87 / 126
第86話「和平」
しおりを挟む
◇
話は山本が対策室を訪れる前にさかのぼる。
ゼロの本部の屋上で缶コーヒーを片手に山本と鷹橋は夕日が沈みきった空を二人は眺めていた。辺りは夕日が沈んでから急に暗くなり始め、夜の訪れを感じさせた。
鷹橋はさっきまで夕日が見えていた視線から、隣に立つ山本に体を向けた。
「山本さん」
「どうした? そんなに改まって」と山本は自分から話し始める鷹橋を珍しがった。
鷹橋は持ち掛けておいて、言うか、言わまいかしばらくの逡巡があって、意を決した。
「実は、不死身を逃したのは僕なんです」
山本は鷹橋から発せられたその衝撃的な発言を時間が遅れて体中に浸透していくようにいつも通りの表情から徐々に目を見開いて、そして鷹橋を見下ろした。後方の電灯が作る山本の陰が鷹橋を覆った。
「どうしてそんなことを…」
鷹橋は見上げていた山本から一度目をそらした、そして、覚悟を決めて再び目を合わせる。鷹橋はいつものように冷静な表情ではあるが、呼吸のリスムが速い。
「わかっています。でも、僕は自分のやったことが間違っているなんて思いません」
「だからってお前、自分が何を言っているのかわかっているのか? お前の一個人でやったことが人類の生死に直結する事なんだぞ。もしこれが、室長にバレたらお前はもうゼロにはいられない。それどころか、ゼロにとってヴァンパイアへの肩入れは最も罪が重い行為、一生塀の中で過ごすことになる。姉にだってもう会えなくなるかもしれないんだぞ?」
山本は鷹橋の肩をゆすって訴えた。鷹橋は姉という言葉を聞いた時、脱力したように首が前後に揺れる。それでも、鷹橋は力を戻して向き直る。
「このままじゃこの戦いに終わりは訪れません。また、姉のような被害者を増やしてしまう。僕はもうこんなことを二度と繰り返したくはないんです」
鷹橋は強く訴えたがそれでも、山本は鷹橋が悪い冗談を言っているのではないかと疑って、その疑念をを確信したようにまた目を見開いて言った。
「鷹橋。そう言えって不死身に脅されてるのか? きっと何か交換条件があるんだろ? 何かあったら言ってみろ。俺はお前の上司なんだ何も隠すことはない、脅されていたのなら室長に相談してみれば罪を軽…」
山本は鷹橋を親身になって説得しようと試みた。山本が肩に乗せた手を握る力が徐々に強くなっていく。しかし、鷹橋は山本の言葉を遮って、肩に乗せられたその手を振り払った。
「違います。これは、僕の意志でやりました。もちろん、許されざることであるのは理解しています。どんな罪でもちゃんとつぐなうつもりです。でも、これは不死身と話し合ってお互いで決めたことなんです」
山本は「は?」と首を傾げて信じがたいという様子だった。
「話し合い? あの不死身とか? 鳥田さんでさえも口を割らなかった相手だぞ。そんな相手にどうやって話し合いなんかしたんだ」
鷹橋は首を横に振った。
「鳥田さんが不死身とどう対応したかはわかりません。でも、僕はその不死身の吸血鬼と対等な立場で話し合った。たとえ相手がヴァンパイアでも僕が人間でも、そんなことは関係ない。そして、彼は人間との共存を望んでいて、人間に協力すると言っていた。彼の言葉を聞いて確信したんです。僕らもヴァンパイアってだけで人類の敵だって勝手に決めつけて全員殺せばいいって思っていたし、アカデミーでもそう教えられてきた、でも実際に見てきた現実は違っていた。ヴァンパイアでも、互いに話し合えば平和を実現することができるんです」
山本はまるで鷹橋の言葉が耳に入っていないように迷うこと無く再び両手で肩を掴んだ。
「頼む鷹橋! いい加減目を覚ましてくれ! お前は騙されてるんだ、ヴァンパイアなんか信用するな」
山本は再び鷹橋の肩を揺すっていつもの鷹橋を呼び戻そうと必死だった。しかし、山本の願いは叶わなかった。
鷹橋は山本の手を振り払って頭を振った。
「目を覚ますのは山本さんの方です! ゼロはヴァンパイアを全員敵だとみなしてヴァンパイアの言い分なんか真剣に聞くこともなく殺すことだけを考えてきた。自分たちがヴァンパイアよりも上の存在だと思って、ヴァンパイアを全員殺すことで平和が訪れると思って。その結果が今なんです」
鷹橋はビルの下で行われているヴァンパイアの大群にゼロの隊員が次々に倒されていく戦いを指差した。
山本は話の通じない部下に大きくため息を吐いた。
「お前はまだ18だろ。ゼロに入ってまだ1年目だ。人生経験もゼロでも経験も少ないしこの世界の本当の恐怖をまだ知らない、知らなければなんとだって言えるんだ」
