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第95話【ディアルとの交渉】
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「――まず、君のギルドへの貢献について書かれており、金色マースのことから最近始まったギルド輸送便の影の立役者であることなどがあった。
そのあとにとなりの国『アランガスタ』へ渡りたいとの要望があるので協力して欲しいとあったが詳しい理由は書かれていなかったのだがその辺りの事を聞かせてもらえると助かるのだかな」
ディアルはザッハからの手紙をテーブルの上にパサッと置いて僕のほうを見た。
「僕には助けたい大切な人がいるんです。
それを実現させるにはアランガスタにある、とある村へ行かなくてはならないのです」
僕は詳細は隠しながらも必要な言葉を選んでディアルにそう答えた。
「ふむ、そうか……。
まあ良いだろうザッハの奴に頼まれたのもあるが君の隣でこちらをニコニコと笑顔をふりまきながら威圧してくる者がいるようだしここでゴネても私に得はなさそうだからな。
ただし、ひとつだけ頼みたいことがある」
「頼みたいこと……ですか?」
「ああ、君のもとで勉強していた我がギルドのロセリが君に会いたがっていた。
なんでも収納スキルがレベル5になったとかで君になにやら頼みたいことがあると言っていた。
隣国へ向かう商人の選定をするまでの時間でその頼みを解決しておいてくれないか?」
(おそらくロセリの頼みは追加のスキル付与の事だろう。
彼女が何を選ぶかわからないけれど少なくとも時間停止か限界突破を選ぶようにしておいた方が良いだろう)
「わかりました。
その件は僕ももともと対応して行きたいと考えていましたので喜んでお引き受けします。
つきましては彼女と打ち合わせが出来るように日程調整をお願いします」
「わかった。
では先ほどの件、双方とも調整がつき次第連絡をすることにしよう。
後ほど泊まる宿を受付にでも連絡をしておいてくれ。
ああ、お前は少し話があるからまだ残っておくように」
ディアルはマリアーナにそう言いつけると僕を部屋から退出するようにうながした。
「奇遇ね、ちょうど私も兄さんと話がしたかったところよ。
申し訳ないけれどミナトさんは先に宿へ向かってくださいね。
宿は『アスカ亭』にして2階の部屋を2部屋予約してきておいてください。
場所は受付で聞けば教えてくれるわ。
ああ、馬車は後で私が移動させるから今は徒歩での移動を頼むわね」
マリアーナの有無を言わさない雰囲気に僕は仕方なくうなずいて「わかりました」と言って部屋から出ていった。
* * *
「すみませんがアスカ亭の場所を教えてもらえませんか?」
僕は受付に戻って案内をしている女性にそう尋ねると「アスカ亭ですか?でしたらギルドを出て右手に2区画ほど行ったところにありますよ。目立つ看板があるのですぐに分かると思います」と親切に教えてくれた。
「ありがとうございます。
行ってみますね」
僕は彼女にお礼を言うとギルドの正面玄関から出て右手に向かって歩きだした。
「アスカ亭……アスカ亭っと。
見つけたここだ。」
宿の場所はすぐに分かった。
――ちりちりん。
小気味のよいドア鐘の音が鳴り中から元気のいい女性の声がかかる。
「いらっしゃいませ。
アスカ亭へようこそ、お食事ですか? それともお泊りですか?」
「泊まりで2階の部屋を2部屋ほどお願いしたいのですけど……」
僕はマリアーナに言われたとおりのことを宿でお願いする。
「わかりました。
では部屋の予約をしておきますがお連れ様はいつごろおいでになられますか?」
「――そうですね。
いまからもう一度ギルドへ戻って話をしてきますので2時間後くらいかと思います」
「わかりました。
ではお待ちしております」
宿の受付娘はそう言って宿帳に予定を書いて笑顔で見送ってくれた。
* * *
「――予約をしてきましたよ。
そちらの話はまとまりましたか?」
ギルドに戻った僕はカウンター付近で受付嬢とディアルを交えながらなにやら話し込んでいたマリアーナを見つけてそう話しかけた。
「部屋は空いていたかしら?
