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第65話【想像力を働かせる課題】
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「ふたりともお疲れ様でしたね。
では、結果を報告してください」
施設に戻った僕は食事をする前にふたりに成果の報告を求めた。
「じゃあ、私からいいですか?」
アーファはそう言うとポケットから数枚のカードを取り出してテーブルに並べる。
「こちらから、パンにリンゴにボア肉の焼いたもの。
大きさが握りこぶし大のものを探していたら目についたものがこのようなものでした。
あとお釣りもまたカード化して持って帰りました。
こちらは複数枚を積み上げて一気にカード化出来たのがちょっと新鮮な感じでしたね」
なるほど言われたものがカード化されており特に問題はなさそうだった。
「凄いね。
ほぼ完璧な成果だと思うよ」
「では、次は自分の番ですね」
ナムルはそう言って数枚のカードを取り出した。
「私はまだレベル1ですのでほとんどカード化出来ません。
だからと言って出来ないでは成長はありませんのでいくつか市場で探して来ました。
まず、こちらが水飴になります。
これならば好きな量に小分けすればカード化出来ると思い試してみました。
結果は見ての通りです。
あとはうまく行くか不安でしたがこちらのカードを見てください」
ナムルはそう言うと一枚のカードを僕の前に差し出した。
「これは……果実水のようですが容器に入ってませんね。
これをこのまま開放するとテーブルが濡れてしまいますのでコップを準備しましょう。
これは僕が開放してみてもいいですか?」
僕はカードをコップの上に置いてからスキルを使う。
「開放」
スキルに反応してカード化が解かれコップの中にスプーンに1~2杯程度の果実水が溜まる。
「――あとはアーファさんと同じくお釣りの銅貨もカード化しています」
僕がコップを眺めながら感心をしているとナムルは最後の報告までしてきた。
僕はテーブルに置かれたカードと果実水の入ったコップを確認してナムルに向き直ると「ふたりとも素晴らしいですね。合格です」と笑いかけた。
「では、ふたりともこのカードを開放してから昼食としましょう」
僕の言葉にホッとしたふたりはカード化を開放するべくスキルを使った。
「開放」
アーファはカード化してあったパンやリンゴ、ボア肉などをお皿に乗せてお釣りの銅貨をお皿の横にそえる。
ナムルも水飴を置く皿を準備してから開放し、銅貨も順番に元に戻していった。
「あ!? ああっ!!」
ナムルが銅貨の最後の1枚を開放した瞬間、思わず叫ぶ。
「レ、レベルが上がりました!」
手のひらにカードから戻した銅貨を握りしめたまま興奮おさまらぬ表情でナムルはそう言うと棚に置いてあったアーファが練習に使っていた水晶体を掴んでスキルを使った。
「――カード収納」
「「あっ!!」」
その行動を見ていた僕とアーファが同時に叫ぶ。
「やった! 出来……た」
ドサッ
「うわっ! やっぱり倒れた!
ええと魔力回復薬は……」
倒れたナムルに与えるため僕は慌てて魔力回復薬のカードを探す。
「開放」
カード化を解いた僕はすぐに薬をナムルの口に突っ込み無理やりに飲ませる。
「う、うーん……」
数十秒ほどしてナムルが意識を取り戻し、怒った顔をした僕と心配そうな表情をしたアーファに挟まれてなにが起こったか分からなかったように目を擦りながら僕に尋ねた。
「私はどうなったのですか?」
「魔力の使いすぎによる精神疲労で倒れたんですよ」
ナムルの様子が普通に戻っていたので僕はひとまず安心してそう説明をする。
「やっぱりナムルさんもやっちゃいましたね。
私もレベルが上がった時は嬉しくて舞い上がってしまいナムルさんとは別の意味でミナトさんに迷惑をかけてしまいました」
アーファの言葉に「ご心配をかけました」とナムルは頭をさげて謝った。
「いえ、ナムルさんが無事で良かったです。
この研修では限られた時間でレベルアップをしていかなくてはならないので今回のような魔力不足が起こる可能性があるのですが、無理はしないようにお願いしますね。
でも、今回のことでナムルさんの経験値が一気に増えたことは間違いないと思いますのでもしかしたらアーファさんと同じくらいには3レベルになれるかもしれないですね」
「本当ですか!?」
僕の見解にナムルが驚いてそう返す。
「はい。
僕の経験上では少し無理をしたほうが早くレベルアップするのは間違いありません。
ですが、このやり方は危険なのでやらないようにとの注意も受けてますのでおふたりにはあえて話してませんでした。
