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第4話【予想を裏切る感謝の言葉】
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「すみません。こんな人の目が多い場所で不遇扱いをされているスキルの説明をしてしまって……。
あの……元気を出してくださいね。サブスキルの鑑定は私も持ってますけどレベル5まで上げれば鑑定屋で雇って貰えますし、運が良ければいろんな町に買い付けに走る商人が雇ってくれる事もありますので……」
男が去った後、周りにいた者達も興味を失ったようで既に周りにはひとりも集まっては居なかった。
カード収納スキルを教えてくれた男性も説明が終わると「では、私もこれで……」とそそくさと奥に引っ込んでしまい、残されたサーシャが僕を必死でフォローしてくれていたのだ。
「なるほど、そうすれば良かったんですね。
本当にありがとうございます」
突然僕の口から出てきた感謝の言葉にサーシャは目を丸くして「えっ?」と驚いた。
「いや、僕は今のいままでスキルについて何も知らなかったのでそれを丁寧に教えてくれたあなたには感謝しかないですよ」
僕が笑顔でそう答えるとサーシャもほっと胸をなでおろして微笑んでくれた。
「あ、でもある程度の日銭を稼がないと手持ちが心もとなかったんで、何か僕に出来る仕事を紹介して貰えると助かるんですが、何かないですかね?」
「えっと、そうですね。
ミナト様のスキル構成は先程確認したとおり『カード収納』と『鑑定』ですがそれぞれまだ1レベルですので仕事には使えません。
ですので、スキルを必要としない仕事を紹介しますね」
サーシャはそう言うとカウンターの後ろからファイルを取出して依頼内容の確認をしてくれた。
「――現在、ミナト様に斡旋出来る依頼はこの2つになります。
ひとつ目は荷物の配達のお仕事。これは指定された場所から荷物を受け取って指定された場所へと運ぶものです。
それこそカード収納スキルがあれば楽にこなせるお仕事なんでしょうけど、この町にはカード収納を仕事に使う人が居ないので普通に抱えて運んでください。
そして、ふたつ目は町にあちらこちらにある公共施設の清掃です。
建物だったり公園だったりとかなりの数があるので手間ですし、時間の割には報酬も安いので人気のない依頼ですね。
どうされますか? 無理にとは言いませんけど明日以降になっても仕事が増えるかどうかは分かりません。
ですので、気乗り……」
「それで良いですよ」
「えっ?」
こちらの心配をしてくれているサーシャが驚きに声をあげた。
「まず、配達の依頼から受けたいと思います。そして、早く済んだらもう一つの依頼も受けたいと思います」
僕は前世でも配達の仕事をしていたし、既に持っていく荷物がはっきりしているならばそれほど大変ではないだろうと考えてそう決断をした。
「では、これが依頼書になりますのでこれを持って指定の場所へ荷物を取りに行ってください。
届け終わったら書類にサインを貰ってこちらに完了報告をされれば報酬をお支払いさせて頂きます。宜しいですか?」
サーシャはそう説明すると一枚の紙を僕に渡して「では、宜しくお願いします」とギルドを送り出してくれた。
「さて、色々と試したい事はあるけどまずは日銭を稼がないとな」
僕はそう呟きながら依頼書にある場所へと向かった。
* * *
「すみませーん。ギルドの紹介で荷物配達の依頼を受けた者ですけど……」
依頼のあったのは立派な門のある家で声をかけると少し年配の女性が対応してくれた。
「では、お荷物をお預かり致します」
僕は30センチ四方の箱を受け取りギルドで渡された預かり書を手渡してから家を出て届け先の確認をした。
――ギルドで渡された地図によるとこの町の反対側に位置する教会に持っていくようだった。
「わざわざギルドに依頼を出してまで届ける荷物ってなんだろうな?」
僕はちょっとした好奇心と覚えたてのスキルを使ってみたいとの欲求でその荷物に鑑定スキルを使ってみた。
【箱――何かが入っている箱。さほど重くない】
