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第46話【有力者との面会と駆け引き①】
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「――お迎えに参りました。
それでは出発致しますので馬車へお乗りください」
次の日のお昼すぎ、昼食を宿の食堂ですませた僕をアルフィードが迎えにやってきた。
「ノエルお嬢様は先に旦那様とご一緒に向かわれております」
今回の面会はギルドへの報告も兼ねているため王都斡旋ギルド本部の応接室での開催となったそうだ。
「今日のメンバーですが、旦那様に加えてギルドマスターのランスロット様、ノエルお嬢様に今回の旅で同行したヤード殿に自分の合わせて5名となります。
主に旦那様とランスロット様からのご質問があると思われますので正直に失礼のないようにお答えくださりますよう申し入れておきます」
アルフィードは僕にそう伝えると馬車を操り斡旋ギルドの建物へと向かった。
* * *
――からんからん。
どこの街の斡旋ギルドも同じ音のドア鐘を使っているそうで初めて来た巨大なギルドの建物でもどこかしら懐かしい感じを噛みしめながら僕とアルフィードはギルドの中を歩いていく。
――コンコン。
ある部屋のドアの前で止まったアルフィードがドアをノックして中にいる人に声をかけた。
「アルフィードです。
ミナト様をお連れ致しました」
アルフィードの声に反応するように中から重厚な低い声が返ってくる。
「どうぞ、はいりたまえ」
「失礼致します」
入室の許可が出た事によりアルフィードがドアを開けて先に深々とお辞儀をしてから部屋の中に歩を進める。
彼の後から僕も同様にお辞儀をしてから部屋に入るとそこには目つきの鋭い壮年の男性と眼鏡をかけたインテリ風の男性が並んでソファへ座っていた。
「ミナトさんはこちらにどうぞ」
あまりの存在感にふたりの男性に視線がいっていた僕をノエルの優しい声が迎えてくれた。
僕は彼女の側まで進み、ソファから立ち上がっていた彼女の横に立ちふたりの男性のほうへ向かって挨拶をした。
「ミナトと申します。
この度はこのような席を設けて頂きありがとうございます。
今日はギルドへの報告が一件とマグラーレ様への報告が一件ございますので宜しくお願いします」
「ああ、ロギナスのギルドマスターからいろいろ聞いているよ。
先にこちらの用件をすませてしまうとするかい?
マグラーレの方はじっくりと君に聞きたい事があるようだからね」
ランスロットはマグラーレにちらりと目線をおくると僕の方を向き直り報告を求めた。
「わかりました。
ではこちらをご覧ください」
僕はそう言ってウエストポーチから一枚のカードを取り出した。
「これがいま、ロギナスで大人気になっている金色マースになります。
もともとこのマースという魚は広く認識されている『煮ても焼いても泥臭くて食えない魚』の代表格でした。
それをある方法で劇的に美味しい魚へと変わったのがこの金色マースになるのです。
外観も黒っぽい色から黄金色に変わり味も泥臭い事は全くなく、淡白な白身の美味しい魚として生まれ変わったのです」
「ふむ。
ロギナスのギルドから報告があがっているものと同じ内容だな。
このカード化している金色マースはこの場で元に戻す事は可能なのか?」
ランスロットは僕の出したカードをじっと眺めながら僕にそう聞いた。
「はい。
もちろん出来ますが何か桶などの入れる容器があれば良いのですが……」
「桶ならばすぐに準備させよう」
ランスロットは控えている職員に指示をして桶を準備させた。
「これでいいかな?」
「はい。
ではカード化を解きますので少し離れてください魚が跳ねるかもしれませんので」
僕はそう言うとカード化している金色マースの開放をした。
「開放」
――ぴちぴち。
カード化を解いた途端に桶の中に生きたままの金色マースがあらわれた。
「おおっ!?
