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時の流れ
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週末の市街地。
今日も幹線道路は良く混んでいた。
乗用車、バス、トラック、すべての車が、目的地に向かって交錯していた。
オレは、混んだ市街地を走り回るよりも、高速道路に乗って遠くに行く方が好きだ。
高速道路を走っていると、すごく解放された気持ちになる。
ただ走っているだけで金になるなんて、ほんと、いい仕事だと思った。
体力的に言うと、決して楽な仕事ではないけど、ずっと同じ建物の中で働くよりも気楽だった。
オレは以前よりも、少しばかり筋力がついたような気がする。
季節は進み、太陽の陽射しが暖かい。
作業中は半袖でちょうどいい。
細い腕からは、小さな力こぶが見えていた。
職場は、十人程度の小さな運送会社だけど、アットホームな雰囲気なので居心地は良かった。
特に、もじゃもじゃ頭の森さんは、常にいろいろと気にかけてくれた。
「おい、中村、混んでいる時は焦っても仕方ないから、のんびりいけよ」
「それはそうと、おんぼろ車の調子はどうや?」
そして、いつも色気を発散させている鈴木さんも、
「朝御飯は、ちゃんと取らなあかんよ。この仕事はスタミナが大事やからね」
「靴が破れてるやん。そんなの履いてたら、女の子にもてないよ」
と、オレを気遣ってくれた。
オレは体力勝負の仕事にも慣れ、ひとりで回る配送の仕事にも自信がついてきた。
トラックは高速道路を走り、京都を越え、滋賀に入っていった。
今日は東海方面までの中距離配送だった。
山を越えるとラジオの電波が入りにくくなったので、カーステレオにカセットを入れた。
車内には、ビリー・ジョエルの「ALLENTOWN」が流れた。
耳慣れたハスキーボイスが心地いい。
テンポのいいリズムに体を合わせ、オレは気持ち良く運転していた。
鼻歌混じりに運転していたオレは、江州田も仕事を頑張ってるかな、と思った。
そして、少し昔のことを思い出していた。
高校生の頃、江州田と王崎、この二人との出会いを振り返っていた。
今日も幹線道路は良く混んでいた。
乗用車、バス、トラック、すべての車が、目的地に向かって交錯していた。
オレは、混んだ市街地を走り回るよりも、高速道路に乗って遠くに行く方が好きだ。
高速道路を走っていると、すごく解放された気持ちになる。
ただ走っているだけで金になるなんて、ほんと、いい仕事だと思った。
体力的に言うと、決して楽な仕事ではないけど、ずっと同じ建物の中で働くよりも気楽だった。
オレは以前よりも、少しばかり筋力がついたような気がする。
季節は進み、太陽の陽射しが暖かい。
作業中は半袖でちょうどいい。
細い腕からは、小さな力こぶが見えていた。
職場は、十人程度の小さな運送会社だけど、アットホームな雰囲気なので居心地は良かった。
特に、もじゃもじゃ頭の森さんは、常にいろいろと気にかけてくれた。
「おい、中村、混んでいる時は焦っても仕方ないから、のんびりいけよ」
「それはそうと、おんぼろ車の調子はどうや?」
そして、いつも色気を発散させている鈴木さんも、
「朝御飯は、ちゃんと取らなあかんよ。この仕事はスタミナが大事やからね」
「靴が破れてるやん。そんなの履いてたら、女の子にもてないよ」
と、オレを気遣ってくれた。
オレは体力勝負の仕事にも慣れ、ひとりで回る配送の仕事にも自信がついてきた。
トラックは高速道路を走り、京都を越え、滋賀に入っていった。
今日は東海方面までの中距離配送だった。
山を越えるとラジオの電波が入りにくくなったので、カーステレオにカセットを入れた。
車内には、ビリー・ジョエルの「ALLENTOWN」が流れた。
耳慣れたハスキーボイスが心地いい。
テンポのいいリズムに体を合わせ、オレは気持ち良く運転していた。
鼻歌混じりに運転していたオレは、江州田も仕事を頑張ってるかな、と思った。
そして、少し昔のことを思い出していた。
高校生の頃、江州田と王崎、この二人との出会いを振り返っていた。
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