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第53話【アーファと収納スキル】
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「すみません。
おまたせしました」
マリアーナとの一悶着が一応の決着をつけた時、ギルドから大きなカバンを半分引きずりながらアーファがやってきた。
「随分と重そうなカバンだけど君の私物はこれだけなの?
後から馬車で送ってくる予定なら僕がカード化して運んでもいいけど……」
確かにそれなりの量が入るとカバンではあったがとても一人の女性が持つ荷物としてはあまりにも少なすぎた。
「あはは、やっぱりそう見えますよね。
でも、ご心配なく。
もともと寮の家具は備え付けのものですし、私の私物なんて服が数枚と調理器具が一式あるくらいなんですからこんなものですよ」
それなりに大きなカバンの中身の大半が調理器具である事を知った僕は呆気にとられたがすぐに気を取り直して「じゃあそれだけでもカード化して運んであげるよ」と言ってスキルを使った。
「――カード収納」
僕がスキルを使うとアーファの大きなカバンが一枚のカードとして僕の手に収まる。
「いまの君ではこのカード化は戻せないからロギナスの施設に着いたら元に戻してあげるよ」
簡単にカード化する様子を目の当たりにしてアーファが驚きの声をあげる。
「そ、それってカード収納スキルですよね?
こんな大きなものまでカード化出来るってどのくらいのレベルが必要なんですか!?」
「うーん。
このサイズならばレベルだけならば5にならないと厳しかもしれないね」
「レベル5ですか!?
それって私みたいなサブスキルだと最高レベルまで上げないと駄目って事ですよね?」
もしかして自分にも出来るかもしれないと一瞬だけ喜んだアーファだったが必要レベルが5と聞いていきなりテンションを下げてしまった。
「何を落ち込んでるか知らないけれど、君にもこれくらいの事は出来るようになってもらうからね」
僕はいつもの反応だと思いながら彼女にそう伝えると「えっ!? もしかして今回の研修ってそういう事なんですか?」と改めて確認してきた。
「そうですよ。
っていうか説明しませんでしたかね?」
「はい。
ギルマスからもロギナスで研修を受けてこいとだけ言われただけでしたので詳しい話は聞いてませんでした」
「そう、ならば詳しく説明をしてあげるからとりあえず馬車に乗ってくれるかな?
ロギナスまでは馬車で3日ほどかかるからその間にこれからする研修内容とカード収納スキルの特徴、そして効率の良いレベルあげのやり方を説明しよう」
「はっ、はい!
宜しくお願いします」
アーファはそう言って深々と頭を下げた。
「――なるほど。
そんな目的だったんですね。
ギルマスに呼ばれた時もメインスキルが調理の私には関係ないと思って詳しい話を聞いてなかったんです。
でもっていきなり私以外の二人が辞退したので余った私が行く事になって悪いなぁと思ってました」
「あはは、アーファさんは正直なんだね。
でも、せっかくこの研修に参加させてもらったからにはキッチリと成果をあげて胸を張ってエルガーに戻らないといけないよ。
ギルマスの話だと部門長の席を用意しておくそうだからね」
「お、脅かさないでください。
私なんかが部門長なんて大役出来る訳がないじゃないですか」
引っ込み思案らしくアーファは手をぶんぶんと振りながら僕にそう答える。
「まあ、部門長とかなんとかは今は考えないでおいて、せっかくなんでカード収納スキルについての説明と練習をしてみようか」
馬車に揺られながら向かい合わせに座った僕はアーファに一枚の銅貨を渡す。
「スキルレベルは1なんだよね?
だったらこの銅貨をカード化してみてくれるかな?」
「この銅貨をですか?
わかりました、やってみますね。
――カード収納!」
アーファがスキルを使うと彼女が手にした銅貨が一枚のカードとなり彼女の手に収まっていた。
「うん。
問題なくスキルは使えるようだね、これならば一週間もすればレベル2に、一ヶ月もあればレベル3になれると思うよ。
あとは努力次第だけど半年でレベル4に一年でレベル5を目指そう」
「い、一年でレベル5ですか?
