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プロローグ

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小さな公園で男がベンチに座っていた。

ベンチに座りながら、行き来する人をながめていた。

それは、髪の長い初老の男だった。

ベンチのそばに設置してあるフェンスには、赤い薔薇ばらつるを伸ばして咲いている。

しばらくすると、男の目の前を、二十歳はたちくらいの若い女が通り過ぎていった。

男は何かを感知したのか、突然立ち上がり、その女のあとを静かについていく。

女は少し歩くと、三階建ての建物に入っていった。

建物には、『医療クリニック』と書かれてある。

初老の男はにやりと笑い、女が入っていった建物を見ていた。

男は、赤いチェックのポンチョを着て、ループタイをしていた。
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