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第16話【錬魔士への緊急依頼 そのニ】
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「それを使うの?」
ララが心底嫌そうな顔をしながら聞いてきた。
僕がシールに取り出して貰ったものは『嘘ついたら電撃ビリビリ杖』と言う微妙なネーミングセンスの嘘発見器だ。
現実世界での嘘発見器は嘘をついた時の心拍数や汗のかき具合や眼の動き等の変化で嘘を見抜く物だったが、この世界で僕に作れない物なんて存在しないかの如く作り上げた杖。
当たり前だが、世界に一本しかない反則錬金アイテムである。
その杖の特殊スキル、神眼の裁きにより絶対的ジャッジメントが発動して嘘と判断されれば問答無用で神罰の雷が回答者に降り注ぐ事になるアーティファクトアイテムであった。
しかも、ついた嘘の重大さによって威力が違うと言うオマケ付きである。
ちなみにテストでララに軽い嘘をついて貰ったがドラゴンであるララが気絶するくらいの威力で慌ててセジュにヒールをかけて貰い気がついた後めちゃくちゃ怒られてご機嫌とりにケーキを散々作らされた苦い思い出のあるアイテムでもある。
「ふたりとも今言った内容に嘘はないよね?」
僕は杖をふたりの前にかざしながら質問をした。
「う、嘘なんかじゃありません!」
「はぁ?なんで部外者のあんた達にそんなこと言わないといけないの。バカじゃないの?」
ふむ、そう来たか。フラリスは即否定したが、イリアスは質問自体の回答を拒否か。
どちらが怪しいかは一目瞭然だが、怪しいだけでは裁けないよな。
だけど残念ながらこのスキルの凄い所は言葉に出さなくても嘘に反応する事なんだ。
『ガラガラドガガガン!!』
「きゃあああああ!!」
僕が杖を軽く円を描くように回しながらスキルを発動させると今まで見たことのない赤い稲妻がイリアスに降り注いだ!
「イリアス!イリアス!!」
イリアスは雷に撃たれた衝撃で真っ黒な炭と化していた。
フラリスは雷に撃たれた友に驚きの悲鳴をあげ、イリアスの元へ駆け寄った。
「なんて事を!ここまでしなくても!」
僕は非難の声を手で制しながらフラリスに幾つか質問を投げ掛けた。
「まあ、待て。あんた達精霊はこの程度の雷を受けたくらいで存在が消滅するのか?」
確かに見た感じは即死級の雷撃だったが、そもそも精霊はこの世界では仮の姿で何かしらの媒体を経て実在しているはずであるからして普通の人間とは死と言う概念が違うのではないのか?
「そんなこと無いわよ」
「それは私達マスターに召喚された精霊だけですよ」
「自分らだけのような気がするぜ」
「非常にまずい気がするのですが」
「…………。」
「マジかー!!」
僕は慌ててイリアスに駆け寄って状態を確認した。
「大丈夫だ、かなりダメージをおっているけど気絶しているだけだ。
セジュ、回復してやってくれるか?」
「わかりました。エクスヒール!」
気絶して地に伏しているイリアスにセジュが回復魔法の光が包みこんだ。
「ん……」
「ここは?あれ?私どうしてこんな所に?」
「確かフリッジス様の加護力が薄くなっている影響で里の精霊達が次々と病に伏していて私も動けなくなっていたはずなのに……」
そう言いながらイリアスは自分の身体を見回してフラリスに聞いた。
「しかも体は痛くないのに服はボロボロ。
髪はチリチリだしよく見るとあちこち焦げているし……。フラリス何でか知らない?」
「あはははははは。何でだろうね」
フラリスは曖昧に誤魔化しながらイリアスに分かる範囲での説明を求めた。
「確かフリッジス様から各地の識者に救援を要請するように指示されて、隣国のギルドに向かう準備をしている途中で……えーとどうしたんだっけ?」
「何か記憶が曖昧なんだけど、とにかくフラリスが戻って来たらフリッジス様の所へ連れて来るように言われた気がするのよね」
僕は少し考えこんで今の状況と対策を導き出して必要なアイテムの準備をする事にした。