本当にそんなことが出来るんでしょうか?」
とても信じられないとばかりにアーファは僕に問いかける。
「そこは努力次第だと思ってますよ。
でも、不可能なことではないとも考えてます」
ともかくやる気にさせないと進まないので僕は希望の見える期間設定を示した。
「それでは先ほどカード化した銅貨を元に戻してからもう一度カード化をする手順を精神的にキツくなるくらいまで繰り返してもらえますか?
なんとなく頭が重く感じてきたらすぐに言ってくださいね」
「は、はい。 わかりました」
アーファはそう答えると僕の言った事を素直に繰り返し数回後に僕の方を向いて「そろそろキツくなってきたんですけどどうしたら良いですか?」と聞いてきた。
「では一度、休みましょうか」
僕はそう言うとポーチから魔力の回復効果があるおやつのカードを取り出して開放する。
「それって品質劣化の無い状態をカード化してあるのですよね?
私でもレベルが5になれば出来るようになるのでしょうか?」
アーファが期待を込めてそう僕に質問をする。
「残念ながら品質劣化を抑える事が出来るようになるのはレベル6からになります。
ですのでサブスキルの最大レベルである5になられても無理と思われます」
「そうなんですね。
少しだけ残念ですけど無理なものは無理なのが決まりごとならば仕方ないですね」
口では少しと言いながらも表情は凄く悔しそうな顔でアーファはつぶやくように小声で言った。
「――普通ならばそうなるのですが、まだ悲観するには早いですよ」
「えっ?」
「まだ確認中なので絶対ではないですけど僕が調べた限りではレベルを最大まであげた時にカンストボーナス的な恩恵があるみたいなんです。
もちろんカード収納スキルで同じ事があるかは不明なんですが他のスキルでサブスキルレベル5を達成した際に実際におきた事のようです。
具体的にはひとつ上のレベル相当のスキルが指定して使えるようになったみたいです。
ですので、もし本当にそんな事が可能であれば品質劣化を止めるスキルを習得出来るかもしれません」
僕はそう言うと「とにもかくにもやってみるしかありませんので頑張ってくださいね」と微笑んだ。
おまたせしました」
マリアーナとの一悶着が一応の決着をつけた時、ギルドから大きなカバンを半分引きずりながらアーファがやってきた。
「随分と重そうなカバンだけど君の私物はこれだけなの?
後から馬車で送ってくる予定なら僕がカード化して運んでもいいけど……」
確かにそれなりの量が入るとカバンではあったがとても一人の女性が持つ荷物としてはあまりにも少なすぎた。
「あはは、やっぱりそう見えますよね。
でも、ご心配なく。
もともと寮の家具は備え付けのものですし、私の私物なんて服が数枚と調理器具が一式あるくらいなんですからこんなものですよ」
それなりに大きなカバンの中身の大半が調理器具である事を知った僕は呆気にとられたがすぐに気を取り直して「じゃあそれだけでもカード化して運んであげるよ」と言ってスキルを使った。
「――カード収納」
僕がスキルを使うとアーファの大きなカバンが一枚のカードとして僕の手に収まる。
「いまの君ではこのカード化は戻せないからロギナスの施設に着いたら元に戻してあげるよ」
簡単にカード化する様子を目の当たりにしてアーファが驚きの声をあげる。
「そ、それってカード収納スキルですよね?
こんな大きなものまでカード化出来るってどのくらいのレベルが必要なんですか!?」
「うーん。
このサイズならばレベルだけならば5にならないと厳しかもしれないね」
「レベル5ですか!?
それって私みたいなサブスキルだと最高レベルまで上げないと駄目って事ですよね?」
もしかして自分にも出来るかもしれないと一瞬だけ喜んだアーファだったが必要レベルが5と聞いていきなりテンションを下げてしまった。
「何を落ち込んでるか知らないけれど、君にもこれくらいの事は出来るようになってもらうからね」
僕はいつもの反応だと思いながら彼女にそう伝えると「えっ!? もしかして今回の研修ってそういう事なんですか?」と改めて確認してきた。
「そうですよ。
っていうか説明しませんでしたかね?」
「はい。
ギルマスからもロギナスで研修を受けてこいとだけ言われただけでしたので詳しい話は聞いてませんでした」
「そう、ならば詳しく説明をしてあげるからとりあえず馬車に乗ってくれるかな?
