【完結】逆行した聖女

ウミ

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国王

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「な、な、な、な、! 今すぐ魔導師を呼べーーーーーーー!」

 ローシャの父、元勇者の発した威嚇に腰が抜けながらも、王は必死で使用人に命令した。

 ありえんありえんありえんありえん! どういう事だぁ⁉︎ 我が家の最高傑作である紋が無効になるなど聞いた事がない! 他国に示しがつかんではないかぁ!

 そう、ローシャの婚約家であった国王の一族は代々勇者や、それに連なる家系を紋で縛って戦力として利用していた。そして、邪魔になったら殺すという事を繰り返していたのだ。
 ローシャの場合、聖女であるという理由から紋で縛り付け、それに加えて魅了魔法を施す事で王家ではない他国に行く事がないように仕向けていたのだ。それなのに……

「紋が効かなくなるなど!」

 確かに、公爵には紋の効き目が薄かった。それを考慮して娘を人質に取っていたのだが……

「娘の方も効き目が薄かったか! 早く殺してしまっておけばよかったものを‼︎」

 息子の方は殺す方向で動いていたようで、すでに断罪にまで踏み切っていたらしかった。

「聖女が正気に戻るなど予想外だったか……」

 だが、時すでに遅し。公爵領は独立を宣言した。まだ国を成立させるには各国の承認が必要なので、大丈夫だろうが、もう公爵の魔法で領地には結界が張ってあるらしく、上級魔導師でさえも破る事は不可能らしい。

「くそがあ!」

 あの男はいつもそうだ。私の言うことを聞かない。やっと従わせられたと思った矢先にこれだ。急いで、各国に公爵領の独立承認をやめるよう要請しなければーーそう、国王が考えた瞬間だった。

「た、た、た、た、ただいま、公爵家がローグ帝国として自立、承認されました‼︎」

「なんだと⁉︎」

 その甘い考えは突然走り込んできた伝令によってことごとく打ち壊される。持ってこられた紙に記されていたのはローグ帝国の承認証だった。

「は、はは……はははははは‼︎」

 狂ったように笑う王。それと同時に今まで国を覆っていた結界が無くなる。四方八方から魔物が押し寄せてきた。

 公爵家の領地には、国を守るための守護石が置いてあったのだ。それが置いてあった領地が独立した今、この国は守るべき対象から外れたことになる。

「王! もう、王都近郊まで魔物が押し寄せていると‼︎」

「そうか……」

 項垂れた王の目にはすでに生気はなかった。勇者達を蔑ろにしてきた国の運命だった。


 この日、一つの国が滅びた。
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