9 / 41
9苦しい思い出と記憶のカケラ
しおりを挟む
8歳の時、お母様と一緒に乗っていた馬車で事故に遭った。
確か、どっかの誰かが悪戯で道に穴を掘ってたんだっけ。それに運悪く車輪がはまって馬車が倒れ俺とお母様は馬車の中でもみくちゃにされた。
『ルヴィル!!!!』
そう叫んでお母様が、俺を抱え込んだ瞬間悲鳴が聞こえてお母様の苦しそうな声が聞こえて、それから、それから、あぁ、そうだ。
『ルヴィル、これを持ってなさい』
お母様から透明な石がついたネックレスをもらったんだ。それから、頭に強い衝撃が来て意識を失ったんだ。
目が覚めたら前世の記憶が戻っていて、お母様の顔があって、お母様は冷たかった。
『お、お母様? 起きてください』
そう言っても、もう無駄だってことは前世の私が教えてくれていた。
そのすぐ後に、お父様が来て俺は、私は、馬車から助け出された。
『お母様は?』
『少し向こうに行ってなさい』
少し嗄れた声。父の背中がこれほどまでに小さく見えたことはない。
もう、前世の私はお母様はもう帰ってこないことは分かっていたけど、8歳の俺が、父から『お母様は大丈夫だ』と伝えてくれることを期待していた。
でも、お母様は帰ってこなかった。そこからだ、俺と私の境がなくなって。1つになったのは。
『お兄様、お母様は天国にいらっしゃるのでしょう?』
『そうだ』
当時16歳だった兄は、元気がなくなってしまった父の代わりに俺と過ごしてくれた。でも、寂しさは変わらなかった。もし、道路整備が整っていたらこんなことにはならなかった。
調べると、道路の管理は騎士がするらしいかった。なら、俺も騎士になって今後こういった事故が起こらないようにしよう! そう思ったけど、騎士科の技術は高過ぎた。
俺には無理だった。
だったら、知識をつけて馬車が転倒しにくい構造を発明しよう! そう思ったけど、殿下付きの補佐は地味に忙しくて、その夢も忙しさの前には実現不可能だった。
そして、今回の騒動でやっと、やっと解放されたかと思ったら、それはただ単に別の頑丈な檻に入れるための猶予期間で。
「殿下ぁ、俺は人形じゃないし、おもちゃじゃないんですよ」
女の子らしい鈴を転がすような声と喋り方があってなさ過ぎて我ながら笑いそうになる。
殿下の優しい手つきはまるで精巧な玩具を壊さないように手入れしているみたいだ。
「お前は私の妻だ。そろそろ女らしさを身につけろ」
女らしさってなんなの?
俺は心の壊れた愛玩人形になるつもりはない。
「俺の事が好きなら俺を受け入れてくれないと」
「ルーナのことは世界一愛している。だが、世間体というものがある。お前が辛い目にあわないよう、忠告してやっているだけだ」
「ふぅん、そうですか」
じゃあ、殿下は今の俺は必要ないって事ですよね? 女になったら俺じゃないもん。
俺の母って東の国出身なんだよね。父は正直言って俺を売るし、別にまぁ、この国に未練なんてないし。殿下は強姦魔だし。
俺は成人すれば東の国に行くための呪具が使える。それは死にゆくお母様がそっと俺に教えてくれた秘密の話。そして、その手段であれば何人であろうとも行く先を防ぐことなどできない。
後、3ヶ月後に俺は18歳になる。成人するのだ。
てなわけで、3ヶ月は大人しくしまーす。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【日記スペースbyルーナ】
ちなみにだけど、俺の目って黒なんだよ。お母様は黒目黒髪で、まさに東洋美女って感じだった。父が銀眼銀髪だから俺はその半々を受け継いでいるってわけ。ちなみに兄は黒髪銀眼。まぁ、悔しいけど俺よりもカッコいい。俺は爽やか系だから! 爽やか系冷静沈着キャラだから、そこんとこよろしく‼︎
あ、お母様は巫女だったんだって。東の国は神道が普及していて、不思議な力ーー魔力のようなモノーーも使えるらしい。今回俺が使われた呪具もそんな感じなんかなぁ?