「そんなこと…」
「お前は大切な上司を殺されたことがあるか? 大切な人の最期も看取ることが出来ずにどこで亡くなったのかもわからない。そんな経験をしたことがあるか?」
鷹橋はその問いに答えることが出来なかった、そして、山本の瞳には涙が浮かんでいる。ビルの下では、どこからか誰のかもわからない悲鳴が聞こえた。
「木並さんが亡くなってからまだ、どこかで生きているんじゃないかって未だに思うんだ。昨日まで一緒にいた人が次の日突然いなくなる。病気だったら覚悟はできただろう。でも、そんな心の準備さえさせてくれなかったんだ。そうやって人の命を平気で奪うのがヴァンパイアだ。肩入れする理由なんて一切ない、この世界に一匹残らず殺すのがこの世界の平和への最も近道であり人類の正しい答えだ」
鷹橋は拳を握りしめた。上司の思いも今までのゼロでの戦闘経験から理解していたつもりだった。
「でも、争いは争いを生むだけです。ヴァンパイアを殺すからその報復にヴァンパイアは人を殺す。僕らも新しい解決策を見つけなくちゃいけないんです」
「いいかげんにしろ!」
山本が鷹橋の胸ぐらを掴んだ。そう言っている間にも二人が話している建物の下ではゼロの隊員が苦戦を強いられている。木並も臨時で他のS級が率いる隊の増援に行って戦っている。
「でも…」
鷹橋が言いかけた時、山本は鷹橋が言おうとしてることを言い切る前にすべて把握したように話を遮って言った。
「だから、あの化け物たちと一緒に戦えっていうのか? 人間と共存したいヴァンパイア? それはアイツらの都合だろ。アイツらは何人も人を殺してるんだぞ。吸血して奴らの食料にして生きてる奴らだ。人間であれば誰だって食らう。こっちの事情なんて考えないで、誰だって殺してしまうんだ…」
山本は鷹橋の襟から手を話して、眉間に拳を突きつける。そして、湧き上がるものを抑えていた。
「頼む鷹橋、冗談だって言ってくれないか? でないと、今までの俺がやってきたことが全て無駄になったみたいじゃないか」
鷹橋は俯いてしばらく考え込んだ。その上で言った。
「嘘じゃ…ないです」
山本は鷹橋から一歩後ずさった。指を突き立てたら後ろに倒れてしまいそうなくらい足元はおぼつかなくて危なげだった。もう一歩、後ろへ後ずさる。そして、鷹橋の後方に視線を向けると白い歯を見せて、そして諦めたように笑った。
「そうか。そうだったのか。わかったよ。普段お前は何もしゃべってくれないから。何を考えていることがよく分からなかったんだ…」
山本がこぼれ落ちるようにそう言うと、山本の視線の先、鷹橋の後方でコンクリートの地面の上に革靴で着地する乾いた音が聞こえた。鷹橋は後方を向いてからまるで来ることがわかっていたかのように、再び正面の山本に振り返った。
モラドの制服、黒いスーツを身にまとった楓は周辺のビルを伝いながらゼロ本部のビルの屋上へ着地した、そして、両手で大切そうに抱えていたセーラー服姿のユキをそっと足から降ろす。
山本は驚きのあまりもはや笑っている。怒るでもなく、絶望するでもなく鷹橋の意見を聞いた後の山本はただただ視線の先に現れたヴァンパイアと人間に対して笑うしかなかった。それは、相反する二種がまさに共存している様子だったからだ。
「…全て本当だったのか鷹橋」
鷹橋はうなずく。
楓とユキは鷹橋の隣に並んで立った。そして、楓は山本に近づいていき、やがて手を伸ばせば届くほどの距離まで近づいた。山本が剣を抜けば、手錠をかければ、いつでも捕まえることが出来る距離にいた。
「僕らモラドはゼロに全面的に協力します。そして、ゼロの方々の誰にも手は出しません」
そして、楓は握手をするように山本に片手を差し出した。それを見て山本は少し面食らった様子だった。
「僕らは人間の味方です」
山本は楓の手から隣に立つ鷹橋に視線を移した。
「山本さんこれば僕の答えです」
山本はまるで観念したかのようにため息を吐いた。
「部下ってのは、上司が知らない間に、知らないところで成長していくんもんなんだな。俺は、ずっと木並さんの背中を追いかけて、そして亡くなってもなお、あの時の、木並さんを目指してきた。それでもいつか、自分の意志で自分の選択で未来を築かなくちゃいけないってことはわかっていたんだ。時代は目まぐるしく変わっていくもんだな」
山本は一度目を閉じた。それは数秒間続いて、やがて開いた。そして、手を差し出して楓の手を握った。しっかりと、力を込めて。
