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第113話【グレートボア討伐依頼】
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グレートボアの処理をめぐり依頼をギルドに頼んでおいた僕は次の日の朝には顔をだしてアリシアに報告を求めた。
「あ、ミナトさん。
先日の依頼ですが対応してくれる冒険者さんがいましたよ」
正直、あまり期待はしていなかったのだが受けてくれる人がいるとはありがたい。
「そうですか。
その方はどちらに?」
「おそらくもう少ししたら来られると思います。
3人組の冒険者で実際にグレートボアとの戦闘経験もあると聞いています」
「そうですか。
ならば安心して依頼を出せますね。
しかし、この短時間でよく見つかりましたね」
「たまたま依頼を出したタイミングに掲示板を確認していたようですぐに詳細確認を求めてこられました。
報酬もあまり多くはないと説明はしましたが戦闘の連携確認や経験値が重要と笑って言われていましたよ」
「そうなんですね。
僕なんかは直接戦うことが出来ないのでそういった考えには至らないんですよね」
そんな話をアリシアとしているとギルドのドア鐘の音がホールに響く。
――からんからん。
「あ、おみえになったようですので紹介しますね」
そこに現れたのは男性2人と女性1人のパーティーだった。
「こちらが依頼を引き受けてくれた方々です」
アリシアの紹介におそらくリーダーだろう男性が名乗る。
「リーダーのトトイだ。
今回はしっかり準備した状態でグレートボアと戦えると聞いて応募させてもらった。
正直、今の我々では不意をつかれたり複数だったりしたときはとてもグレートボアを相手に出来る力はない。
だが、今回はギルドの施設にて好条件で経験が積めるチャンスだ。
心配だろうが、まあ任せてくれ」
トトイはそう言うと残りの2人を軽く紹介して予定の確認をする。
「それでは今からでも大丈夫ですか?
アリシアさんもギルドの施設をお借りすることは出来ますか?」
「えっと、ギルド施設に関しては予定は入ってませんので大丈夫かと。
トトイさん達はどうでしょうか?」
「俺たちもすぐにでも大丈夫だ」
「では、これからすぐに施設へとご案内しますね。
トトイさん達も一緒に来てくださいね」
アリシアはそう言うと僕たちを連れてカウンターの左手から奥へと続く通路へと案内してくれた。
「この扉の向こうは訓練場となっていて多少魔物が暴れても大丈夫な作りになっていますのでこちらを使用してください」
「ありがとうございます。
では、ボアの開放をしたいと思いますがどういった状態を希望しますか?」
「どういった状態?」
僕の言った意味がわからずにトトイがそう聞き返す。
「カード化されたもので移動中にカード化したものについてはカード化前の勢いがそのまま残っているので例えば壁に向かって開放すればおそらくそのまま壁に激突して運が良ければ気絶なんかするかもしれません。
反対に戦闘準備をしたトトイさん達に向けて開放すればいきなりグレートボアが突進してくることになります」
「な、なんだそれは?
そんな現象は聞いたことないぞ」
トトイはそう言いながらも他の仲間と話し合い、より危険度の低い方法として僕の提案した壁に向けて開放することを選択した。
「確かに運が良ければ、ほぼ無傷で経験値がはいるからな。
とりあえず壁に激突させて様子をみるのも良いかもしれないな」
「ああ、わかった。
じゃあ壁にむけて開放するからすぐに追撃ができるように構えていてくれるかな?
それと、言い忘れてたけどこのボアは素材よりも肉を子爵家に納めないといけないのでグチャグチャのミンチにしたり炎魔法で真っ黒コゲにしないように綺麗に狩ってくださいよ」
「なに?
子爵家からの依頼だと!?
そいつは早く言えよ!
それこそ正面から戦ったら余裕がなくて肉なんてまともにとれやしないぞ」
トトイから慌てた様子で非難の言葉が思わず出てくる。
「そうなんですね。
冒険者の方がボアと戦うところはあまり見たことが無かったので剣で一刀両断するのだと思ってました」
「ばっ! 無茶を言うなよ。
小さなボア程度ならばそれも可能かもしれないが、今回はグレートボアだろうが!
正面から突進されたら剣を振り下ろすよりも俺自身がふっ飛ばされるに決まってるぞ!」
トトイはひととおり思いを吐露すると一息ついて告げた。
「ふう……とにかく気絶させられるならそうしてくれ。
おい、ふたりとも側で援護を頼む」
「わかりました。
では、壁の1メートル手前で開放をしますのでおそらく止まりきれずに壁に激突すると思います。
えっと、この場で一番硬い壁はどこになりますか?」
僕がアリシアにそう聞くと「そうですね。この壁は攻撃魔法の試し打ちの標的になっていますので硬いうえにさらに魔法で強化してますので砕けることはないかと思います」
「ではここにしますね。
いきますよ……開放!」
――ぶもおぉぉぉぉっ!!
僕がグレートボアのカードを壁に向かって開放すると突進したままでカード化されていたグレートボアがその推進力を保ったままあらわれ、そして目の前の壁に激突した。
グシャ――ゔもっ!?
もともと僕を跳ね飛ばそうと全力で突進してきていたのが強化された壁に激突したのだ、いくらグレートボアの頭か硬かろうと強化した石壁とでは喧嘩にならなかったらしく盛大な音とともに脳しんとうを起こしてその場に転がった。
「今です!
とどめをお願いします」
僕の言葉に一瞬呆けていたトトイが我にかえり握られたバスターソードでグレートボアの心臓を一差しするとグレートボアは弱々しい叫びをあげて絶命した。
「おお、見事に一撃でしたね。
これならば良質の肉が確保できるでしょう」
僕がそう言って喜んでいると止めをさしたトトイは微妙な表情で「これ、俺たち必要だったか? 気絶してたらあんたでも止めをさせるんじゃないか?」とボソリとつぶやくように言った。
「あ、ミナトさん。
先日の依頼ですが対応してくれる冒険者さんがいましたよ」
正直、あまり期待はしていなかったのだが受けてくれる人がいるとはありがたい。
「そうですか。
その方はどちらに?」
「おそらくもう少ししたら来られると思います。
3人組の冒険者で実際にグレートボアとの戦闘経験もあると聞いています」
「そうですか。
ならば安心して依頼を出せますね。
しかし、この短時間でよく見つかりましたね」
「たまたま依頼を出したタイミングに掲示板を確認していたようですぐに詳細確認を求めてこられました。
報酬もあまり多くはないと説明はしましたが戦闘の連携確認や経験値が重要と笑って言われていましたよ」
「そうなんですね。
僕なんかは直接戦うことが出来ないのでそういった考えには至らないんですよね」
そんな話をアリシアとしているとギルドのドア鐘の音がホールに響く。
――からんからん。
「あ、おみえになったようですので紹介しますね」
そこに現れたのは男性2人と女性1人のパーティーだった。
「こちらが依頼を引き受けてくれた方々です」
アリシアの紹介におそらくリーダーだろう男性が名乗る。
「リーダーのトトイだ。
今回はしっかり準備した状態でグレートボアと戦えると聞いて応募させてもらった。
正直、今の我々では不意をつかれたり複数だったりしたときはとてもグレートボアを相手に出来る力はない。
だが、今回はギルドの施設にて好条件で経験が積めるチャンスだ。
心配だろうが、まあ任せてくれ」
トトイはそう言うと残りの2人を軽く紹介して予定の確認をする。
「それでは今からでも大丈夫ですか?