「大体予想はついたから巨木に行く前に幾つか薬を作って行きたいと思うから1時間程待機で、念のために周囲の警戒だけは頼むよ」
「シールは錬金釜と使う素材の準備を頼む、せっかくだからララは手伝ってくれ」
僕は指示を出すと早速幾つかの薬を作り始めた。
* * *
「とりあえずこのくらいでいいかな」
僕は今時点で考え付く対処薬を作り上げるとフラリスとイリアスに手渡しながら説明した。
「まずは原因の特定が必要だから渡した順番に薬を使ってくれ」
「最初は細菌類に対する処方薬だ。実はこいつが一番厄介で肉眼ではほぼ分からないから僕達が攻撃されても発見が難しいんだ」
「この薬で改善できればよし。改善されなければ殺虫剤を使ってみる。
こいつは僕の知識の中にあるありとあらゆる害虫に効く成分で作られているから害虫が原因なら症状の進行は止まるはずだ」
「それでも駄目なら未知の生物もしくは未知の病気の可能性が高くなる。
そうなると解決は一気に難しくなる」
念のために【オール万能薬】なるチート薬も調合したが素材がレアすぎて僕のチートスキルで作るオリジナルしか作る事が出来なかったので秘密にしておいた。
薬を渡し終えた僕達は谷の長である巨木のある中心地へと向かって歩を進めた。
「前方ななめ右30度の方向。何者かの気配があります!数5!」
「弓矢が来ます!ウインドシールド!!」
セジュの索敵から割り出した方角から弓矢の雨が降り注いだが保持していた風魔法で迎撃をする。
「フラリス!イリアス!こいつらに見覚えはあるか!」
僕は答えの予想はついていたが念のためにふたりに確認した。
「里の仲間達ですわ」
「皆どうして!?私達が分からないの?」
フラリス達の必死の叫びも襲撃者達は表情ひとつ変えずに次の矢の準備をし僕達に構える。
「仕方ない。ちょっとおとなしくしてもらうか。ミスド、セジュ頼む」
「「了解!!」」
「ブライントルネード!」
「うぉぉぉお!瞬歩!アーンド雷鳴一閃(最弱)」
セジュの魔法で敵の視界を遮り、ミスドの剣圧で敵を無力化していく。
精霊同士の戦いでも戦闘のプロフェッショナルと身体能力があるだけの素人では勝負になるはずもない。
あっと言う間に襲ってきた者達を無力化して縛り上げた。
「それじゃあ薬を試してみようか」
気がついた時に暴れられないように拘束させてもらい、一人づつ起こして試してみた。
「まずは殺菌剤、続いて殺虫剤」
それぞれ試してみるも、改善する様子がない。
「参ったな。これ程効果が無いとは、さてどうするかな?」
僕はふとイリアスが正気に戻った時の事を思い出した。
「もしかしたら魔力ダメージによる気絶で正気に戻るのか?」
まだ仮定でしかないために試すのは少々気が引けるが薬が効かないからには試してみる価値はあるかもしれないな。
「そうだな、試すとしたら【雷】か【水】になるけどイリアスの時が電撃だったから雷で試してみるか」
「セジュ。とりあえずこっちの方から電撃魔法をかけてみてくれ」
「ああ、死なない程度に頼むよ」
「なっ何だと!貴様ら鬼か!」
「ガアァァァァ!!」
「話しの通じない奴等に構っている暇は無いんだって気絶したか。セジュ今度は回復魔法を頼む」
「了解です。マスター」
セジュは僕の指示どおりに回復魔法をかける。
「こっ、ここは?俺は何をしていたんだ?」
気絶から回復した男は何かから解放されたように頭を振りながら辺りを見回していた。
「ふむ、やはりそうだったか。
なるほどな、まだ推測の域だが精霊達の体内に僕の知識外の物質が存在していて、それを魔力にて破壊すれば洗脳から解放出来る訳だ」
「せっかく作った薬が無駄になったな。まあまた別の時に使えばいいか」
僕は二人から効かない薬を回収してシールに収納してもらい、代わりに回復薬を出してもらった。
「よし!状況の把握は大体ついたからいよいよ本命といくか!対処方法が分かれば何とかなるさ」
「今回は主にセジュの電撃魔法でのダメージと回復で行くからね。回復は間に合わなければ『気付け薬』と『回復薬』があるから併用していこう」