このときに初めて不死身のヴァンパイアとゼロの隊長お互いが握手を交わす。
「俺は良い部下を持ったよ」
鷹橋はようやくこの時、山本の前で笑みを見せた。そして、山本にもモラドの存在や楓が不死身になった経緯を説明した。
「そうか、お互い苦労してきたんだな…」
山本は楓とユキの二人を交互に見た。
「伊純君と片桐さんか。わかった、僕から室長に話してみよう」
すると、山本は次に鷹橋に視線を向けた。少し笑みを浮かべている。
「鷹橋は普段喋らないから何を考えているのか僕もよくわかていなかった。話す機会を設けていなかった僕の責任でもあるけど、僕は部下を疑ったりしてどうしようもない上司だな…。なあ、鷹橋、俺は上司失格なのかな?」
鷹橋は首を横に振った。
「山本さんは僕にゼロの基本、戦闘の基本を教えてくれました。だから、僕はB級に昇格することが出来たんです。だから、僕は成長できた。山本さんがいなかったら今の僕はいません」
山本は部下の一言に瞳から零れ落ちそうになるものを抑えるために空を見上げた。空は、人類が窮地に立たされてる状況にもかかわらず満天の星空に、雲一つ無い星空に満月が輝いている。
楓達がいるビルの鉄柵にフックが引っ掛かり、カチャッというフックに備え付けられているロックがかかる音がした。そして、すぐに柵の下から腰のベルトから出るワイヤーに引っ張られ、人影が飛び上がって軽快な身のこなしで、楓たちの後方に着地する。
「鷹橋、山本さん。こっちも大変です。早…く…」
山本、鷹橋と同じようにオレンジ色の蛍光ラインが入ったパワードスーツ、アトンを着た隊員がゼロの二人の前で、本来あるべきではない、不死身とゼロの部隊の隊長が握手を交わしている光景に口を開いたまま動かないでいる。手に持っていた武器がすり抜けるように、地面に落ちた。
山本はつぶやくように言った。
「…木並」
「これは、一体どういうことですか?」
信じられないと、ぎこちなく引きつったように笑う木並に、山本が事情を説明しようと、口を開きかけた時だった。
「なんで、ゼロとヴァンパイアなんかが一緒にるんですか? 人間も。しかも、よりによって脱走した不死身とだなんて」
木並は間髪入れずに、続けて言う。
「これから確保するんですよね? 山本さん私手伝いますよ。その手を絶対に離さないでくださいね。鷹橋もそこでぼうっとしてないで早く手伝いなさいよ!」
まるで冗談であってほしいと言うように木並は言った。
しかし、木並の訴えとは逆に、鷹橋は隣に立つ不死身ではなく、後方の木並を振り返った。
「木並」
「ちょっと、なんでこっち見てんのよ。捕まえたんでしょ? 油断してるとまた逃げられるわよ」
「木並」
「下はもう大変なの、白い服着たヴァンパイアの大群が襲ってきてS級でも歯がたたないやつもいるの、だからそいつをさっさと牢屋にぶち込んだら、こっちも手伝ってよ」
「木並、違うんだ!」
鷹橋が木並の声をかき消すように、少し裏返ったが声を張り上げた。こんな声を張る鷹橋は初めて見たと、木並は時が止まったように、動かなかった。しかし、じわじわとこみ上げるものをぶつけるように、鷹橋の声よりも大きくして言った。
「何が違うのよ!」
2種の激しい争いが繰り広げられる地上では互いの声がぶつかり合って、喜怒哀楽様々な声が聞こえてくる。しかし、この時だけ辺りが一瞬シンと静まった。
「ヴァンパイアを見つけたら即殺す。ゼロの掟でしょ? なんで、あなた達はヴァンパイアなんかとバカみたいに握手してるのよ。しかも、最も警戒すべき不死身と…」
木並は押し殺していた怒りがついに爆発するように顔を赤くして声を張り上げた。
「随分仲良しで楽しそうね! 父を殺したヴァンパイアなんかと!」
まるで木並と楓たちと分厚い壁ができたようだったが、ユキはお構いなしにその壁を壊してゆく。まるで、弾むような笑みで木並に問いかけた。
「木並さん」
「あなたは…」
ヴァンパイア側の人間に思わず木並も対応に戸惑った。
「私は片桐ユキ。多分、木並さんと同い年ぐらいかな?」
「片桐さん、不死身は危険です。すぐにここを離れて安全な場所へ避難してください」
木並はユキの腕を掴んで引っ張ろうとしたが、ユキは腕を掴む木並の手にそっともう片方の手を添えてから首を横に振った。
「私にとって安全な場所は守ってくれる人が直ぐ側にいることなの」
「『人』って、片桐さんまで…」
