろうし数十人の盗賊がこんな主要街道をうろついていたらすぐに討伐隊が組まれるだろう)
そう考えながらふとゾラが仕掛けた魔道具のことが気になり彼が設置した場所へ行ってみた。
「コイツか……。
どう見てもただの円柱状の置物にしか見えないが多分こちらと反対側に何かが通るとセンサーが働いて光と音を発するんだろう」
僕は原理を知りたくなり思わずそれに触ってしまった。
――ピカッ
「うわっ!?
カード収納」
それを手にした瞬間、光を放ちだしたので僕は慌ててカード化して動作の無効化を試みる。
「うわっ?
びっくりしたな。
これ、カード化がもう少し遅れていたらとんでもない音量で警告音が鳴っていたんじゃないか?」
不用意に触れたことにより危険が迫っているわけではない状態で大音量の警告音が鳴り響いたら相当に面倒なことになるのは目に見えていたので僕は冷や汗をかきながらもホッとした。
「あぶなかったな。
とりあえず他の魔道具は触らないようにしておこう」
僕はそう考えながら手の中にあるカードの詳細を見ながらため息をついて焚き火の側に戻るとあることを思いついてしまった。
(せっかくゾラをカード化したのだから鑑定をすれば何か分かることがあるかもしれない)
そう考えた僕は途中で起こすのは悪いと思いながらもギリギリ夜が明ける前にマリアーナを起こして詳細鑑定を依頼した。
「結局ゾラさんをカード化してしまったの?」
鑑定の依頼をしてもらうためにゾラをカード化したことを聞いたマリアーナは開口一番にそういってため息をついた。
「彼をカード化したのはあなたを守るためでもあるんですよ」
「わたしを?」
「ええ、彼はあなたが馬車で休むのを見て自分も一緒に寝ると言ってあなたのもとへ行こうとしていたんです。
だからこうしてカード化して行くのを阻止したんです」
「そんなこと、別にしなくても大丈夫だったのに」
僕の説明にマリアーナはなんでもなかったように答えた。
「そんなこと……ってマリアーナさん、今のあなたは見た目は女性なんですから彼が万が一間違いを犯した場合、いろいろと問題になるんですよ。
そのことをもっと自覚してください」
僕の言葉にマリアーナは「ああ、そうだったわね。ごめんなさい」と素直に謝った。
「もう良いですからこのカードを詳細鑑定してもらえますか?」
「それは良いけれど彼のどんなことを知りたいの?
確定事項でなければ知ることは出来ないから当然だけど『彼が今なにを考えているか』とかは無理ですからね」
「それは分かっていますよ。
僕が知りたいのは彼が本当に『ドウマ村の人間か』と『村長の息子なのか』のふたつなんですから」
「彼の話を信じていないの?」
「一応は信じることにして行動を共にしてますけど、もしかしたらただ単に追い出された逆恨みに復讐をしたいだけかもしれないし、僕たちを利用して村に戻る算段をしているかもしれない。
まだ彼は完全に信じるには値しないんですよ。
ですが、もし今言った2つの事が間違いなければもう少し信用してもいいかと思っています」
「そんなものなの?
まあいいわ、じゃあ鑑定してみるわね。
詳細鑑定――彼の出身地と生まれについて」
マリアーナはカードを手に持ちスキルを使う。
「どうです?」
「……間違いないみたいね。
彼の出身はドウマ村で彼の生まれは村長の家と出たわ」
「そうですか。
ありがとうございます。
では、そろそろ彼をカードから開放してあげないといけません」
「どうするんですか?」
「それですが、マリアーナさんには申し訳ないですけどもう一度馬車で休んでもらっていいですか?