ロギナスまでは馬車で3日ほどかかるからその間にこれからする研修内容とカード収納スキルの特徴、そして効率の良いレベルあげのやり方を説明しよう」
「はっ、はい!
宜しくお願いします」
アーファはそう言って深々と頭を下げた。
「――なるほど。
そんな目的だったんですね。
ギルマスに呼ばれた時もメインスキルが調理の私には関係ないと思って詳しい話を聞いてなかったんです。
でもっていきなり私以外の二人が辞退したので余った私が行く事になって悪いなぁと思ってました」
「あはは、アーファさんは正直なんだね。
でも、せっかくこの研修に参加させてもらったからにはキッチリと成果をあげて胸を張ってエルガーに戻らないといけないよ。
ギルマスの話だと部門長の席を用意しておくそうだからね」
「お、脅かさないでください。
私なんかが部門長なんて大役出来る訳がないじゃないですか」
引っ込み思案らしくアーファは手をぶんぶんと振りながら僕にそう答える。
「まあ、部門長とかなんとかは今は考えないでおいて、せっかくなんでカード収納スキルについての説明と練習をしてみようか」
馬車に揺られながら向かい合わせに座った僕はアーファに一枚の銅貨を渡す。
「スキルレベルは1なんだよね?
だったらこの銅貨をカード化してみてくれるかな?」
「この銅貨をですか?
わかりました、やってみますね。
――カード収納!」
アーファがスキルを使うと彼女が手にした銅貨が一枚のカードとなり彼女の手に収まっていた。
「うん。
問題なくスキルは使えるようだね、これならば一週間もすればレベル2に、一ヶ月もあればレベル3になれると思うよ。
あとは努力次第だけど半年でレベル4に一年でレベル5を目指そう」
「い、一年でレベル5ですか?
本当にそんなことが出来るんでしょうか?」
とても信じられないとばかりにアーファは僕に問いかける。
「そこは努力次第だと思ってますよ。
でも、不可能なことではないとも考えてます」
ともかくやる気にさせないと進まないので僕は希望の見える期間設定を示した。
「それでは先ほどカード化した銅貨を元に戻してからもう一度カード化をする手順を精神的にキツくなるくらいまで繰り返してもらえますか?
なんとなく頭が重く感じてきたらすぐに言ってくださいね」
「は、はい。 わかりました」
アーファはそう答えると僕の言った事を素直に繰り返し数回後に僕の方を向いて「そろそろキツくなってきたんですけどどうしたら良いですか?」と聞いてきた。
「では一度、休みましょうか」
僕はそう言うとポーチから魔力の回復効果があるおやつのカードを取り出して開放する。
「それって品質劣化の無い状態をカード化してあるのですよね?
私でもレベルが5になれば出来るようになるのでしょうか?」
アーファが期待を込めてそう僕に質問をする。
「残念ながら品質劣化を抑える事が出来るようになるのはレベル6からになります。
ですのでサブスキルの最大レベルである5になられても無理と思われます」
「そうなんですね。
少しだけ残念ですけど無理なものは無理なのが決まりごとならば仕方ないですね」
口では少しと言いながらも表情は凄く悔しそうな顔でアーファはつぶやくように小声で言った。
「――普通ならばそうなるのですが、まだ悲観するには早いですよ」
「えっ?」
「まだ確認中なので絶対ではないですけど僕が調べた限りではレベルを最大まであげた時にカンストボーナス的な恩恵があるみたいなんです。
もちろんカード収納スキルで同じ事があるかは不明なんですが他のスキルでサブスキルレベル5を達成した際に実際におきた事のようです。
具体的にはひとつ上のレベル相当のスキルが指定して使えるようになったみたいです。
ですので、もし本当にそんな事が可能であれば品質劣化を止めるスキルを習得出来るかもしれません」
僕はそう言うと「とにもかくにもやってみるしかありませんので頑張ってくださいね」と微笑んだ。
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