「木並ちゃん、私もねヴァンパイアのことが大嫌いだったの。大切な友達をひどい目に合わせるような悪いやつだし、人の血を吸って殺しちゃう。人間の敵で、早くこの世からいなくなればいいのにって」
ユキは、怯える木並をなだめようと優しく微笑む。
「でもね、ヴァンパイアがみんなそうじゃないってモラドのみんなと話していてわかったの。私ね、ヴァンパイアのお友達も出来たんだよ。ちょっと意地悪だけどクールな女の子。何考えてるかわからない赤毛の男の子。チャラそうだけど優しい先輩。ちょっと、気難しいヴァンパイアもいるけどね」
ユキは小さく笑って頬を掻いた。そして、腕を掴んでいた木並の手を離して、両手で包み込むように握った。
「全員が悪者じゃないんだよ。みんなでちゃんと話し合えば失わなくて良い命があるんだから」
木並は握っていたユキの手を離して、両膝を地面についた両手で目を覆い唇を震わしながら言った。
「そんな…だからって、だからって今までヴァンパイアが奪ってきた命は返ってこない」
「木並、お前がお父さんの敵を取るために今まで頑張ってきたことはアカデミーの頃から同じだから僕も知ってる」
「何よ! あんたなんかが私の気持ち、わかるわけ無いでしょ! いつも、ボーッとして何考えてるかわかんない奴に!」
「わからない。僕は目の前で大切な人を亡くしたことはないから。だけど…」
鷹橋は途中まで言うと、俯き、両手の握る手に力を込めた。そして、木並に視線を戻した。
「僕はもう誰も巻き込みたくはないんだ。辛い思いをするのは僕らの世代で終わらせよう」
木並は鷹橋の発言に少し面食らったようだった。木並の涙で赤く腫らした瞳、そして、その瞳はいつもキリリとした目つきから穏やかにそれでも、不安をにじませたように見えた。
「協力してくれるか? 木並」
鷹橋は木並に手を差し出して握手を求めた。しかし、木並はその手を思いっきり叩いて弾けるような音が大きくなった。地面に膝を着いていた木並は立ち上がって鷹橋と同じ目線になる。
「あなたが私に指図しないで。こんな状況だから協力してあげるけど、協力するのは私の意志。片桐さんにはちょっと揺らいだ部分もあったけど、あなたに命令されてやるんじゃないの」
木並は山本と並んで立っている楓に指を指して、つばを飛ばしそうな勢いで捲し立てた。
「そこの不死身、よく訊きなさい! この戦いだけはあなた達に協力してあげる。でも、あなた達に協力しても平和が実現しなかったら、モラドとかいうふざけた組織のヴァンパイアが一人でも殺しをしたら、私はあなた達を一匹残らず容赦なく殺すわ」
その勢いに楓も少し驚いた様子だったが、真剣な顔つきに変わった。
「わかった。僕も約束するよ」
山本は相変わらず威勢の良い木並に思わず笑って「若人の成長は著しいな」と手を広げ首を横に振った。
「木並、優豪さんに言われてるんだ。人の言う事聞かない娘だけど何かあったら守ってくれって。鷹橋もな、俺が上司としてお前たちを守ってやるから」
山本は胸に自分の拳を突きつけた。それを見て木並が言う。
「じゃあ、まずは山本さんから室長に言ってくださいよ」
山本は室長の近藤の怒り狂う顔を想像して、ため息を着いたが再び真剣な顔に戻った。
「任せとけ!」
話を終えた5人は、肩を並べて屋上から建物内に入るドアまで歩き、建物の中へと消えていった。
「六花ちゃん、やっぱり見に来てたんじゃん」
「あなたもでしょ」
「かわいい後輩の成長を見過ごすわけには行かないからね。女の子も手に入れてるし、着実に成長してて安心したよ。男としてね」
「呆れた。甘やかすのもいい加減にしたら?」
鬼竜は、へへへと笑って頭を掻いた。そして、青いスーツを肘の位置までまくった。
「さて、次は僕らの番だろうね」
話は山本が対策室を訪れる前にさかのぼる。
ゼロの本部の屋上で缶コーヒーを片手に山本と鷹橋は夕日が沈みきった空を二人は眺めていた。辺りは夕日が沈んでから急に暗くなり始め、夜の訪れを感じさせた。
鷹橋はさっきまで夕日が見えていた視線から、隣に立つ山本に体を向けた。
「山本さん」
「どうした? そんなに改まって」と山本は自分から話し始める鷹橋を珍しがった。
鷹橋は持ち掛けておいて、言うか、言わまいかしばらくの逡巡があって、意を決した。
「実は、不死身を逃したのは僕なんです」
山本は鷹橋から発せられたその衝撃的な発言を時間が遅れて体中に浸透していくようにいつも通りの表情から徐々に目を見開いて、そして鷹橋を見下ろした。後方の電灯が作る山本の陰が鷹橋を覆った。
「どうしてそんなことを…」
鷹橋は見上げていた山本から一度目をそらした、そして、覚悟を決めて再び目を合わせる。鷹橋はいつものように冷静な表情ではあるが、呼吸のリスムが速い。
「わかっています。でも、僕は自分のやったことが間違っているなんて思いません」
「だからってお前、自分が何を言っているのかわかっているのか? お前の一個人でやったことが人類の生死に直結する事なんだぞ。もしこれが、室長にバレたらお前はもうゼロにはいられない。それどころか、ゼロにとってヴァンパイアへの肩入れは最も罪が重い行為、一生塀の中で過ごすことになる。姉にだってもう会えなくなるかもしれないんだぞ?」
山本は鷹橋の肩をゆすって訴えた。鷹橋は姉という言葉を聞いた時、脱力したように首が前後に揺れる。それでも、鷹橋は力を戻して向き直る。
「このままじゃこの戦いに終わりは訪れません。また、姉のような被害者を増やしてしまう。僕はもうこんなことを二度と繰り返したくはないんです」
鷹橋は強く訴えたがそれでも、山本は鷹橋が悪い冗談を言っているのではないかと疑って、その疑念をを確信したようにまた目を見開いて言った。
「鷹橋。そう言えって不死身に脅されてるのか? きっと何か交換条件があるんだろ? 何かあったら言ってみろ。俺はお前の上司なんだ何も隠すことはない、脅されていたのなら室長に相談してみれば罪を軽…」
山本は鷹橋を親身になって説得しようと試みた。山本が肩に乗せた手を握る力が徐々に強くなっていく。しかし、鷹橋は山本の言葉を遮って、肩に乗せられたその手を振り払った。
「違います。これは、僕の意志でやりました。もちろん、許されざることであるのは理解しています。どんな罪でもちゃんとつぐなうつもりです。でも、これは不死身と話し合ってお互いで決めたことなんです」
山本は「は?」と首を傾げて信じがたいという様子だった。
「話し合い? あの不死身とか? 鳥田さんでさえも口を割らなかった相手だぞ。そんな相手にどうやって話し合いなんかしたんだ」
鷹橋は首を横に振った。
「鳥田さんが不死身とどう対応したかはわかりません。でも、僕はその不死身の吸血鬼と対等な立場で話し合った。たとえ相手がヴァンパイアでも僕が人間でも、そんなことは関係ない。そして、彼は人間との共存を望んでいて、人間に協力すると言っていた。彼の言葉を聞いて確信したんです。僕らもヴァンパイアってだけで人類の敵だって勝手に決めつけて全員殺せばいいって思っていたし、アカデミーでもそう教えられてきた、でも実際に見てきた現実は違っていた。ヴァンパイアでも、互いに話し合えば平和を実現することができるんです」
山本はまるで鷹橋の言葉が耳に入っていないように迷うこと無く再び両手で肩を掴んだ。
「頼む鷹橋! いい加減目を覚ましてくれ! お前は騙されてるんだ、ヴァンパイアなんか信用するな」
山本は再び鷹橋の肩を揺すっていつもの鷹橋を呼び戻そうと必死だった。しかし、山本の願いは叶わなかった。
鷹橋は山本の手を振り払って頭を振った。
「目を覚ますのは山本さんの方です! ゼロはヴァンパイアを全員敵だとみなしてヴァンパイアの言い分なんか真剣に聞くこともなく殺すことだけを考えてきた。自分たちがヴァンパイアよりも上の存在だと思って、ヴァンパイアを全員殺すことで平和が訪れると思って。その結果が今なんです」
鷹橋はビルの下で行われているヴァンパイアの大群にゼロの隊員が次々に倒されていく戦いを指差した。
山本は話の通じない部下に大きくため息を吐いた。
「お前はまだ18だろ。ゼロに入ってまだ1年目だ。人生経験もゼロでも経験も少ないしこの世界の本当の恐怖をまだ知らない、知らなければなんとだって言えるんだ」
「そんなこと…」
「お前は大切な上司を殺されたことがあるか? 大切な人の最期も看取ることが出来ずにどこで亡くなったのかもわからない。そんな経験をしたことがあるか?」
鷹橋はその問いに答えることが出来なかった、そして、山本の瞳には涙が浮かんでいる。ビルの下では、どこからか誰のかもわからない悲鳴が聞こえた。
「木並さんが亡くなってからまだ、どこかで生きているんじゃないかって未だに思うんだ。昨日まで一緒にいた人が次の日突然いなくなる。病気だったら覚悟はできただろう。でも、そんな心の準備さえさせてくれなかったんだ。そうやって人の命を平気で奪うのがヴァンパイアだ。肩入れする理由なんて一切ない、この世界に一匹残らず殺すのがこの世界の平和への最も近道であり人類の正しい答えだ」
鷹橋は拳を握りしめた。上司の思いも今までのゼロでの戦闘経験から理解していたつもりだった。
「でも、争いは争いを生むだけです。ヴァンパイアを殺すからその報復にヴァンパイアは人を殺す。僕らも新しい解決策を見つけなくちゃいけないんです」
「いいかげんにしろ!」
山本が鷹橋の胸ぐらを掴んだ。そう言っている間にも二人が話している建物の下ではゼロの隊員が苦戦を強いられている。木並も臨時で他のS級が率いる隊の増援に行って戦っている。
「でも…」
鷹橋が言いかけた時、山本は鷹橋が言おうとしてることを言い切る前にすべて把握したように話を遮って言った。
「だから、あの化け物たちと一緒に戦えっていうのか? 人間と共存したいヴァンパイア? それはアイツらの都合だろ。アイツらは何人も人を殺してるんだぞ。吸血して奴らの食料にして生きてる奴らだ。人間であれば誰だって食らう。こっちの事情なんて考えないで、誰だって殺してしまうんだ…」
山本は鷹橋の襟から手を話して、眉間に拳を突きつける。そして、湧き上がるものを抑えていた。
「頼む鷹橋、冗談だって言ってくれないか? でないと、今までの俺がやってきたことが全て無駄になったみたいじゃないか」
鷹橋は俯いてしばらく考え込んだ。その上で言った。
「嘘じゃ…ないです」
山本は鷹橋から一歩後ずさった。指を突き立てたら後ろに倒れてしまいそうなくらい足元はおぼつかなくて危なげだった。もう一歩、後ろへ後ずさる。そして、鷹橋の後方に視線を向けると白い歯を見せて、そして諦めたように笑った。
「そうか。そうだったのか。わかったよ。普段お前は何もしゃべってくれないから。何を考えていることがよく分からなかったんだ…」
山本がこぼれ落ちるようにそう言うと、山本の視線の先、鷹橋の後方でコンクリートの地面の上に革靴で着地する乾いた音が聞こえた。鷹橋は後方を向いてからまるで来ることがわかっていたかのように、再び正面の山本に振り返った。
モラドの制服、黒いスーツを身にまとった楓は周辺のビルを伝いながらゼロ本部のビルの屋上へ着地した、そして、両手で大切そうに抱えていたセーラー服姿のユキをそっと足から降ろす。
山本は驚きのあまりもはや笑っている。怒るでもなく、絶望するでもなく鷹橋の意見を聞いた後の山本はただただ視線の先に現れたヴァンパイアと人間に対して笑うしかなかった。それは、相反する二種がまさに共存している様子だったからだ。
「…全て本当だったのか鷹橋」
鷹橋はうなずく。
楓とユキは鷹橋の隣に並んで立った。そして、楓は山本に近づいていき、やがて手を伸ばせば届くほどの距離まで近づいた。山本が剣を抜けば、手錠をかければ、いつでも捕まえることが出来る距離にいた。
「僕らモラドはゼロに全面的に協力します。そして、ゼロの方々の誰にも手は出しません」
そして、楓は握手をするように山本に片手を差し出した。それを見て山本は少し面食らった様子だった。
「僕らは人間の味方です」
山本は楓の手から隣に立つ鷹橋に視線を移した。
「山本さんこれば僕の答えです」
山本はまるで観念したかのようにため息を吐いた。
「部下ってのは、上司が知らない間に、知らないところで成長していくんもんなんだな。俺は、ずっと木並さんの背中を追いかけて、そして亡くなってもなお、あの時の、木並さんを目指してきた。それでもいつか、自分の意志で自分の選択で未来を築かなくちゃいけないってことはわかっていたんだ。時代は目まぐるしく変わっていくもんだな」
山本は一度目を閉じた。それは数秒間続いて、やがて開いた。そして、手を差し出して楓の手を握った。しっかりと、力を込めて。
このときに初めて不死身のヴァンパイアとゼロの隊長お互いが握手を交わす。
「俺は良い部下を持ったよ」
鷹橋はようやくこの時、山本の前で笑みを見せた。そして、山本にもモラドの存在や楓が不死身になった経緯を説明した。
「そうか、お互い苦労してきたんだな…」
山本は楓とユキの二人を交互に見た。
「伊純君と片桐さんか。わかった、僕から室長に話してみよう」
すると、山本は次に鷹橋に視線を向けた。少し笑みを浮かべている。
「鷹橋は普段喋らないから何を考えているのか僕もよくわかていなかった。話す機会を設けていなかった僕の責任でもあるけど、僕は部下を疑ったりしてどうしようもない上司だな…。なあ、鷹橋、俺は上司失格なのかな?」
鷹橋は首を横に振った。