ごめんなさいね、面倒なことを頼んでしまって。
こちらの方はなんとか調整がつきそうみたいよ。
今日はこのあとアスカ亭に泊まって明日、朝からロセリさんの対応をしたあとで午後からすぐにアランガスタへ向けて出発することになるわ。
日程が急なのはちょうどアランガスタへ向かう商人がいたから。
詳細はこのあと宿で話してあげるわ」
マリアーナが僕にそう告げると隣でディアルがため息をついて「本当に無茶な予定をたててくれる。本来ならば準備や許可で一週間程度はかかる案件だぞ。後で問題になっても知らないからな」とぼやいていた。
「すみません、急なお願いをしてしまって。
あ、ロセリさんの件は彼女の都合さえよければ今から対応してもいいですよ。
やること自体は数分程度で終わりますので……」
「なに? そうなのか。
そうだな、ならばすぐに準備をさせよう。
明日の朝の予定だったが、旅に出るのに午後からだと野営の場所が微妙になるので商人への交渉が少々厄介だったんだよ」
ディアルはそう言って近くにいた職員にロセリを呼んでくるように頼んでから僕に第一訓練室を使って良いと告げてから商人との交渉へと向かった。
「少しばかり予定が変わったようだがやることは変わらないから私はもう少し仕事をしていくよ。
宿にはダランたちを先に向かわせておくからこちらの用事が済んだらあなたも宿へ向かってくださいね」
マリアーナも自分の仕事をすると言って奥の部屋へと消えていった。
「ロセリさんが来るまで少しばかりかかりますからギルドに併設されている食堂でお待ちになられますか?」
ディアルとマリアーナが居なくなったところで側にいた受付嬢が僕にそう提案をしてくれた。
「ありがとう、そうさせてもらうよ」
その場に突っ立っておくのも疲れるからと僕はその提案を受けて併設されている食堂のカウンター席に座り飲み物を注文した。
(マリアーナさんのおかげで交渉もうまくいきそうだな。
あとでよくお礼を言っておかなければいけないな)
僕はこれからのことを整理しながら待っていると後ろから聞き覚えのある声がかけられた。
そのあとにとなりの国『アランガスタ』へ渡りたいとの要望があるので協力して欲しいとあったが詳しい理由は書かれていなかったのだがその辺りの事を聞かせてもらえると助かるのだかな」
ディアルはザッハからの手紙をテーブルの上にパサッと置いて僕のほうを見た。
「僕には助けたい大切な人がいるんです。
それを実現させるにはアランガスタにある、とある村へ行かなくてはならないのです」
僕は詳細は隠しながらも必要な言葉を選んでディアルにそう答えた。
「ふむ、そうか……。
まあ良いだろうザッハの奴に頼まれたのもあるが君の隣でこちらをニコニコと笑顔をふりまきながら威圧してくる者がいるようだしここでゴネても私に得はなさそうだからな。
ただし、ひとつだけ頼みたいことがある」
「頼みたいこと……ですか?」
「ああ、君のもとで勉強していた我がギルドのロセリが君に会いたがっていた。
なんでも収納スキルがレベル5になったとかで君になにやら頼みたいことがあると言っていた。
隣国へ向かう商人の選定をするまでの時間でその頼みを解決しておいてくれないか?」
(おそらくロセリの頼みは追加のスキル付与の事だろう。
彼女が何を選ぶかわからないけれど少なくとも時間停止か限界突破を選ぶようにしておいた方が良いだろう)
「わかりました。
その件は僕ももともと対応して行きたいと考えていましたので喜んでお引き受けします。
つきましては彼女と打ち合わせが出来るように日程調整をお願いします」
「わかった。
では先ほどの件、双方とも調整がつき次第連絡をすることにしよう。
後ほど泊まる宿を受付にでも連絡をしておいてくれ。
ああ、お前は少し話があるからまだ残っておくように」
ディアルはマリアーナにそう言いつけると僕を部屋から退出するようにうながした。
「奇遇ね、ちょうど私も兄さんと話がしたかったところよ。
申し訳ないけれどミナトさんは先に宿へ向かってくださいね。