これはなんと言うことだ!」
ランスロットは桶の中で飛び跳ねる金色マースを見て驚きの声をあげる。
「これがお話にあがっていた『金色マース』です。
色が金色に輝いて見えるのでギルドの方でその名前をつけたと聞いています」
僕の説明を聞いているのか聞いていないのか分からないがランスロットは金色マースを見ながら興奮した様子で職員を呼びあるものを持ってくるように指示する。
「この金色マースは見本ですので別にロギナスのギルドマスターから預かっている鮮度保持箱に入っている金色マースがあります。
これはどこに納品すれば良いですか?」
僕はそう言いながらウエストポーチから30枚ばかりのカードを取り出してテーブルに置いた。
「この魚達も全て生きているのか?」
「はい。
ですが出来るならば大きな水槽などに『きれいな水』を張ってもらってその中で泳がせてあげた方が長生きすると思います」
僕はあえて『魔法水で飼う』事は伏せて説明する。これはロギナスのギルドと契約して売った情報だからだ。無料で情報の開示をする訳にはいかない。
「そうか、分かったそのように準備をさせよう。
準備が終わり次第カード化を開放してもらう事になるだろう。
しかし、カード収納スキルは私が知っているよりも随分と有用なものなのですね。
申し訳ないがカード収納スキルのレベルを聞いてもいいかな?」
ランスロットは当然ながら今までに聞いた事のない『生きた物をカード化する』といった事実を目の当たりにしてそう問いかける。
「ああ、もちろん君には情報開示の拒否権があるからどうしても言いたくなければ仕方ない。
が、君はこれからマグラーレ君と大切な交渉があるのだろう?
自らの有用性をアピール出来るチャンスだとも思うがね」
ランスロットはやり手のギルドマスターらしくこちらの状況をきちんと把握しながら交渉をしてきた。
「レベルですか?
カード収納スキルのレベルならば現在は8になりました」
僕は特に悩む姿は見せずに素直に現在のレベルを公開した。
(どうせギルドマスター権限とか言って魔道具で調べるつもりだろうから下手に嘘をついていた方が当然印象も悪くなるだろうし、魔道具で分かるのはレベルだけだからスキルの内容までは言わなければどうとでもなるだろう)
「レ、レベル8……だと?」
「ランスロット君、私はスキルのレベルについて詳しくないから聞くがカード収納スキルのレベル8とは凄いものなのか?」
レベルの高さに驚くランスロットを見てマグラーレが興味をひかれたらしく彼に聞いた。
それでは出発致しますので馬車へお乗りください」
次の日のお昼すぎ、昼食を宿の食堂ですませた僕をアルフィードが迎えにやってきた。
「ノエルお嬢様は先に旦那様とご一緒に向かわれております」
今回の面会はギルドへの報告も兼ねているため王都斡旋ギルド本部の応接室での開催となったそうだ。
「今日のメンバーですが、旦那様に加えてギルドマスターのランスロット様、ノエルお嬢様に今回の旅で同行したヤード殿に自分の合わせて5名となります。
主に旦那様とランスロット様からのご質問があると思われますので正直に失礼のないようにお答えくださりますよう申し入れておきます」
アルフィードは僕にそう伝えると馬車を操り斡旋ギルドの建物へと向かった。
* * *
――からんからん。
どこの街の斡旋ギルドも同じ音のドア鐘を使っているそうで初めて来た巨大なギルドの建物でもどこかしら懐かしい感じを噛みしめながら僕とアルフィードはギルドの中を歩いていく。
――コンコン。
ある部屋のドアの前で止まったアルフィードがドアをノックして中にいる人に声をかけた。
「アルフィードです。
ミナト様をお連れ致しました」
アルフィードの声に反応するように中から重厚な低い声が返ってくる。
「どうぞ、はいりたまえ」
「失礼致します」
入室の許可が出た事によりアルフィードがドアを開けて先に深々とお辞儀をしてから部屋の中に歩を進める。
彼の後から僕も同様にお辞儀をしてから部屋に入るとそこには目つきの鋭い壮年の男性と眼鏡をかけたインテリ風の男性が並んでソファへ座っていた。
「ミナトさんはこちらにどうぞ」
あまりの存在感にふたりの男性に視線がいっていた僕をノエルの優しい声が迎えてくれた。
僕は彼女の側まで進み、ソファから立ち上がっていた彼女の横に立ちふたりの男性のほうへ向かって挨拶をした。
「ミナトと申します。
この度はこのような席を設けて頂きありがとうございます。
今日はギルドへの報告が一件とマグラーレ様への報告が一件ございますので宜しくお願いします」
「ああ、ロギナスのギルドマスターからいろいろ聞いているよ。
先にこちらの用件をすませてしまうとするかい?