「山本さんは僕にゼロの基本、戦闘の基本を教えてくれました。だから、僕はB級に昇格することが出来たんです。だから、僕は成長できた。山本さんがいなかったら今の僕はいません」
山本は部下の一言に瞳から零れ落ちそうになるものを抑えるために空を見上げた。空は、人類が窮地に立たされてる状況にもかかわらず満天の星空に、雲一つ無い星空に満月が輝いている。
楓達がいるビルの鉄柵にフックが引っ掛かり、カチャッというフックに備え付けられているロックがかかる音がした。そして、すぐに柵の下から腰のベルトから出るワイヤーに引っ張られ、人影が飛び上がって軽快な身のこなしで、楓たちの後方に着地する。
「鷹橋、山本さん。こっちも大変です。早…く…」
山本、鷹橋と同じようにオレンジ色の蛍光ラインが入ったパワードスーツ、アトンを着た隊員がゼロの二人の前で、本来あるべきではない、不死身とゼロの部隊の隊長が握手を交わしている光景に口を開いたまま動かないでいる。手に持っていた武器がすり抜けるように、地面に落ちた。
山本はつぶやくように言った。
「…木並」
「これは、一体どういうことですか?」
信じられないと、ぎこちなく引きつったように笑う木並に、山本が事情を説明しようと、口を開きかけた時だった。
「なんで、ゼロとヴァンパイアなんかが一緒にるんですか? 人間も。しかも、よりによって脱走した不死身とだなんて」
木並は間髪入れずに、続けて言う。
「これから確保するんですよね? 山本さん私手伝いますよ。その手を絶対に離さないでくださいね。鷹橋もそこでぼうっとしてないで早く手伝いなさいよ!」
まるで冗談であってほしいと言うように木並は言った。
しかし、木並の訴えとは逆に、鷹橋は隣に立つ不死身ではなく、後方の木並を振り返った。
「木並」
「ちょっと、なんでこっち見てんのよ。捕まえたんでしょ? 油断してるとまた逃げられるわよ」
「木並」
「下はもう大変なの、白い服着たヴァンパイアの大群が襲ってきてS級でも歯がたたないやつもいるの、だからそいつをさっさと牢屋にぶち込んだら、こっちも手伝ってよ」
「木並、違うんだ!」
鷹橋が木並の声をかき消すように、少し裏返ったが声を張り上げた。こんな声を張る鷹橋は初めて見たと、木並は時が止まったように、動かなかった。しかし、じわじわとこみ上げるものをぶつけるように、鷹橋の声よりも大きくして言った。
「何が違うのよ!」
2種の激しい争いが繰り広げられる地上では互いの声がぶつかり合って、喜怒哀楽様々な声が聞こえてくる。しかし、この時だけ辺りが一瞬シンと静まった。
「ヴァンパイアを見つけたら即殺す。ゼロの掟でしょ? なんで、あなた達はヴァンパイアなんかとバカみたいに握手してるのよ。しかも、最も警戒すべき不死身と…」
木並は押し殺していた怒りがついに爆発するように顔を赤くして声を張り上げた。
「随分仲良しで楽しそうね! 父を殺したヴァンパイアなんかと!」
まるで木並と楓たちと分厚い壁ができたようだったが、ユキはお構いなしにその壁を壊してゆく。まるで、弾むような笑みで木並に問いかけた。
「木並さん」
「あなたは…」
ヴァンパイア側の人間に思わず木並も対応に戸惑った。
「私は片桐ユキ。多分、木並さんと同い年ぐらいかな?」
「片桐さん、不死身は危険です。すぐにここを離れて安全な場所へ避難してください」
木並はユキの腕を掴んで引っ張ろうとしたが、ユキは腕を掴む木並の手にそっともう片方の手を添えてから首を横に振った。
「私にとって安全な場所は守ってくれる人が直ぐ側にいることなの」
「『人』って、片桐さんまで…」
「木並ちゃん、私もねヴァンパイアのことが大嫌いだったの。大切な友達をひどい目に合わせるような悪いやつだし、人の血を吸って殺しちゃう。人間の敵で、早くこの世からいなくなればいいのにって」
ユキは、怯える木並をなだめようと優しく微笑む。
「でもね、ヴァンパイアがみんなそうじゃないってモラドのみんなと話していてわかったの。私ね、ヴァンパイアのお友達も出来たんだよ。ちょっと意地悪だけどクールな女の子。何考えてるかわからない赤毛の男の子。チャラそうだけど優しい先輩。ちょっと、気難しいヴァンパイアもいるけどね」
ユキは小さく笑って頬を掻いた。そして、腕を掴んでいた木並の手を離して、両手で包み込むように握った。
「全員が悪者じゃないんだよ。みんなでちゃんと話し合えば失わなくて良い命があるんだから」
木並は握っていたユキの手を離して、両膝を地面についた両手で目を覆い唇を震わしながら言った。