なので、隠れて無理をしないように注意を促す意味をこめてお話をしましたので勝手に無理をする事は厳禁でお願いしますね」
僕はそう言って施設の食堂へ向かい、市場の食事処で作ってもらった食事をトレーに乗せたままの状態で4つカード化の開放をした。
「せっかくですのでオールさんも一緒にいかがですか?」
食堂に集まった僕たちに果実水を淹れてくれたオールに僕がそう告げると「ありがとうございます。お言葉に甘えさせて頂きます」と頭をさげてお礼を言った。
「食事をしながらで良いのでこれからの事を話しておきたいと思います。
思ったよりもナムルさんのレベルアップが早かったので研修の内容を見直さないといけないのですが逆に考えればふたりでやれる事が増えたので少しは楽しめる研修にしたいと考えてます」
「それは嬉しいです。
効率的なのは大切ですがやはり楽しく訓練が出来ればなおよいですから……」
アーファはそう言って微笑む。
「でも、具体的にどんな事をするんですか?」
「それは私も気になりますね」
ナムルも食事を手をつけながらこちらを見て同意する。
「いや、今回のふたりを見ていて良いことを思いついたんだ。
特にナムルさんの結果を踏まえて試した事があったのでまずはそれをやってみようと思ってます」
「私の……ですか?
さほどたいした事はしてなかったと思うのですが……」
ナムルはそう言って首を傾げていたがそれを見ていたオールが嬉しそうに笑った。
「兄さんなにかおかしな事があったのですか?」
「ん?
いや、お前がそんなに感情を出して喜ぶ姿を見るのは大人になってからは初めてのような気がしてな。
お前が本当に楽しそうにしている姿を見ていたら私もつい嬉しくなってそれが顔に出たんだろう」
オールの言葉に「そうかな?」と言いながらもつられて笑うナムルだった。
では、結果を報告してください」
施設に戻った僕は食事をする前にふたりに成果の報告を求めた。
「じゃあ、私からいいですか?」
アーファはそう言うとポケットから数枚のカードを取り出してテーブルに並べる。
「こちらから、パンにリンゴにボア肉の焼いたもの。
大きさが握りこぶし大のものを探していたら目についたものがこのようなものでした。
あとお釣りもまたカード化して持って帰りました。
こちらは複数枚を積み上げて一気にカード化出来たのがちょっと新鮮な感じでしたね」
なるほど言われたものがカード化されており特に問題はなさそうだった。
「凄いね。
ほぼ完璧な成果だと思うよ」
「では、次は自分の番ですね」
ナムルはそう言って数枚のカードを取り出した。
「私はまだレベル1ですのでほとんどカード化出来ません。
だからと言って出来ないでは成長はありませんのでいくつか市場で探して来ました。
まず、こちらが水飴になります。
これならば好きな量に小分けすればカード化出来ると思い試してみました。
結果は見ての通りです。
あとはうまく行くか不安でしたがこちらのカードを見てください」
ナムルはそう言うと一枚のカードを僕の前に差し出した。
「これは……果実水のようですが容器に入ってませんね。
これをこのまま開放するとテーブルが濡れてしまいますのでコップを準備しましょう。
これは僕が開放してみてもいいですか?」
僕はカードをコップの上に置いてからスキルを使う。
「開放」
スキルに反応してカード化が解かれコップの中にスプーンに1~2杯程度の果実水が溜まる。
「――あとはアーファさんと同じくお釣りの銅貨もカード化しています」
僕がコップを眺めながら感心をしているとナムルは最後の報告までしてきた。
僕はテーブルに置かれたカードと果実水の入ったコップを確認してナムルに向き直ると「ふたりとも素晴らしいですね。合格です」と笑いかけた。
「では、ふたりともこのカードを開放してから昼食としましょう」
僕の言葉にホッとしたふたりはカード化を開放するべくスキルを使った。
「開放」
アーファはカード化してあったパンやリンゴ、ボア肉などをお皿に乗せてお釣りの銅貨をお皿の横にそえる。
ナムルも水飴を置く皿を準備してから開放し、銅貨も順番に元に戻していった。
「あ!? ああっ!!」
ナムルが銅貨の最後の1枚を開放した瞬間、思わず叫ぶ。
「レ、レベルが上がりました!」
手のひらにカードから戻した銅貨を握りしめたまま興奮おさまらぬ表情でナムルはそう言うと棚に置いてあったアーファが練習に使っていた水晶体を掴んでスキルを使った。
「――カード収納」
「「あっ!!」」
その行動を見ていた僕とアーファが同時に叫ぶ。
「やった! 出来……た」
ドサッ
「うわっ! やっぱり倒れた!