その後、彼を反対側の椅子にて開放します。
おそらくあなたの寝ているところを覗き込むような体制になるかと思いますのであなたは、たったいま目を覚ましたかのようにふるまってびっくりしてください。
おそらく彼は何が起きたか分からないと思いますのであなたは彼に何をしているのかを聞いてくれれば彼は慌てて馬車から飛び出すことでしょう。
その後はなんとなくうやむやにすればいいかと思います」
僕のとんてもない提案に呆れた顔をしながら「分かったわ」と返事をしたマリアーナは言われるままに馬車へと乗り込み僕の行動を待った。
「それじゃあ悪いけど弱みをつくらせてもらうよ。
超開放」
僕はゾラのカードをマリアーナと反対側の椅子に置くと超開放モードで彼から死角になる場所から彼を開放した。
「いったいなんだっ……。
あれ? 俺はどうしてここに?」
馬車の後ろを見ていたはずのゾラはいきなり目の前にマリアーナが寝ているのを見て必死に自分の記憶をさかのぼって考え込んだ。
「なんだかよくわからないが結局馬車で休んだんだったかな?
記憶がハッキリしないがそれよりも美人の若い娘が目の前に寝ているとくればやることはひとつだよな」
ゾラはそうつぶやいてそっとマリアーナの身体に手を伸ばした。
「あら、おはようございます。お早いお目覚めなのですね」
ゾラの手がマリアーナに届きそうになるタイミングで彼女は目を開けて彼に挨拶をした。
「ゔぐっ、いやお早いお目覚めですね。
俺もいま起きたばかりでしてそろそろ起こしてあげようかと思っていたんですよ」
ゾラはいきなり起きたマリアーナにかなり苦しい言い訳をする。
「そうでしたか。
それはありがとうございます。
今日一日進めば王都に着くでしょうからゾラさんのお力をお借りすることになりますね」
マリアーナがにっこりと微笑んでそう言うとゾラは冷や汗をかきながら「お、おう。任せておけ。王都には頼りになる知り合いが居るからなんとかしてやるさ」と言って誤魔化しながら馬車から降りていった。
「あ、ゾラさんおはようございます。
朝食の準備が出来てますのでどうぞ。
それとゾラさんが昨夜設置していた魔道具のひとつをちょっと蹴飛ばしてしまいまして……。
そうしたら光が出てきたのでカード化して止めさせてもらいました」
僕はそう言ってカード化した魔道具をゾラに渡した。
(特に問題は起きないかもしれないな。
まあ、商隊の規模を考えれば自ずと護衛の人数も分かるだろうし数十人の盗賊がこんな主要街道をうろついていたらすぐに討伐隊が組まれるだろう)
そう考えながらふとゾラが仕掛けた魔道具のことが気になり彼が設置した場所へ行ってみた。
「コイツか……。
どう見てもただの円柱状の置物にしか見えないが多分こちらと反対側に何かが通るとセンサーが働いて光と音を発するんだろう」
僕は原理を知りたくなり思わずそれに触ってしまった。
――ピカッ
「うわっ!?
カード収納」
それを手にした瞬間、光を放ちだしたので僕は慌ててカード化して動作の無効化を試みる。
「うわっ?
びっくりしたな。
これ、カード化がもう少し遅れていたらとんでもない音量で警告音が鳴っていたんじゃないか?」
不用意に触れたことにより危険が迫っているわけではない状態で大音量の警告音が鳴り響いたら相当に面倒なことになるのは目に見えていたので僕は冷や汗をかきながらもホッとした。
「あぶなかったな。
とりあえず他の魔道具は触らないようにしておこう」
僕はそう考えながら手の中にあるカードの詳細を見ながらため息をついて焚き火の側に戻るとあることを思いついてしまった。
(せっかくゾラをカード化したのだから鑑定をすれば何か分かることがあるかもしれない)
そう考えた僕は途中で起こすのは悪いと思いながらもギリギリ夜が明ける前にマリアーナを起こして詳細鑑定を依頼した。
「結局ゾラさんをカード化してしまったの?」
鑑定の依頼をしてもらうためにゾラをカード化したことを聞いたマリアーナは開口一番にそういってため息をついた。
「彼をカード化したのはあなたを守るためでもあるんですよ」
「わたしを?」
「ええ、彼はあなたが馬車で休むのを見て自分も一緒に寝ると言ってあなたのもとへ行こうとしていたんです。
だからこうしてカード化して行くのを阻止したんです」
「そんなこと、別にしなくても大丈夫だったのに」
僕の説明にマリアーナはなんでもなかったように答えた。
「そんなこと……ってマリアーナさん、今のあなたは見た目は女性なんですから彼が万が一間違いを犯した場合、いろいろと問題になるんですよ。
そのことをもっと自覚してください」
僕の言葉にマリアーナは「ああ、そうだったわね。ごめんなさい」と素直に謝った。
「もう良いですからこのカードを詳細鑑定してもらえますか?」
「それは良いけれど彼のどんなことを知りたいの?