感想とお気に入り登録、よろしく!!!!
確か、どっかの誰かが悪戯で道に穴を掘ってたんだっけ。それに運悪く車輪がはまって馬車が倒れ俺とお母様は馬車の中でもみくちゃにされた。
『ルヴィル!!!!』
そう叫んでお母様が、俺を抱え込んだ瞬間悲鳴が聞こえてお母様の苦しそうな声が聞こえて、それから、それから、あぁ、そうだ。
『ルヴィル、これを持ってなさい』
お母様から透明な石がついたネックレスをもらったんだ。それから、頭に強い衝撃が来て意識を失ったんだ。
目が覚めたら前世の記憶が戻っていて、お母様の顔があって、お母様は冷たかった。
『お、お母様? 起きてください』
そう言っても、もう無駄だってことは前世の私が教えてくれていた。
そのすぐ後に、お父様が来て俺は、私は、馬車から助け出された。
『お母様は?』
『少し向こうに行ってなさい』
少し嗄れた声。父の背中がこれほどまでに小さく見えたことはない。
もう、前世の私はお母様はもう帰ってこないことは分かっていたけど、8歳の俺が、父から『お母様は大丈夫だ』と伝えてくれることを期待していた。
でも、お母様は帰ってこなかった。そこからだ、俺と私の境がなくなって。1つになったのは。
『お兄様、お母様は天国にいらっしゃるのでしょう?』
『そうだ』
当時16歳だった兄は、元気がなくなってしまった父の代わりに俺と過ごしてくれた。でも、寂しさは変わらなかった。もし、道路整備が整っていたらこんなことにはならなかった。
調べると、道路の管理は騎士がするらしいかった。なら、俺も騎士になって今後こういった事故が起こらないようにしよう! そう思ったけど、騎士科の技術は高過ぎた。
俺には無理だった。
だったら、知識をつけて馬車が転倒しにくい構造を発明しよう! そう思ったけど、殿下付きの補佐は地味に忙しくて、その夢も忙しさの前には実現不可能だった。
そして、今回の騒動でやっと、やっと解放されたかと思ったら、それはただ単に別の頑丈な檻に入れるための猶予期間で。
「殿下ぁ、俺は人形じゃないし、おもちゃじゃないんですよ」
女の子らしい鈴を転がすような声と喋り方があってなさ過ぎて我ながら笑いそうになる。
殿下の優しい手つきはまるで精巧な玩具を壊さないように手入れしているみたいだ。
「お前は私の妻だ。そろそろ女らしさを身につけろ」
女らしさってなんなの?
俺は心の壊れた愛玩人形になるつもりはない。
「俺の事が好きなら俺を受け入れてくれないと」
「ルーナのことは世界一愛している。だが、世間体というものがある。お前が辛い目にあわないよう、忠告してやっているだけだ」
「ふぅん、そうですか」
じゃあ、殿下は今の俺は必要ないって事ですよね? 女になったら俺じゃないもん。
俺の母って東の国出身なんだよね。父は正直言って俺を売るし、別にまぁ、この国に未練なんてないし。殿下は強姦魔だし。
俺は成人すれば東の国に行くための呪具が使える。それは死にゆくお母様がそっと俺に教えてくれた秘密の話。そして、その手段であれば何人であろうとも行く先を防ぐことなどできない。
後、3ヶ月後に俺は18歳になる。成人するのだ。
てなわけで、3ヶ月は大人しくしまーす。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【日記スペースbyルーナ】
ちなみにだけど、俺の目って黒なんだよ。お母様は黒目黒髪で、まさに東洋美女って感じだった。父が銀眼銀髪だから俺はその半々を受け継いでいるってわけ。ちなみに兄は黒髪銀眼。まぁ、悔しいけど俺よりもカッコいい。俺は爽やか系だから! 爽やか系冷静沈着キャラだから、そこんとこよろしく‼︎
あ、お母様は巫女だったんだって。東の国は神道が普及していて、不思議な力ーー魔力のようなモノーーも使えるらしい。今回俺が使われた呪具もそんな感じなんかなぁ?