ええと魔力回復薬は……」
倒れたナムルに与えるため僕は慌てて魔力回復薬のカードを探す。
「開放」
カード化を解いた僕はすぐに薬をナムルの口に突っ込み無理やりに飲ませる。
「う、うーん……」
数十秒ほどしてナムルが意識を取り戻し、怒った顔をした僕と心配そうな表情をしたアーファに挟まれてなにが起こったか分からなかったように目を擦りながら僕に尋ねた。
「私はどうなったのですか?」
「魔力の使いすぎによる精神疲労で倒れたんですよ」
ナムルの様子が普通に戻っていたので僕はひとまず安心してそう説明をする。
「やっぱりナムルさんもやっちゃいましたね。
私もレベルが上がった時は嬉しくて舞い上がってしまいナムルさんとは別の意味でミナトさんに迷惑をかけてしまいました」
アーファの言葉に「ご心配をかけました」とナムルは頭をさげて謝った。
「いえ、ナムルさんが無事で良かったです。
この研修では限られた時間でレベルアップをしていかなくてはならないので今回のような魔力不足が起こる可能性があるのですが、無理はしないようにお願いしますね。
でも、今回のことでナムルさんの経験値が一気に増えたことは間違いないと思いますのでもしかしたらアーファさんと同じくらいには3レベルになれるかもしれないですね」
「本当ですか!?」
僕の見解にナムルが驚いてそう返す。
「はい。
僕の経験上では少し無理をしたほうが早くレベルアップするのは間違いありません。
ですが、このやり方は危険なのでやらないようにとの注意も受けてますのでおふたりにはあえて話してませんでした。
なので、隠れて無理をしないように注意を促す意味をこめてお話をしましたので勝手に無理をする事は厳禁でお願いしますね」
僕はそう言って施設の食堂へ向かい、市場の食事処で作ってもらった食事をトレーに乗せたままの状態で4つカード化の開放をした。
「せっかくですのでオールさんも一緒にいかがですか?」
食堂に集まった僕たちに果実水を淹れてくれたオールに僕がそう告げると「ありがとうございます。お言葉に甘えさせて頂きます」と頭をさげてお礼を言った。
「食事をしながらで良いのでこれからの事を話しておきたいと思います。
思ったよりもナムルさんのレベルアップが早かったので研修の内容を見直さないといけないのですが逆に考えればふたりでやれる事が増えたので少しは楽しめる研修にしたいと考えてます」
「それは嬉しいです。
効率的なのは大切ですがやはり楽しく訓練が出来ればなおよいですから……」
アーファはそう言って微笑む。
「でも、具体的にどんな事をするんですか?」
「それは私も気になりますね」
ナムルも食事を手をつけながらこちらを見て同意する。
「いや、今回のふたりを見ていて良いことを思いついたんだ。
特にナムルさんの結果を踏まえて試した事があったのでまずはそれをやってみようと思ってます」
「私の……ですか?
さほどたいした事はしてなかったと思うのですが……」
ナムルはそう言って首を傾げていたがそれを見ていたオールが嬉しそうに笑った。
「兄さんなにかおかしな事があったのですか?」
「ん?
いや、お前がそんなに感情を出して喜ぶ姿を見るのは大人になってからは初めてのような気がしてな。
お前が本当に楽しそうにしている姿を見ていたら私もつい嬉しくなってそれが顔に出たんだろう」
オールの言葉に「そうかな?」と言いながらもつられて笑うナムルだった。
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