宿は『アスカ亭』にして2階の部屋を2部屋予約してきておいてください。
場所は受付で聞けば教えてくれるわ。
ああ、馬車は後で私が移動させるから今は徒歩での移動を頼むわね」
マリアーナの有無を言わさない雰囲気に僕は仕方なくうなずいて「わかりました」と言って部屋から出ていった。
* * *
「すみませんがアスカ亭の場所を教えてもらえませんか?」
僕は受付に戻って案内をしている女性にそう尋ねると「アスカ亭ですか?でしたらギルドを出て右手に2区画ほど行ったところにありますよ。目立つ看板があるのですぐに分かると思います」と親切に教えてくれた。
「ありがとうございます。
行ってみますね」
僕は彼女にお礼を言うとギルドの正面玄関から出て右手に向かって歩きだした。
「アスカ亭……アスカ亭っと。
見つけたここだ。」
宿の場所はすぐに分かった。
――ちりちりん。
小気味のよいドア鐘の音が鳴り中から元気のいい女性の声がかかる。
「いらっしゃいませ。
アスカ亭へようこそ、お食事ですか? それともお泊りですか?」
「泊まりで2階の部屋を2部屋ほどお願いしたいのですけど……」
僕はマリアーナに言われたとおりのことを宿でお願いする。
「わかりました。
では部屋の予約をしておきますがお連れ様はいつごろおいでになられますか?」
「――そうですね。
いまからもう一度ギルドへ戻って話をしてきますので2時間後くらいかと思います」
「わかりました。
ではお待ちしております」
宿の受付娘はそう言って宿帳に予定を書いて笑顔で見送ってくれた。
* * *
「――予約をしてきましたよ。
そちらの話はまとまりましたか?」
ギルドに戻った僕はカウンター付近で受付嬢とディアルを交えながらなにやら話し込んでいたマリアーナを見つけてそう話しかけた。
「部屋は空いていたかしら?
ごめんなさいね、面倒なことを頼んでしまって。
こちらの方はなんとか調整がつきそうみたいよ。
今日はこのあとアスカ亭に泊まって明日、朝からロセリさんの対応をしたあとで午後からすぐにアランガスタへ向けて出発することになるわ。
日程が急なのはちょうどアランガスタへ向かう商人がいたから。
詳細はこのあと宿で話してあげるわ」
マリアーナが僕にそう告げると隣でディアルがため息をついて「本当に無茶な予定をたててくれる。本来ならば準備や許可で一週間程度はかかる案件だぞ。後で問題になっても知らないからな」とぼやいていた。
「すみません、急なお願いをしてしまって。
あ、ロセリさんの件は彼女の都合さえよければ今から対応してもいいですよ。
やること自体は数分程度で終わりますので……」
「なに? そうなのか。
そうだな、ならばすぐに準備をさせよう。
明日の朝の予定だったが、旅に出るのに午後からだと野営の場所が微妙になるので商人への交渉が少々厄介だったんだよ」
ディアルはそう言って近くにいた職員にロセリを呼んでくるように頼んでから僕に第一訓練室を使って良いと告げてから商人との交渉へと向かった。
「少しばかり予定が変わったようだがやることは変わらないから私はもう少し仕事をしていくよ。
宿にはダランたちを先に向かわせておくからこちらの用事が済んだらあなたも宿へ向かってくださいね」
マリアーナも自分の仕事をすると言って奥の部屋へと消えていった。
「ロセリさんが来るまで少しばかりかかりますからギルドに併設されている食堂でお待ちになられますか?」
ディアルとマリアーナが居なくなったところで側にいた受付嬢が僕にそう提案をしてくれた。
「ありがとう、そうさせてもらうよ」
その場に突っ立っておくのも疲れるからと僕はその提案を受けて併設されている食堂のカウンター席に座り飲み物を注文した。
(マリアーナさんのおかげで交渉もうまくいきそうだな。
あとでよくお礼を言っておかなければいけないな)
僕はこれからのことを整理しながら待っていると後ろから聞き覚えのある声がかけられた。
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