感想とお気に入り登録、よろしく!!!!
0
お気に入りに追加
448
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したのですが、フラグが見えるのでとりま折らせていただきます
水無瀬流那
恋愛
転生先は、未プレイの乙女ゲーの悪役令嬢だった。それもステータスによれば、死ぬ確率は100%というDEATHエンド確定令嬢らしい。
このままでは死んでしまう、と焦る私に与えられていたスキルは、『フラグ破壊レベル∞』…………?
使い方も詳細も何もわからないのですが、DEATHエンド回避を目指して、とりまフラグを折っていこうと思います!
※小説家になろうでも掲載しています
逃げて、追われて、捕まって (元悪役令嬢編)
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で貴族令嬢として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
*****ご報告****
「逃げて、追われて、捕まって」連載版については、2020年 1月28日 レジーナブックス 様より書籍化しております。
****************
サクサクと読める、5000字程度の短編を書いてみました!
なろうでも同じ話を投稿しております。
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
転生できる悪役令嬢に転生しました。~執着婚約者から逃げられません!
九重
恋愛
気がつけば、とある乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた主人公。
しかし、この悪役令嬢は十五歳で死んでしまう不治の病にかかった薄幸な悪役令嬢だった。
ヒロインをいじめ抜いたあげく婚約者に断罪され、心身ともに苦しみ抜いて死んでしまう悪役令嬢は、転生して再び悪役令嬢――――いや悪役幼女として活躍する。
しかし、主人公はそんなことまっぴらゴメンだった。
どうせ転生できるならと、早々に最初の悪役令嬢の人生から逃げだそうとするのだが……
これは、転生できる悪役令嬢に転生した主人公が、執着婚約者に捕まって幸せになる物語。
出来の悪い令嬢が婚約破棄を申し出たら、なぜか溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
学術もダメ、ダンスも下手、何の取り柄もないリリィは、婚約相手の公爵子息のレオンに婚約破棄を申し出ることを決意する。
きっかけは、パーティーでの失態。
リリィはレオンの幼馴染みであり、幼い頃から好意を抱いていたためにこの婚約は嬉しかったが、こんな自分ではレオンにもっと恥をかかせてしまうと思ったからだ。
表だって婚約を発表する前に破棄を申し出た方がいいだろう。
リリィは勇気を出して婚約破棄を申し出たが、なぜかレオンに溺愛されてしまい!?
最推しの幼馴染に転生できた!彼とあの子をくっつけよう!
下菊みこと
恋愛
ポンコツボンクラアホの子主人公と、彼女に人生めちゃくちゃにされたからめちゃくちゃに仕返したヤンデレ幼馴染くん(主人公の最推し)のどこまでもすれ違ってるお話。
多分エンドの後…いつかは和解できるんじゃないかな…多分…。
転生、ヤンデレ、洗脳、御都合主義なお話。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】転生令嬢はハッピーエンドを目指します!
かまり
恋愛
〜転生令嬢 2 〜 連載中です!
「私、絶対幸せになる!」
不幸な気持ちで死を迎えた少女ティアは
精霊界へいざなわれ、誰に、何度、転生しても良いと案内人に教えられると
ティアは、自分を愛してくれなかった家族に転生してその意味を知り、
最後に、あの不幸だったティアを幸せにしてあげたいと願って、もう一度ティアの姿へ転生する。
そんなティアを見つけた公子は、自分が幸せにすると強く思うが、その公子には大きな秘密があって…
いろんな事件に巻き込まれながら、愛し愛される喜びを知っていく。そんな幸せな物語。
ちょっと悲しいこともあるけれど、ハッピーエンドを目指してがんばります!
〜転生令嬢 2〜
「転生令嬢は宰相になってハッピーエンドを目指します!」では、
この物語の登場人物の別の物語が現在始動中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる