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第122話【情報の対価と契約】
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「……とりあえず首輪の製作者がガーレンだと仮定したとしてどうするつもりだ?」
考え込んでいたゾラが僕たちにそう問いかける。
「どうするもなにも見つけ出して首輪を解除させるしかないだろう」
「まあ、そうだろうがヤツはおそらくドウマ村に居るはずだ。
当然知っているだろうがドウマ村には国の役人と特定の商人しか入ることが出来ない。
村人でさえも自由に出入りが出来ないんだから他国の者が入る許可なんてものは出るはずがないぜ」
「……なにか手はないのか?」
「俺だけならば入ることは出来るだろうが一度戻ってしまえば今度は出ることが困難になるからな。
そうだな、可能性があるのは商人に金がなにかを握らせて忍び込むことだが、ばれたら最悪の場合は処刑もありうるからやるならばそれなりの覚悟が必要だな」
「それは最後の手段だな。
他になんとか向こうから出でこさせる方法はないのか?」
「そうだな……。
俺がギルドを通して指名依頼を出せば打ち合わせの時に接触出来るかもしれんな」
「なるほど、それに同行すれば何とかなりそうだが僕たちはドウマ村がどこにあるかも知らないぞ。
いったいどこで接触することが出来るんだ?」
「……その情報はタダではだせないな」
ゾラは話の受け答えに僕が対応していることに不満がある様子で情報に対する対価を求めてくる。
「なにが望みだ?」
「こう見えて俺は魔道具士だからそれなりに金はあるんだよ。
だから金よりも珍しいものが欲しいんだよ。
それが食い物だろうと魔道具であろうと何でもいい、俺を唸らせるものがあればヤツとの繋ぎはなんとかしてやるさ」
「あんたが驚けばなんでもいいのか?」
「ああ、だが並大抵のものじゃあ満足はしないからよく考えて持ってくるんだな」
ゾラはそう言って腰をあげようとした。
「まあ、そう急ぐことはないでしょう。
とりあえずいくつか出すからそれを見て答えを出しても遅くはないと思うがどうですか?」
「あ? どこにそんなものを持って……。
ああ、そういえばあんたはカード収穫もちだったな」
「ええ、ですから手持ちのものから貴重なものや珍しいものを出しますよ」
僕はそう言ってポーチから数枚のカードを取り出した。
「まずは食べ物からいってみますか?
これはノーズベリーといってこの国ではあまり流通していない希少な果物です」
「ほう、ノーズベリーか。
確かに希少ではあるがある程度金を出せば手に入れることは出来るからもちろん俺も食べたことはあるぜ」
ゾラはノーズベリーを見てそう答える。
「では、こちらはどうですか?
金色マースという魚です」
「ほう、これは見事な金色の魚だ。
しかし、金色ではないがこれと同じ魚はこの国にもいるぜ、もっとも泥臭くて食えたものじゃないがな。
ひょっとして旨いのか? その魚は」
「僕の出身であるロギナスの町では美味だと評判の魚ですよ」
「ふ、ふん。
いくら旨いといっても所詮は魚だろう?
色が変わっている程度では俺は驚かんぞ」
ゾラは金色マースに興味はあるようだがまだ飛びつくほどのものではなかったようで我慢を決め込んでいた。
「――では、とっておきをお見せしましょう。
あ、ですがこれはまだ世間には公表していない技術ですので口外はしないでください」
僕はそう言ってある魔法を封じ込めたカードをゾラに手渡した。
「魔法のカードです」
「魔法のカード?
なんだそれは?」
「そのままですよ。
魔法を封じ込めたカードです。
例えば、今渡したものはライトの魔法を封じ込めたもので魔法のスキルを持たない僕でも使うことができます」
「は? そんな便利なものがあったらもっと世の中に知れ渡っているだろう。
嘘をつくならもっとありそうなものを考えるんだな」
ゾラはそう言って全く信用をしない。
「まあ、当然そうなるでしょうけどこれを見ても同じことが言えますか?」
僕はそう言うとライトの魔法が封じ込められたカードを開放した。
「開放」
次の瞬間、目を覆うほどの光の球が僕の手から浮かび上がり頭の上あたりをふよふよと光を放ちながら漂っていた。
「どうです?
これでも信じられないですか?
ちなみに僕の持つスキルはカード収納と鑑定なので当然魔法は使えませんよ」
「なっ! なんだこれは!?
魔法をカードに封じ込めるだって!?
そんな理論は聞いたことがないぞ……いやまて、魔道具にだって魔法を付与することは出来るのだからカードに封じ込めるぐらい出来るのか?
いやいや、魔道具は魔石に……」
ゾラは目の前でおきた現象に対して理解が追いつかずに魔道具士としての興味が先走って深く考え込んでしまう。
「ちょっと見せすぎましたかね?」
ゾラの様子にやりすぎたかとマリアーナに同意を求めると彼女は苦笑しながら「そうかもしれないけどインパクトはあったと思うわよ。どう転ぶかはわからないけれど」と返した。
「……これはいったいどういった原理なんだ?」
しばらく考え込んだ末、どうにも理解できなかったゾラは僕にそう問いかけた。
「さあ?
僕にもわかりませんよ。
スキルを鍛えていたらいつの間にか出来るようになっていたので原理とか理論とかでは説明出来ないものだと思います。
まあ、神様が与えてくれたスキルに関するものですから僕たちが考えて理解できるものではないのかもしれないですね」
「むう。
確かにそういうものかもしれん。
俺たちが作る魔道具は魔石に魔力を入れるときに効果や魔法を付与するのが一般的だがよく考えるとそれが出来るのは魔道具士のスキルをもつ者だけだからな。
そうするとあんたみたいなカード収納スキルのみの特別なものだと考えればある意味納得できる」
ゾラはそう結論づけてニヤリと笑った。
「いや、面白いものを見せてもらった。
確かに俺が今まで見てきたものの中では一番驚いたものだったな。
……いいぜ、約束は守ってやるよ。
だが少しばかり準備が必要だし、この街ではヤツに会うことは出来ねぇ」
「では、どこに行けば会うことが出来るんですか?」
「……とりあえず王都へ行くしかないな。
その後は……まあ、おいおい話せるところまでは教えてやるよ。
ところで王都へ向かうための馬車は持ってるのか?
なければ手配をしなきゃならないが」
「馬車ならばあるわ。
もともとこの街に来るときに使ったものが宿に置いてあるからそれを使えばいいわよ」
マリアーナがそう答えたので僕がゾラに「いつ頃までに出発の準備をすればいい?」と尋ねた。
「……そうか。
どうせ急ぐんだろ?
明日……いや仕事の調整があるから3日後だ。
それまでに出発出来る準備をすませておけ、言っておくが俺はついていって依頼を出すだけだ移動の準備とかはそっちに全て任せるからな」
「ああ、わかった。
3日後の朝に迎えにくるからよろしく頼む」
僕はゾラにそう言うと彼の家を出てマリアーナと共に旅の準備をするために市場へと向かった。
考え込んでいたゾラが僕たちにそう問いかける。
「どうするもなにも見つけ出して首輪を解除させるしかないだろう」
「まあ、そうだろうがヤツはおそらくドウマ村に居るはずだ。
当然知っているだろうがドウマ村には国の役人と特定の商人しか入ることが出来ない。
村人でさえも自由に出入りが出来ないんだから他国の者が入る許可なんてものは出るはずがないぜ」
「……なにか手はないのか?」
「俺だけならば入ることは出来るだろうが一度戻ってしまえば今度は出ることが困難になるからな。
そうだな、可能性があるのは商人に金がなにかを握らせて忍び込むことだが、ばれたら最悪の場合は処刑もありうるからやるならばそれなりの覚悟が必要だな」
「それは最後の手段だな。
他になんとか向こうから出でこさせる方法はないのか?」
「そうだな……。
俺がギルドを通して指名依頼を出せば打ち合わせの時に接触出来るかもしれんな」
「なるほど、それに同行すれば何とかなりそうだが僕たちはドウマ村がどこにあるかも知らないぞ。
いったいどこで接触することが出来るんだ?」
「……その情報はタダではだせないな」
ゾラは話の受け答えに僕が対応していることに不満がある様子で情報に対する対価を求めてくる。
「なにが望みだ?」
「こう見えて俺は魔道具士だからそれなりに金はあるんだよ。
だから金よりも珍しいものが欲しいんだよ。
それが食い物だろうと魔道具であろうと何でもいい、俺を唸らせるものがあればヤツとの繋ぎはなんとかしてやるさ」
「あんたが驚けばなんでもいいのか?」
「ああ、だが並大抵のものじゃあ満足はしないからよく考えて持ってくるんだな」
ゾラはそう言って腰をあげようとした。
「まあ、そう急ぐことはないでしょう。
とりあえずいくつか出すからそれを見て答えを出しても遅くはないと思うがどうですか?」
「あ? どこにそんなものを持って……。
ああ、そういえばあんたはカード収穫もちだったな」
「ええ、ですから手持ちのものから貴重なものや珍しいものを出しますよ」
僕はそう言ってポーチから数枚のカードを取り出した。
「まずは食べ物からいってみますか?