アリシアさんもギルドの施設をお借りすることは出来ますか?」
「えっと、ギルド施設に関しては予定は入ってませんので大丈夫かと。
トトイさん達はどうでしょうか?」
「俺たちもすぐにでも大丈夫だ」
「では、これからすぐに施設へとご案内しますね。
トトイさん達も一緒に来てくださいね」
アリシアはそう言うと僕たちを連れてカウンターの左手から奥へと続く通路へと案内してくれた。
「この扉の向こうは訓練場となっていて多少魔物が暴れても大丈夫な作りになっていますのでこちらを使用してください」
「ありがとうございます。
では、ボアの開放をしたいと思いますがどういった状態を希望しますか?」
「どういった状態?」
僕の言った意味がわからずにトトイがそう聞き返す。
「カード化されたもので移動中にカード化したものについてはカード化前の勢いがそのまま残っているので例えば壁に向かって開放すればおそらくそのまま壁に激突して運が良ければ気絶なんかするかもしれません。
反対に戦闘準備をしたトトイさん達に向けて開放すればいきなりグレートボアが突進してくることになります」
「な、なんだそれは?
そんな現象は聞いたことないぞ」
トトイはそう言いながらも他の仲間と話し合い、より危険度の低い方法として僕の提案した壁に向けて開放することを選択した。
「確かに運が良ければ、ほぼ無傷で経験値がはいるからな。
とりあえず壁に激突させて様子をみるのも良いかもしれないな」
「ああ、わかった。
じゃあ壁にむけて開放するからすぐに追撃ができるように構えていてくれるかな?
それと、言い忘れてたけどこのボアは素材よりも肉を子爵家に納めないといけないのでグチャグチャのミンチにしたり炎魔法で真っ黒コゲにしないように綺麗に狩ってくださいよ」
「なに?
子爵家からの依頼だと!?
そいつは早く言えよ!
それこそ正面から戦ったら余裕がなくて肉なんてまともにとれやしないぞ」
トトイから慌てた様子で非難の言葉が思わず出てくる。
「そうなんですね。
冒険者の方がボアと戦うところはあまり見たことが無かったので剣で一刀両断するのだと思ってました」
「ばっ! 無茶を言うなよ。
小さなボア程度ならばそれも可能かもしれないが、今回はグレートボアだろうが!
正面から突進されたら剣を振り下ろすよりも俺自身がふっ飛ばされるに決まってるぞ!」
トトイはひととおり思いを吐露すると一息ついて告げた。
「ふう……とにかく気絶させられるならそうしてくれ。
おい、ふたりとも側で援護を頼む」
「わかりました。
では、壁の1メートル手前で開放をしますのでおそらく止まりきれずに壁に激突すると思います。
えっと、この場で一番硬い壁はどこになりますか?」
僕がアリシアにそう聞くと「そうですね。この壁は攻撃魔法の試し打ちの標的になっていますので硬いうえにさらに魔法で強化してますので砕けることはないかと思います」
「ではここにしますね。
いきますよ……開放!」
――ぶもおぉぉぉぉっ!!
僕がグレートボアのカードを壁に向かって開放すると突進したままでカード化されていたグレートボアがその推進力を保ったままあらわれ、そして目の前の壁に激突した。
グシャ――ゔもっ!?
もともと僕を跳ね飛ばそうと全力で突進してきていたのが強化された壁に激突したのだ、いくらグレートボアの頭か硬かろうと強化した石壁とでは喧嘩にならなかったらしく盛大な音とともに脳しんとうを起こしてその場に転がった。
「今です!
とどめをお願いします」
僕の言葉に一瞬呆けていたトトイが我にかえり握られたバスターソードでグレートボアの心臓を一差しするとグレートボアは弱々しい叫びをあげて絶命した。
「おお、見事に一撃でしたね。
これならば良質の肉が確保できるでしょう」
僕がそう言って喜んでいると止めをさしたトトイは微妙な表情で「これ、俺たち必要だったか? 気絶してたらあんたでも止めをさせるんじゃないか?」とボソリとつぶやくように言った。
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