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「っきゃぁぁぁぁぁぁあ!」

「どうしたの?」

「アキ! どうしてここにいるんですの!?」

「どうしてって、結婚したからだよ?」

 はくはくと口を開閉させているビオラ。リンは困った顔を作りながら、予想通りの反応に機嫌を良くしていた。

(可愛い)

 今や、プラチナブロンドに美しい金の瞳を宿したビオラは綺麗系の美女なのだが、いかせん素の反応か可愛らしすぎるのだ。

 耳まで真っ赤にして、プルプルと震えるビオラにリンは頬を緩ませ抱きついた。

「お腹すいたでしょ? ご飯を作っておいたから、食べよう?」

「え、えぇ」

 にこにことリンに促されるまま、ビオラは席につく。そして、自身の変化に遅まきながら気付くのだった。

「あら? 髪が……肌も」

「ほら、鏡」

「~~~~っ!?」

 自分を見て、ビックリするその姿は鏡を見てビックリする子猫と酷似していた。誰だこれは、なんだこれは⁉︎ とでもいいたげに見開かれた瞳。

「ふふ、ビオラが気絶している間に女神が来てね。元の姿に戻してやるって」

「そ、そうなの?」

 でも、ちょっと変わりすぎではないかしら? そう呟く妻の姿にリンの目が緩く細まる。

「ビオラはもともと綺麗だよ。悪い虫がつかないか本当に心配なんだ」

「なっ!? なにをおっしゃって……」

 リンはポンっと音が出そうなほど真っ赤に染まるビオラにスッとスープを掬ったスプーンを持っていく。

「はい、食べて?」

「は、はしたないですわ」

「ダメ~。ビオラだってしたでしょ?」

 ウッと言葉につまるビオラ。たしかに身に覚えがあったからだ。

 リンが此方にきてすぐの時、不安のためかご飯が喉を通らなくなったのだ。そのため、ビオラが食べさせたことがあったが。

(で、でも、あれは看病のためであって。決して邪な意図があったわけでは!)

『うんうん、分かってるよ。でも、もうビオラは俺のお嫁さんでしょ? だからちょっとぐらいイチャイチャしてもいいんじゃないの?』

「い、イチャイチャ!?」

「ほら、あーん」

「うぅ」

 観念したビオラはキュッと目を瞑り、そっと口を開いた。が、一向にスープが来ない。

「⁇」

 そっと目を開けたビオラは、赤面したまま固まるリンの姿を捉えた。

「リン……ひどいですわ!」

「いや、ごめん」

『あまりにもビオラが可愛くって』

 心の中で呟かれた言葉が、ビオラの中に入り込む。今度はビオラも全身真っ赤になって羞恥に震えることになった。

「はぁ、好き」

「やめてくださいまし」

「ごめんよ、可愛すぎて」

「一言余計ですわ」

 ギュッと抱きしめられれば、流石のビオラも許すしかない。恥ずかしくてちょっと涙目になってしまったことを隠すように、グリグリとリンの胸板に頭を押し付けるビオラなのであった。
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