(うん、分かってたよ。鑑定レベル1じゃあ見た目に分かる情報くらいしか分からないって事は……)
「次はカード収納を試してみるか……。
――ストレージ!」
…………。
予定通り何も起こる気配もない。
(まあ、これも使えるとは思ってなかったから別に気落ちはしないけど……)
スキルが発動しなかったために魔力の消費もなく特に変わった事もなかったが実はかなり迂闊な事をしていたと後で気づく事になる。
「おっ、ここだな」
かなり大まかな地図だったがやはり教会の建物は目立つため、僕は無事に荷物を届ける事が出来た。
「すみません。
依頼により荷物をお届けに来ました。この書類に受け取り完了のサインをお願いします」
僕は教会で荷物の受け取りに出て来たシスターにお礼を言われながら荷物を渡して依頼書に完了のサインを貰った。
「ご依頼ありがとうございました。またお願いします」
僕からは前世の配達員の記憶だろうかそんな言葉が自然と出てくる。
僕の丁寧な言動に恐縮しながらシスターは僕が見えなくなるまで見送ってくれていた。
(この世界では元の世界のような丁寧なサービスは思ったよりも浸透していないのかもしれないな。
ならばそれを武器に一旗揚げる事が出来るかもしれない……)
僕は完了報告のために斡旋ギルドへ向かいながらそう感じていた。
* * *
「完了報告の確認をお願いします」
ギルドに着いた僕は窓口に完了報告書を出しながらそう告げた。
「もう終わったのですか?
早かったのですね」
窓口では受付をしてくれたサーシャが微笑みながら対応をしてくれた。
「――はい、確認しました。
では、こちらが完了報酬になります。それでもう一つの依頼も受けられますか?」
サーシャは銀貨を1枚僕の前に出してから次の依頼の話を始める。
「これが公共施設の清掃一覧です。それぞれに掃除が必要な箇所が記されていますので期限内にお願いします。
報告は毎日夕方にギルドにて受け付けますので終わった箇所を教えてください。
確認はギルドの職員が目視で行いますので申し訳ありませんが報酬は1日後になります。
なにか不明な点はありますか?」
サーシャの優しい対応に僕はありがたいと思いながら「特にありません。では、行ってきます」と笑顔を返してギルドを出て行った。
あの……元気を出してくださいね。サブスキルの鑑定は私も持ってますけどレベル5まで上げれば鑑定屋で雇って貰えますし、運が良ければいろんな町に買い付けに走る商人が雇ってくれる事もありますので……」
男が去った後、周りにいた者達も興味を失ったようで既に周りにはひとりも集まっては居なかった。
カード収納スキルを教えてくれた男性も説明が終わると「では、私もこれで……」とそそくさと奥に引っ込んでしまい、残されたサーシャが僕を必死でフォローしてくれていたのだ。
「なるほど、そうすれば良かったんですね。
本当にありがとうございます」
突然僕の口から出てきた感謝の言葉にサーシャは目を丸くして「えっ?」と驚いた。
「いや、僕は今のいままでスキルについて何も知らなかったのでそれを丁寧に教えてくれたあなたには感謝しかないですよ」
僕が笑顔でそう答えるとサーシャもほっと胸をなでおろして微笑んでくれた。
「あ、でもある程度の日銭を稼がないと手持ちが心もとなかったんで、何か僕に出来る仕事を紹介して貰えると助かるんですが、何かないですかね?」
「えっと、そうですね。
ミナト様のスキル構成は先程確認したとおり『カード収納』と『鑑定』ですがそれぞれまだ1レベルですので仕事には使えません。
ですので、スキルを必要としない仕事を紹介しますね」
サーシャはそう言うとカウンターの後ろからファイルを取出して依頼内容の確認をしてくれた。
「――現在、ミナト様に斡旋出来る依頼はこの2つになります。
ひとつ目は荷物の配達のお仕事。これは指定された場所から荷物を受け取って指定された場所へと運ぶものです。
それこそカード収納スキルがあれば楽にこなせるお仕事なんでしょうけど、この町にはカード収納を仕事に使う人が居ないので普通に抱えて運んでください。
そして、ふたつ目は町にあちらこちらにある公共施設の清掃です。
建物だったり公園だったりとかなりの数があるので手間ですし、時間の割には報酬も安いので人気のない依頼ですね。