確定事項でなければ知ることは出来ないから当然だけど『彼が今なにを考えているか』とかは無理ですからね」
「それは分かっていますよ。
僕が知りたいのは彼が本当に『ドウマ村の人間か』と『村長の息子なのか』のふたつなんですから」
「彼の話を信じていないの?」
「一応は信じることにして行動を共にしてますけど、もしかしたらただ単に追い出された逆恨みに復讐をしたいだけかもしれないし、僕たちを利用して村に戻る算段をしているかもしれない。
まだ彼は完全に信じるには値しないんですよ。
ですが、もし今言った2つの事が間違いなければもう少し信用してもいいかと思っています」
「そんなものなの?
まあいいわ、じゃあ鑑定してみるわね。
詳細鑑定――彼の出身地と生まれについて」
マリアーナはカードを手に持ちスキルを使う。
「どうです?」
「……間違いないみたいね。
彼の出身はドウマ村で彼の生まれは村長の家と出たわ」
「そうですか。
ありがとうございます。
では、そろそろ彼をカードから開放してあげないといけません」
「どうするんですか?」
「それですが、マリアーナさんには申し訳ないですけどもう一度馬車で休んでもらっていいですか?
その後、彼を反対側の椅子にて開放します。
おそらくあなたの寝ているところを覗き込むような体制になるかと思いますのであなたは、たったいま目を覚ましたかのようにふるまってびっくりしてください。
おそらく彼は何が起きたか分からないと思いますのであなたは彼に何をしているのかを聞いてくれれば彼は慌てて馬車から飛び出すことでしょう。
その後はなんとなくうやむやにすればいいかと思います」
僕のとんてもない提案に呆れた顔をしながら「分かったわ」と返事をしたマリアーナは言われるままに馬車へと乗り込み僕の行動を待った。
「それじゃあ悪いけど弱みをつくらせてもらうよ。
超開放」
僕はゾラのカードをマリアーナと反対側の椅子に置くと超開放モードで彼から死角になる場所から彼を開放した。
「いったいなんだっ……。
あれ? 俺はどうしてここに?」
馬車の後ろを見ていたはずのゾラはいきなり目の前にマリアーナが寝ているのを見て必死に自分の記憶をさかのぼって考え込んだ。
「なんだかよくわからないが結局馬車で休んだんだったかな?
記憶がハッキリしないがそれよりも美人の若い娘が目の前に寝ているとくればやることはひとつだよな」
ゾラはそうつぶやいてそっとマリアーナの身体に手を伸ばした。
「あら、おはようございます。お早いお目覚めなのですね」
ゾラの手がマリアーナに届きそうになるタイミングで彼女は目を開けて彼に挨拶をした。
「ゔぐっ、いやお早いお目覚めですね。
俺もいま起きたばかりでしてそろそろ起こしてあげようかと思っていたんですよ」
ゾラはいきなり起きたマリアーナにかなり苦しい言い訳をする。
「そうでしたか。
それはありがとうございます。
今日一日進めば王都に着くでしょうからゾラさんのお力をお借りすることになりますね」
マリアーナがにっこりと微笑んでそう言うとゾラは冷や汗をかきながら「お、おう。任せておけ。王都には頼りになる知り合いが居るからなんとかしてやるさ」と言って誤魔化しながら馬車から降りていった。
「あ、ゾラさんおはようございます。
朝食の準備が出来てますのでどうぞ。
それとゾラさんが昨夜設置していた魔道具のひとつをちょっと蹴飛ばしてしまいまして……。
そうしたら光が出てきたのでカード化して止めさせてもらいました」
僕はそう言ってカード化した魔道具をゾラに渡した。
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