これはノーズベリーといってこの国ではあまり流通していない希少な果物です」
「ほう、ノーズベリーか。
確かに希少ではあるがある程度金を出せば手に入れることは出来るからもちろん俺も食べたことはあるぜ」
ゾラはノーズベリーを見てそう答える。
「では、こちらはどうですか?
金色マースという魚です」
「ほう、これは見事な金色の魚だ。
しかし、金色ではないがこれと同じ魚はこの国にもいるぜ、もっとも泥臭くて食えたものじゃないがな。
ひょっとして旨いのか? その魚は」
「僕の出身であるロギナスの町では美味だと評判の魚ですよ」
「ふ、ふん。
いくら旨いといっても所詮は魚だろう?
色が変わっている程度では俺は驚かんぞ」
ゾラは金色マースに興味はあるようだがまだ飛びつくほどのものではなかったようで我慢を決め込んでいた。
「――では、とっておきをお見せしましょう。
あ、ですがこれはまだ世間には公表していない技術ですので口外はしないでください」
僕はそう言ってある魔法を封じ込めたカードをゾラに手渡した。
「魔法のカードです」
「魔法のカード?
なんだそれは?」
「そのままですよ。
魔法を封じ込めたカードです。
例えば、今渡したものはライトの魔法を封じ込めたもので魔法のスキルを持たない僕でも使うことができます」
「は? そんな便利なものがあったらもっと世の中に知れ渡っているだろう。
嘘をつくならもっとありそうなものを考えるんだな」
ゾラはそう言って全く信用をしない。
「まあ、当然そうなるでしょうけどこれを見ても同じことが言えますか?」
僕はそう言うとライトの魔法が封じ込められたカードを開放した。
「開放」
次の瞬間、目を覆うほどの光の球が僕の手から浮かび上がり頭の上あたりをふよふよと光を放ちながら漂っていた。
「どうです?
これでも信じられないですか?
ちなみに僕の持つスキルはカード収納と鑑定なので当然魔法は使えませんよ」
「なっ! なんだこれは!?
魔法をカードに封じ込めるだって!?
そんな理論は聞いたことがないぞ……いやまて、魔道具にだって魔法を付与することは出来るのだからカードに封じ込めるぐらい出来るのか?
いやいや、魔道具は魔石に……」
ゾラは目の前でおきた現象に対して理解が追いつかずに魔道具士としての興味が先走って深く考え込んでしまう。
「ちょっと見せすぎましたかね?」
ゾラの様子にやりすぎたかとマリアーナに同意を求めると彼女は苦笑しながら「そうかもしれないけどインパクトはあったと思うわよ。どう転ぶかはわからないけれど」と返した。
「……これはいったいどういった原理なんだ?」
しばらく考え込んだ末、どうにも理解できなかったゾラは僕にそう問いかけた。
「さあ?
僕にもわかりませんよ。
スキルを鍛えていたらいつの間にか出来るようになっていたので原理とか理論とかでは説明出来ないものだと思います。
まあ、神様が与えてくれたスキルに関するものですから僕たちが考えて理解できるものではないのかもしれないですね」
「むう。
確かにそういうものかもしれん。
俺たちが作る魔道具は魔石に魔力を入れるときに効果や魔法を付与するのが一般的だがよく考えるとそれが出来るのは魔道具士のスキルをもつ者だけだからな。
そうするとあんたみたいなカード収納スキルのみの特別なものだと考えればある意味納得できる」
ゾラはそう結論づけてニヤリと笑った。
「いや、面白いものを見せてもらった。
確かに俺が今まで見てきたものの中では一番驚いたものだったな。
……いいぜ、約束は守ってやるよ。
だが少しばかり準備が必要だし、この街ではヤツに会うことは出来ねぇ」
「では、どこに行けば会うことが出来るんですか?」
「……とりあえず王都へ行くしかないな。
その後は……まあ、おいおい話せるところまでは教えてやるよ。
ところで王都へ向かうための馬車は持ってるのか?
なければ手配をしなきゃならないが」
「馬車ならばあるわ。
もともとこの街に来るときに使ったものが宿に置いてあるからそれを使えばいいわよ」
マリアーナがそう答えたので僕がゾラに「いつ頃までに出発の準備をすればいい?」と尋ねた。
「……そうか。
どうせ急ぐんだろ?
明日……いや仕事の調整があるから3日後だ。
それまでに出発出来る準備をすませておけ、言っておくが俺はついていって依頼を出すだけだ移動の準備とかはそっちに全て任せるからな」
「ああ、わかった。
3日後の朝に迎えにくるからよろしく頼む」
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