どうされますか? 無理にとは言いませんけど明日以降になっても仕事が増えるかどうかは分かりません。
ですので、気乗り……」
「それで良いですよ」
「えっ?」
こちらの心配をしてくれているサーシャが驚きに声をあげた。
「まず、配達の依頼から受けたいと思います。そして、早く済んだらもう一つの依頼も受けたいと思います」
僕は前世でも配達の仕事をしていたし、既に持っていく荷物がはっきりしているならばそれほど大変ではないだろうと考えてそう決断をした。
「では、これが依頼書になりますのでこれを持って指定の場所へ荷物を取りに行ってください。
届け終わったら書類にサインを貰ってこちらに完了報告をされれば報酬をお支払いさせて頂きます。宜しいですか?」
サーシャはそう説明すると一枚の紙を僕に渡して「では、宜しくお願いします」とギルドを送り出してくれた。
「さて、色々と試したい事はあるけどまずは日銭を稼がないとな」
僕はそう呟きながら依頼書にある場所へと向かった。
* * *
「すみませーん。ギルドの紹介で荷物配達の依頼を受けた者ですけど……」
依頼のあったのは立派な門のある家で声をかけると少し年配の女性が対応してくれた。
「では、お荷物をお預かり致します」
僕は30センチ四方の箱を受け取りギルドで渡された預かり書を手渡してから家を出て届け先の確認をした。
――ギルドで渡された地図によるとこの町の反対側に位置する教会に持っていくようだった。
「わざわざギルドに依頼を出してまで届ける荷物ってなんだろうな?」
僕はちょっとした好奇心と覚えたてのスキルを使ってみたいとの欲求でその荷物に鑑定スキルを使ってみた。
【箱――何かが入っている箱。さほど重くない】
(うん、分かってたよ。鑑定レベル1じゃあ見た目に分かる情報くらいしか分からないって事は……)
「次はカード収納を試してみるか……。
――ストレージ!」
…………。
予定通り何も起こる気配もない。
(まあ、これも使えるとは思ってなかったから別に気落ちはしないけど……)
スキルが発動しなかったために魔力の消費もなく特に変わった事もなかったが実はかなり迂闊な事をしていたと後で気づく事になる。
「おっ、ここだな」
かなり大まかな地図だったがやはり教会の建物は目立つため、僕は無事に荷物を届ける事が出来た。
「すみません。
依頼により荷物をお届けに来ました。この書類に受け取り完了のサインをお願いします」
僕は教会で荷物の受け取りに出て来たシスターにお礼を言われながら荷物を渡して依頼書に完了のサインを貰った。
「ご依頼ありがとうございました。またお願いします」
僕からは前世の配達員の記憶だろうかそんな言葉が自然と出てくる。
僕の丁寧な言動に恐縮しながらシスターは僕が見えなくなるまで見送ってくれていた。
(この世界では元の世界のような丁寧なサービスは思ったよりも浸透していないのかもしれないな。
ならばそれを武器に一旗揚げる事が出来るかもしれない……)
僕は完了報告のために斡旋ギルドへ向かいながらそう感じていた。
* * *
「完了報告の確認をお願いします」
ギルドに着いた僕は窓口に完了報告書を出しながらそう告げた。
「もう終わったのですか?
早かったのですね」
窓口では受付をしてくれたサーシャが微笑みながら対応をしてくれた。
「――はい、確認しました。
では、こちらが完了報酬になります。それでもう一つの依頼も受けられますか?」
サーシャは銀貨を1枚僕の前に出してから次の依頼の話を始める。
「これが公共施設の清掃一覧です。それぞれに掃除が必要な箇所が記されていますので期限内にお願いします。
報告は毎日夕方にギルドにて受け付けますので終わった箇所を教えてください。
確認はギルドの職員が目視で行いますので申し訳ありませんが報酬は1日後になります。
なにか不明な点はありますか?」
サーシャの優しい対応に僕はありがたいと思いながら「特にありません。では、行ってきます」と笑顔を返してギルドを出て行った。
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