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秋宮 凛
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俺の家は、裕福な家庭で兄が3人いた。
「凛! どこに行ってたんだ‼︎」
「友達と公園に行ってた」
この日も、俺は1番上の兄に無断で外出したことを怒られていた。
「外は危険なんだよ。私は凛が攫われないか心配なんだ。お願いだから、誰か一言告げてから行ってくれ」
でも、それが嫌だった。遊びに行くことを言えば、えすぴーの人がついてくるから。みんなそれで逃げてく。
それに、男の子は自分のことを"僕"って言うのに、凛だけ"私"って言わないといけない。それも嫌だった。女っぽいって言われるから。
「分かった」
不貞腐れて部屋に戻ろうとした時、僕は全く知らない場所にいた。
「精霊の愛子じゃ!!!!」
叫ぶようにおじいさんが言ってたから、最近アニメで見る異世界転移かなぁなんて思っていた。でも、知らない人だし顔の形もいつも見ている子達とは違うからとても怖かった。それに、不思議な黒いモヤが見える。
「あなた様のお名前はを教えてくだされ」
1番モヤが濃くて、目がギラギラしたお爺さんに詰め寄られ、思わずいつもの癖で「私は」なんて言いかけた時、1人の美しい人に止められた。
なんて美しい人だろう。こんな人が世の中にいるのか。
そう思った。そして、アキと名乗った僕に美しい人はルビーと名乗ってくれた。不思議と安心したし、モヤが全くなくて嬉しかった。この人なら頼れる、そう思ったから。
「ルビーお姉ちゃん」
事あるごとに僕はあの美しい人を呼んだ。そして、しばらく過ごして分かったのが、この国の人々は僕のことを女の子だと思っていることだった。
「なんで王子様はいつも私の元へ来るの?」
「それは、アキ様をお嫁様にお迎えしたいからですよ」
「男の子はお妃様になれるの?」
「いいえ? なれませんよ」
僕が女の子に間違われているのは、一度侍女の人に聞いてみたら不思議そうに返された時に分かった。
「この世界には魔法があるのです。とはいえ、そこまで発展はしておりません。せいぜい小さな火種を起こすぐらいでしょうか」
授業はルビーお姉ちゃんがやってくれた。僕は、だんだんとルビーお姉ちゃんが好きになっていた。元の世界のことなどどうでもいい、ルビーお姉ちゃんと結婚したい!
『さようなら』
だから、ルビーお姉ちゃんがわざと悪役になって僕を元の世界に返してくれた時は、もどかしくてたまらなかった。もし、僕が大人だったらって。
でも、元の世界に戻って気づいた。彼方ではなんと1年も時が経っていたらしい。
「凛!!!!」
呆然と庭に突っ立っていた僕を見つけた家族は、僕を抱きしめながら僕が消えた時のことを泣きながら話していた。
そして、僕はルビーお姉ちゃんと離れたことが寂しくて悲しくて大泣きしていた。
「ねぇ、好きな人ができたの」
「へぇ、それは誰だい?」
「とっても綺麗で美しい人。私と9歳くらい違うんだよ」
「そうか」
「でも、彼方の世界と此方の世界は時間の流れが違うんだ。あっちは遅いんだ。もし、私があっちに行くって言ったら怒る?」
「いや?」
しばらくして落ち着いた僕に家族みんな笑って答えてくれた。
「「「気になる人がいるなら手放してはダメだ」」」
って。それから、界渡りができることに気がついて、僕はビオラの元へ通った。1年に一度という制約があったけど、全然苦じゃなかった。
「結婚してください」
やっと20歳になってビオラと同い年になった俺はすぐさま求婚した。
いま、腕の中で眠っている人を俺は一生離さない。
『普通、彼方の世界に戻された子は記憶を無くすんだけど……』
不思議そうに首を傾げる女神とは別に俺は確信していた。ビオラが奇跡を起こしてくれたのだと。
「ビオラ、愛してる」
「い、いきなりなんですの!」
ポカポカと可愛らしく叩いてくる彼女は今日も美しい。ビオラが想っている以上に、俺はビオラを愛している。
「凛! どこに行ってたんだ‼︎」
「友達と公園に行ってた」
この日も、俺は1番上の兄に無断で外出したことを怒られていた。
「外は危険なんだよ。私は凛が攫われないか心配なんだ。お願いだから、誰か一言告げてから行ってくれ」
でも、それが嫌だった。遊びに行くことを言えば、えすぴーの人がついてくるから。みんなそれで逃げてく。
それに、男の子は自分のことを"僕"って言うのに、凛だけ"私"って言わないといけない。それも嫌だった。女っぽいって言われるから。
「分かった」
不貞腐れて部屋に戻ろうとした時、僕は全く知らない場所にいた。
「精霊の愛子じゃ!!!!」
叫ぶようにおじいさんが言ってたから、最近アニメで見る異世界転移かなぁなんて思っていた。でも、知らない人だし顔の形もいつも見ている子達とは違うからとても怖かった。それに、不思議な黒いモヤが見える。
「あなた様のお名前はを教えてくだされ」
1番モヤが濃くて、目がギラギラしたお爺さんに詰め寄られ、思わずいつもの癖で「私は」なんて言いかけた時、1人の美しい人に止められた。
なんて美しい人だろう。こんな人が世の中にいるのか。
そう思った。そして、アキと名乗った僕に美しい人はルビーと名乗ってくれた。不思議と安心したし、モヤが全くなくて嬉しかった。この人なら頼れる、そう思ったから。
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「男の子はお妃様になれるの?」
「いいえ? なれませんよ」
僕が女の子に間違われているのは、一度侍女の人に聞いてみたら不思議そうに返された時に分かった。
「この世界には魔法があるのです。とはいえ、そこまで発展はしておりません。せいぜい小さな火種を起こすぐらいでしょうか」
授業はルビーお姉ちゃんがやってくれた。僕は、だんだんとルビーお姉ちゃんが好きになっていた。元の世界のことなどどうでもいい、ルビーお姉ちゃんと結婚したい!
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だから、ルビーお姉ちゃんがわざと悪役になって僕を元の世界に返してくれた時は、もどかしくてたまらなかった。もし、僕が大人だったらって。
でも、元の世界に戻って気づいた。彼方ではなんと1年も時が経っていたらしい。
「凛!!!!」
呆然と庭に突っ立っていた僕を見つけた家族は、僕を抱きしめながら僕が消えた時のことを泣きながら話していた。
そして、僕はルビーお姉ちゃんと離れたことが寂しくて悲しくて大泣きしていた。
「ねぇ、好きな人ができたの」
「へぇ、それは誰だい?」
「とっても綺麗で美しい人。私と9歳くらい違うんだよ」
「そうか」
「でも、彼方の世界と此方の世界は時間の流れが違うんだ。あっちは遅いんだ。もし、私があっちに行くって言ったら怒る?」
「いや?」
しばらくして落ち着いた僕に家族みんな笑って答えてくれた。
「「「気になる人がいるなら手放してはダメだ」」」
って。それから、界渡りができることに気がついて、僕はビオラの元へ通った。1年に一度という制約があったけど、全然苦じゃなかった。
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やっと20歳になってビオラと同い年になった俺はすぐさま求婚した。
いま、腕の中で眠っている人を俺は一生離さない。
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不思議そうに首を傾げる女神とは別に俺は確信していた。ビオラが奇跡を起こしてくれたのだと。
「ビオラ、愛してる」
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