マグラーレの方はじっくりと君に聞きたい事があるようだからね」
ランスロットはマグラーレにちらりと目線をおくると僕の方を向き直り報告を求めた。
「わかりました。
ではこちらをご覧ください」
僕はそう言ってウエストポーチから一枚のカードを取り出した。
「これがいま、ロギナスで大人気になっている金色マースになります。
もともとこのマースという魚は広く認識されている『煮ても焼いても泥臭くて食えない魚』の代表格でした。
それをある方法で劇的に美味しい魚へと変わったのがこの金色マースになるのです。
外観も黒っぽい色から黄金色に変わり味も泥臭い事は全くなく、淡白な白身の美味しい魚として生まれ変わったのです」
「ふむ。
ロギナスのギルドから報告があがっているものと同じ内容だな。
このカード化している金色マースはこの場で元に戻す事は可能なのか?」
ランスロットは僕の出したカードをじっと眺めながら僕にそう聞いた。
「はい。
もちろん出来ますが何か桶などの入れる容器があれば良いのですが……」
「桶ならばすぐに準備させよう」
ランスロットは控えている職員に指示をして桶を準備させた。
「これでいいかな?」
「はい。
ではカード化を解きますので少し離れてください魚が跳ねるかもしれませんので」
僕はそう言うとカード化している金色マースの開放をした。
「開放」
――ぴちぴち。
カード化を解いた途端に桶の中に生きたままの金色マースがあらわれた。
「おおっ!?
これはなんと言うことだ!」
ランスロットは桶の中で飛び跳ねる金色マースを見て驚きの声をあげる。
「これがお話にあがっていた『金色マース』です。
色が金色に輝いて見えるのでギルドの方でその名前をつけたと聞いています」
僕の説明を聞いているのか聞いていないのか分からないがランスロットは金色マースを見ながら興奮した様子で職員を呼びあるものを持ってくるように指示する。
「この金色マースは見本ですので別にロギナスのギルドマスターから預かっている鮮度保持箱に入っている金色マースがあります。
これはどこに納品すれば良いですか?」
僕はそう言いながらウエストポーチから30枚ばかりのカードを取り出してテーブルに置いた。
「この魚達も全て生きているのか?」
「はい。
ですが出来るならば大きな水槽などに『きれいな水』を張ってもらってその中で泳がせてあげた方が長生きすると思います」
僕はあえて『魔法水で飼う』事は伏せて説明する。これはロギナスのギルドと契約して売った情報だからだ。無料で情報の開示をする訳にはいかない。
「そうか、分かったそのように準備をさせよう。
準備が終わり次第カード化を開放してもらう事になるだろう。
しかし、カード収納スキルは私が知っているよりも随分と有用なものなのですね。
申し訳ないがカード収納スキルのレベルを聞いてもいいかな?」
ランスロットは当然ながら今までに聞いた事のない『生きた物をカード化する』といった事実を目の当たりにしてそう問いかける。
「ああ、もちろん君には情報開示の拒否権があるからどうしても言いたくなければ仕方ない。
が、君はこれからマグラーレ君と大切な交渉があるのだろう?
自らの有用性をアピール出来るチャンスだとも思うがね」
ランスロットはやり手のギルドマスターらしくこちらの状況をきちんと把握しながら交渉をしてきた。
「レベルですか?
カード収納スキルのレベルならば現在は8になりました」
僕は特に悩む姿は見せずに素直に現在のレベルを公開した。
(どうせギルドマスター権限とか言って魔道具で調べるつもりだろうから下手に嘘をついていた方が当然印象も悪くなるだろうし、魔道具で分かるのはレベルだけだからスキルの内容までは言わなければどうとでもなるだろう)
「レ、レベル8……だと?」
「ランスロット君、私はスキルのレベルについて詳しくないから聞くがカード収納スキルのレベル8とは凄いものなのか?」
レベルの高さに驚くランスロットを見てマグラーレが興味をひかれたらしく彼に聞いた。
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