僕は皆と共に学ぶ谷の中心、巨木の精霊『フリッジス』に会いに歩を進めた。
ララが心底嫌そうな顔をしながら聞いてきた。
僕がシールに取り出して貰ったものは『嘘ついたら電撃ビリビリ杖』と言う微妙なネーミングセンスの嘘発見器だ。
現実世界での嘘発見器は嘘をついた時の心拍数や汗のかき具合や眼の動き等の変化で嘘を見抜く物だったが、この世界で僕に作れない物なんて存在しないかの如く作り上げた杖。
当たり前だが、世界に一本しかない反則錬金アイテムである。
その杖の特殊スキル、神眼の裁きにより絶対的ジャッジメントが発動して嘘と判断されれば問答無用で神罰の雷が回答者に降り注ぐ事になるアーティファクトアイテムであった。
しかも、ついた嘘の重大さによって威力が違うと言うオマケ付きである。
ちなみにテストでララに軽い嘘をついて貰ったがドラゴンであるララが気絶するくらいの威力で慌ててセジュにヒールをかけて貰い気がついた後めちゃくちゃ怒られてご機嫌とりにケーキを散々作らされた苦い思い出のあるアイテムでもある。
「ふたりとも今言った内容に嘘はないよね?」
僕は杖をふたりの前にかざしながら質問をした。
「う、嘘なんかじゃありません!」
「はぁ?なんで部外者のあんた達にそんなこと言わないといけないの。バカじゃないの?」
ふむ、そう来たか。フラリスは即否定したが、イリアスは質問自体の回答を拒否か。
どちらが怪しいかは一目瞭然だが、怪しいだけでは裁けないよな。
だけど残念ながらこのスキルの凄い所は言葉に出さなくても嘘に反応する事なんだ。
『ガラガラドガガガン!!』
「きゃあああああ!!」
僕が杖を軽く円を描くように回しながらスキルを発動させると今まで見たことのない赤い稲妻がイリアスに降り注いだ!
「イリアス!イリアス!!」
イリアスは雷に撃たれた衝撃で真っ黒な炭と化していた。
フラリスは雷に撃たれた友に驚きの悲鳴をあげ、イリアスの元へ駆け寄った。
「なんて事を!ここまでしなくても!」
僕は非難の声を手で制しながらフラリスに幾つか質問を投げ掛けた。
「まあ、待て。あんた達精霊はこの程度の雷を受けたくらいで存在が消滅するのか?」
確かに見た感じは即死級の雷撃だったが、そもそも精霊はこの世界では仮の姿で何かしらの媒体を経て実在しているはずであるからして普通の人間とは死と言う概念が違うのではないのか?
「そんなこと無いわよ」
「それは私達マスターに召喚された精霊だけですよ」
「自分らだけのような気がするぜ」
「非常にまずい気がするのですが」
「…………。」
「マジかー!!」
僕は慌ててイリアスに駆け寄って状態を確認した。
「大丈夫だ、かなりダメージをおっているけど気絶しているだけだ。
セジュ、回復してやってくれるか?」
「わかりました。エクスヒール!」
気絶して地に伏しているイリアスにセジュが回復魔法の光が包みこんだ。
「ん……」
「ここは?あれ?私どうしてこんな所に?」
「確かフリッジス様の加護力が薄くなっている影響で里の精霊達が次々と病に伏していて私も動けなくなっていたはずなのに……」
そう言いながらイリアスは自分の身体を見回してフラリスに聞いた。
「しかも体は痛くないのに服はボロボロ。
髪はチリチリだしよく見るとあちこち焦げているし……。フラリス何でか知らない?」
「あはははははは。何でだろうね」
フラリスは曖昧に誤魔化しながらイリアスに分かる範囲での説明を求めた。
「確かフリッジス様から各地の識者に救援を要請するように指示されて、隣国のギルドに向かう準備をしている途中で……えーとどうしたんだっけ?」
「何か記憶が曖昧なんだけど、とにかくフラリスが戻って来たらフリッジス様の所へ連れて来るように言われた気がするのよね」
僕は少し考えこんで今の状況と対策を導き出して必要なアイテムの準備をする事にした。
「大体予想はついたから巨木に行く前に幾つか薬を作って行きたいと思うから1時間程待機で、念のために周囲の警戒だけは頼むよ」
「シールは錬金釜と使う素材の準備を頼む、せっかくだからララは手伝ってくれ」
僕は指示を出すと早速幾つかの薬を作り始めた。
* * *
「とりあえずこのくらいでいいかな」
僕は今時点で考え付く対処薬を作り上げるとフラリスとイリアスに手渡しながら説明した。
「まずは原因の特定が必要だから渡した順番に薬を使ってくれ」
「最初は細菌類に対する処方薬だ。実はこいつが一番厄介で肉眼ではほぼ分からないから僕達が攻撃されても発見が難しいんだ」
「この薬で改善できればよし。改善されなければ殺虫剤を使ってみる。
こいつは僕の知識の中にあるありとあらゆる害虫に効く成分で作られているから害虫が原因なら症状の進行は止まるはずだ」
「それでも駄目なら未知の生物もしくは未知の病気の可能性が高くなる。
そうなると解決は一気に難しくなる」
念のために【オール万能薬】なるチート薬も調合したが素材がレアすぎて僕のチートスキルで作るオリジナルしか作る事が出来なかったので秘密にしておいた。
薬を渡し終えた僕達は谷の長である巨木のある中心地へと向かって歩を進めた。
「前方ななめ右30度の方向。何者かの気配があります!数5!」
「弓矢が来ます!ウインドシールド!!」
セジュの索敵から割り出した方角から弓矢の雨が降り注いだが保持していた風魔法で迎撃をする。
「フラリス!イリアス!こいつらに見覚えはあるか!」
僕は答えの予想はついていたが念のためにふたりに確認した。
「里の仲間達ですわ」
「皆どうして!?私達が分からないの?」
フラリス達の必死の叫びも襲撃者達は表情ひとつ変えずに次の矢の準備をし僕達に構える。
「仕方ない。ちょっとおとなしくしてもらうか。ミスド、セジュ頼む」
「「了解!!」」
「ブライントルネード!」
「うぉぉぉお!瞬歩!アーンド雷鳴一閃(最弱)」
セジュの魔法で敵の視界を遮り、ミスドの剣圧で敵を無力化していく。
精霊同士の戦いでも戦闘のプロフェッショナルと身体能力があるだけの素人では勝負になるはずもない。
あっと言う間に襲ってきた者達を無力化して縛り上げた。
「それじゃあ薬を試してみようか」
気がついた時に暴れられないように拘束させてもらい、一人づつ起こして試してみた。
「まずは殺菌剤、続いて殺虫剤」
それぞれ試してみるも、改善する様子がない。
「参ったな。これ程効果が無いとは、さてどうするかな?」
僕はふとイリアスが正気に戻った時の事を思い出した。
「もしかしたら魔力ダメージによる気絶で正気に戻るのか?」
まだ仮定でしかないために試すのは少々気が引けるが薬が効かないからには試してみる価値はあるかもしれないな。
「そうだな、試すとしたら【雷】か【水】になるけどイリアスの時が電撃だったから雷で試してみるか」
「セジュ。とりあえずこっちの方から電撃魔法をかけてみてくれ」
「ああ、死なない程度に頼むよ」
「なっ何だと!貴様ら鬼か!」
「ガアァァァァ!!」
「話しの通じない奴等に構っている暇は無いんだって気絶したか。セジュ今度は回復魔法を頼む」
「了解です。マスター」
セジュは僕の指示どおりに回復魔法をかける。
「こっ、ここは?俺は何をしていたんだ?」
気絶から回復した男は何かから解放されたように頭を振りながら辺りを見回していた。
「ふむ、やはりそうだったか。
なるほどな、まだ推測の域だが精霊達の体内に僕の知識外の物質が存在していて、それを魔力にて破壊すれば洗脳から解放出来る訳だ」
「せっかく作った薬が無駄になったな。まあまた別の時に使えばいいか」
僕は二人から効かない薬を回収してシールに収納してもらい、代わりに回復薬を出してもらった。
「よし!状況の把握は大体ついたからいよいよ本命といくか!対処方法が分かれば何とかなるさ」
「今回は主にセジュの電撃魔法でのダメージと回復で行くからね。回復は間に合わなければ『気付け薬』と『回復薬』があるから併用していこう」
僕は皆と共に学ぶ谷の中心、巨木の精霊『フリッジス』に会いに歩を進めた。
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