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8.焦り
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「ま、まだ消えない!」
「何が?」
「あ、いえ。なんでもありませんわ」
転移魔法で私の横にやってきたセーバ様からサッと手の甲を隠す。今年で14歳になった私だけど、魔法刻印は一向に消える気配がなかった。
最近では、セーバ様は毎日私に会いにきていた。最初は鍛錬とかバレないようにしていたけど、そんな事をしていたら印が消えなくなるのでもう隠さずやっている。
「ねぇルビー。私が守ってあげるって言ってるんだからこんな過酷な鍛錬はやめた方がいいよ」
「……」
つい最近覚えた身体強化魔法を使って横で話しかけてくるセーバ様から距離を取る。つまりは逃げた。
「ルビー……もうそれ覚えたんだ」
「はい、お兄様」
「じゃあ、また別のメニューを組んだほうがいいかもね」
「エ"⁉︎」
「そうだなぁ。やっぱり体力と魔力の両方を鍛えるのが効率的だよね……」
「あの、お兄様?」
「うーん、となると走って避けるだけなのはもう無理か……飛び道具も使用する?」
「あ、あの……‼︎」
ブツブツと不穏な呟きを始めたお兄様に嫌な予感がして話しかけるが聞いちゃいない。横からポンと肩を叩かれる感触があり、振り向けばセーバ様がアホを見るような目でこちらを見ていた。
「バカだなあ。もう遅いよ、だってアレンがあーなったら無理なの知ってるよね? 普通、使えるようになっても言わないのが当たり前だよ」
「ぐっ……!」
ひとつも息を乱していないセーバ様は、私と同じメニューをこなしている。どんどん体力面で差がつけられている。私がセーバ様に対抗できるのはすでに魔法のみとなってしまった。勉強なんかも、セーバ様はお兄様と同学年。
お兄様とセーバ様は16歳で、私は14歳。そう、もうすぐ乙女ゲームも始まってしまうのだ。
乙女ゲーム開始は私達が15歳になってから。時間がないのだ。やけくそになった私は、いつものようにセーバ様にお願いする。もう、ほぼ泣き目。
「セーバ様、この印を解除してもらえませんか?」
「無理だね」
「お願いします!」
「無理」
「婚約は継続しているんですよ?」
「うん、でもダメ。君が兄の陣営に行っちゃったら厄介な事になるからね」
「……第一王子様の陣営なんか行きません。そもそも、そう言った感じの方とはお近づきになりたくないですし」
「うーん、でもねぇ。ダメ」
にっこりと切長の目を細めて楽しそうにいう彼に私はだんだんイライラしてくる。
「……呪ってもいいですか?」
ブワッと風を起こせば、「短気だねぇ」と言われる。
なら、さっさと怒らせないように印を解除しろ‼︎
アニメの中のセーバ様は、もっとこうなんというか冷たい感じで、ルビーにも関心を持っていなかった。だが、今のセーバ様は何かが違う。たしかに腹の中が読めないのは一緒なんだけど……なんでだろ?
「何が?」
「あ、いえ。なんでもありませんわ」
転移魔法で私の横にやってきたセーバ様からサッと手の甲を隠す。今年で14歳になった私だけど、魔法刻印は一向に消える気配がなかった。
最近では、セーバ様は毎日私に会いにきていた。最初は鍛錬とかバレないようにしていたけど、そんな事をしていたら印が消えなくなるのでもう隠さずやっている。
「ねぇルビー。私が守ってあげるって言ってるんだからこんな過酷な鍛錬はやめた方がいいよ」
「……」
つい最近覚えた身体強化魔法を使って横で話しかけてくるセーバ様から距離を取る。つまりは逃げた。
「ルビー……もうそれ覚えたんだ」
「はい、お兄様」
「じゃあ、また別のメニューを組んだほうがいいかもね」
「エ"⁉︎」
「そうだなぁ。やっぱり体力と魔力の両方を鍛えるのが効率的だよね……」
「あの、お兄様?」
「うーん、となると走って避けるだけなのはもう無理か……飛び道具も使用する?」
「あ、あの……‼︎」
ブツブツと不穏な呟きを始めたお兄様に嫌な予感がして話しかけるが聞いちゃいない。横からポンと肩を叩かれる感触があり、振り向けばセーバ様がアホを見るような目でこちらを見ていた。
「バカだなあ。もう遅いよ、だってアレンがあーなったら無理なの知ってるよね? 普通、使えるようになっても言わないのが当たり前だよ」
「ぐっ……!」
ひとつも息を乱していないセーバ様は、私と同じメニューをこなしている。どんどん体力面で差がつけられている。私がセーバ様に対抗できるのはすでに魔法のみとなってしまった。勉強なんかも、セーバ様はお兄様と同学年。
お兄様とセーバ様は16歳で、私は14歳。そう、もうすぐ乙女ゲームも始まってしまうのだ。
乙女ゲーム開始は私達が15歳になってから。時間がないのだ。やけくそになった私は、いつものようにセーバ様にお願いする。もう、ほぼ泣き目。
「セーバ様、この印を解除してもらえませんか?」
「無理だね」
「お願いします!」
「無理」
「婚約は継続しているんですよ?」
「うん、でもダメ。君が兄の陣営に行っちゃったら厄介な事になるからね」
「……第一王子様の陣営なんか行きません。そもそも、そう言った感じの方とはお近づきになりたくないですし」
「うーん、でもねぇ。ダメ」
にっこりと切長の目を細めて楽しそうにいう彼に私はだんだんイライラしてくる。
「……呪ってもいいですか?」
ブワッと風を起こせば、「短気だねぇ」と言われる。
なら、さっさと怒らせないように印を解除しろ‼︎
アニメの中のセーバ様は、もっとこうなんというか冷たい感じで、ルビーにも関心を持っていなかった。だが、今のセーバ様は何かが違う。たしかに腹の中が読めないのは一緒なんだけど……なんでだろ?
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