「そんな…だからって、だからって今までヴァンパイアが奪ってきた命は返ってこない」
「木並、お前がお父さんの敵を取るために今まで頑張ってきたことはアカデミーの頃から同じだから僕も知ってる」
「何よ! あんたなんかが私の気持ち、わかるわけ無いでしょ! いつも、ボーッとして何考えてるかわかんない奴に!」
「わからない。僕は目の前で大切な人を亡くしたことはないから。だけど…」
鷹橋は途中まで言うと、俯き、両手の握る手に力を込めた。そして、木並に視線を戻した。
「僕はもう誰も巻き込みたくはないんだ。辛い思いをするのは僕らの世代で終わらせよう」
木並は鷹橋の発言に少し面食らったようだった。木並の涙で赤く腫らした瞳、そして、その瞳はいつもキリリとした目つきから穏やかにそれでも、不安をにじませたように見えた。
「協力してくれるか? 木並」
鷹橋は木並に手を差し出して握手を求めた。しかし、木並はその手を思いっきり叩いて弾けるような音が大きくなった。地面に膝を着いていた木並は立ち上がって鷹橋と同じ目線になる。
「あなたが私に指図しないで。こんな状況だから協力してあげるけど、協力するのは私の意志。片桐さんにはちょっと揺らいだ部分もあったけど、あなたに命令されてやるんじゃないの」
木並は山本と並んで立っている楓に指を指して、つばを飛ばしそうな勢いで捲し立てた。
「そこの不死身、よく訊きなさい! この戦いだけはあなた達に協力してあげる。でも、あなた達に協力しても平和が実現しなかったら、モラドとかいうふざけた組織のヴァンパイアが一人でも殺しをしたら、私はあなた達を一匹残らず容赦なく殺すわ」
その勢いに楓も少し驚いた様子だったが、真剣な顔つきに変わった。
「わかった。僕も約束するよ」
山本は相変わらず威勢の良い木並に思わず笑って「若人の成長は著しいな」と手を広げ首を横に振った。
「木並、優豪さんに言われてるんだ。人の言う事聞かない娘だけど何かあったら守ってくれって。鷹橋もな、俺が上司としてお前たちを守ってやるから」
山本は胸に自分の拳を突きつけた。それを見て木並が言う。
「じゃあ、まずは山本さんから室長に言ってくださいよ」
山本は室長の近藤の怒り狂う顔を想像して、ため息を着いたが再び真剣な顔に戻った。
「任せとけ!」
話を終えた5人は、肩を並べて屋上から建物内に入るドアまで歩き、建物の中へと消えていった。
「六花ちゃん、やっぱり見に来てたんじゃん」
「あなたもでしょ」
「かわいい後輩の成長を見過ごすわけには行かないからね。女の子も手に入れてるし、着実に成長してて安心したよ。男としてね」
「呆れた。甘やかすのもいい加減にしたら?」
鬼竜は、へへへと笑って頭を掻いた。そして、青いスーツを肘の位置までまくった。
「さて、次は僕らの番だろうね」
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
囚われの姫〜異世界でヴァンパイアたちに溺愛されて〜
月嶋ゆのん
恋愛
志木 茉莉愛(しき まりあ)は図書館で司書として働いている二十七歳。
ある日の帰り道、見慣れない建物を見かけた茉莉愛は導かれるように店内へ。
そこは雑貨屋のようで、様々な雑貨が所狭しと並んでいる中、見つけた小さいオルゴールが気になり、音色を聞こうとゼンマイを回し音を鳴らすと、突然強い揺れが起き、驚いた茉莉愛は手にしていたオルゴールを落としてしまう。
すると、辺り一面白い光に包まれ、眩しさで目を瞑った茉莉愛はそのまま意識を失った。
茉莉愛が目覚めると森の中で、酷く困惑する。
そこへ現れたのは三人の青年だった。
行くあてのない茉莉愛は彼らに促されるまま森を抜け彼らの住む屋敷へやって来て詳しい話を聞くと、ここは自分が住んでいた世界とは別世界だという事を知る事になる。
そして、暫く屋敷で世話になる事になった茉莉愛だが、そこでさらなる事実を知る事になる。
――助けてくれた青年たちは皆、人間ではなくヴァンパイアだったのだ。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~
斬原和菓子
ファンタジー
ここは異世界の中都市にある料理屋。日々の疲れを癒すべく店に来るお客様は様々な問題に悩まされている
酒と食事に癒される人々をさらに幸せにするべく奮闘するマスターの異世界食事情冒険譚
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる