149 / 159
第148話 歌姫の鎮魂歌
しおりを挟む
エレベーターが次に指し示した行先は五階だった。
四階ではなく、五階である。
「何で四階じゃないの?」
三階の次は当然のように四階だと考えていたユリナは合点がいかず、麗央の腕にしがみついたまま、首を傾げる。
「ああ、そうか。そうだよね」
不思議そうにしているユリナの様子にはたと気付いた麗央は、コメント欄に目を通すようにと指でジェスチャーした。
(ん? どういうこと?)
疑問に思いながらもユリナもプロの『歌姫』である。
伊達にYoTubeで配信主をやっている訳ではない。
なぜ麗央が口頭で教えてくれなかったのかを察したユリナはコメント欄の書き込みに目を通し、愕然とした。
日本では『四』という数字を『死』を連想させるとして気にする人が少なからずいる。
施設によっては『四』と『苦』を連想させる『九』を敢えて使わない例がある。
そのようなことが親切に書き込まれていた。
ユリナの見た目には東欧スラブ系民族の特徴が色濃く出ている。
その為、コメント欄でも日本在住の外国人との認識が強いが、実際は違う。
日本どころか、この世界の習俗や常識とはやや異なる文化圏の世界で長く生きてきたのが真実だった。
「も、もちろん、知ってたんだから」
しかし、文化の違いをまざまざと見せつけられようとユリナの負けず嫌いは相当なものである。
頬を赤らめ、口を尖らせたユリナの姿にコメント欄は好意的だ。
「リリーちゃんかわいい」と言われ、本人もまんざらではない。
「そうよね。私ってかわいいし」とそのまま正直に受け取る妙な素直さも持っている。
ユリナがアンバランスと言われる所以である。
コメント欄にはさらに親切な書き込みが続いた。
このホテルの五階から九階までが客室だった事実が明らかになった。
三階まではパブリックエリアだったが、ここから暫くはプライベートエリアが続くのだ。
「今度は何が待っているのかしら?」
「期待は出来ないと思うよ」
ここまでろくな歓迎をされていないのに目を輝かせるユリナとは対照的にバイザーから垣間見える麗央の目はどこか疲れを感じさせるものだ。
もっとも疲れの原因は敵生体ではなく、腕にしがみつく彼の愛妻なのだが……。
「なるほど……」
「これはちょっと面倒そうだね」
エレベーターを降りた二人の前に広がったのがこれまた、悪夢そのものと言っていい光景だった。
恨みがましい虚ろな目をした人の頭が多数、宙に浮いていた。
怨嗟の呻き声を上げながら、飛び交う死霊の群れである。
半透明の頭部は正しく、人間の頭そのものだったが、スケール感が若干おかしい。
人間の物にしては大きすぎるのだ。
口を開けば、小さな子供を一飲みにできる大きな生首だった。
「そうかしら? 私を誰だと思ってるの?」
ユリナは麗央の腕から身を離すと自信たっぷりに言い放つ。
左手は腰に副え、右手で勢いよく歌舞伎の見栄を切る仕草をした。
あまりの勢いの良さに心無し大きなメロンが揺れるので麗央視点が相当な盛り上がりを見せていることをユリナは知らない。
「私は『歌姫』なの。お姫様。分かるでしょ?」
「うん」
ユリナはそう言うとうっとりとした表情で胸の前で手を組んだ。
形の良いメロンが少し潰れて、揺れた。
(リボンがやばいなあ)
麗央は生唾をごくりと飲み込む。
麗央視点の視聴者も彼と同じ思いだった。
「だから、歌うわ」
「うん? え?」
言うが早いか、ユリナはいつの間にやら手にしていた漆黒の魔法杖ユグドラシルの穂先を床に突き立てた。
不意打ちを喰らったように見えるが、彼女の顔と胸ばかりを見ていた麗央と視聴者が悪いのである。
「ᛏᛟᚴᛟᛋᛁᛖᚾᛟᚪᚾᛋᛟᚴᚢᚥᛟᚪᛏᚪᛖᚤᛟᚢ」
ユリナの唄が始まる。
三階で麗央の為に願いを込めて囁いていたのと同じ難解な言語だった。
「ᛏᚪᛖᛣᚪᚱᚢᚺᛁᚴᚪᚱᛁᛞᛖᛏᛖᚱᚪᛋᛟᚢ」
麗央はただ聞き惚れた。
ユリナの醸し出す神秘的な雰囲気に見惚れるのではなく、聞き惚れたのである。
「ᛟᛋᛟᚱᛖᚱᚢᚴᛟᛏᛟᚾᚪᛋᛁ」
視聴者もまた同じだった。
ユリナが何を謳っているのかは誰にも分からない。
その発音を理解出来る者などいようはずもない。
しかし、コメント欄が停止するほどに皆が聞き惚れたのである。
「ᛏᛟᛒᛁᚱᚪᚺᚪᛋᛟᚴᛟᚾᛁᚪᚱᚪᚾ」
怨嗟の声を上げ、大きな口を開き威嚇していた死霊の群れも異変を来す。
半透明だった彼らの体が微かな黄金色の燐光を放ち始めたのだ。
この世への恨みからか、あれほどに醜悪な面構えをしていた彼らの表情が和らいでいった。
唄が終わるとユリナは再び、ユグドラシルをその手に握り、その穂先を天に掲げるような仕草をした。
穂先に嵌め込まれた大きな魔石がひときわ大きな輝きを放った。
あまりの眩さに見ていた者は視界を白光で満たされ、ホワイトアウト現象に似た症状が発生した。
「終わったわ♪」
終わりを告げる『歌姫』の声はあまりにもあっけらかんとした無邪気なものだった。
視聴者だけではなく、麗央までもが毒気を抜かれたように感じながら、未だにちかちかする目を凝らすと目前の状況が一変していた。
明るさとは無縁の陰鬱としたおどろおどろしい空気に包まれていたエレベーターホール前が様変わりしたとしか言いようがない変化を遂げていたのだ。
照明が普通に灯り、整備の行き届いたホテルの客室フロアにしか見えない光景だった。
怨嗟の声を上げ、宙を舞っていた死霊の群れがいた痕跡すらない。
「あのリリーさん。これは?」
「お姫様ぽいでしょ?」
「あ……うん。そうだね」
麗央は思った。
これは歌姫やお姫様ではない。
聖女の仕事ではないのかと……。
しかし、ユリナは仕事をやり切った感を全身から発している。
ちらちらと麗央の表情を窺っていることから、俗にいう褒めてもらいたいオーラも発している。
こういう時、何も言わずにそっと抱き締め、頭を撫でるのが良策である。
そんな結論に麗央が達するまで随分とかかったのは言うまでもない。
いわゆる男所帯で育った麗央が、恋する乙女の複雑な心を解するのがどれだけ至難の業だったのか。
元来、麗央は素直な質なのも災いした。
「今の凄いな」と率直な感想を目を輝かせながら、真っ正直に言ってしまうのだ。
当然、ユリナの反応は芳しくない。
「そういうことじゃないんだけどなぁ」とどこか瞳の光を失った虚ろな表情をするのでさすがの麗央も学んだのである。
最善の策は強く抱き締め、深い口付けを交わすこと。
ユリナが満足するまで大人のキスを続けるのがベストだったが、バケツのせいでそれは出来そうにない。
しかし、腕の中でうっとりした表情を隠そうともせず、身を任せるユリナを見ると麗央は案外、これもいいものだと思い始めている。
コメント欄も滅多に見られない『歌姫』の人間らしい表情に沸いた。
視聴者は『歌姫リリー』の歌唱力とルックスを高く評価している。
その一方で彼女の『歌姫』としての笑顔や表情にどこか作り物じみたところを感じる者もいたのである。
そのような者の心まで捉える表情だったのだ。
しかし、ユリナは気付いていない。
彼女は麗央のよしよしで軽く、違う世界に旅立っている。
恐ろしい勢いで投げ銭が飛び交っていようとは全く、知らなかった。
『歌姫』の突発的なダンジョンチャレンジライブはここまで、彼女の予想を遥かに超える驚きの収益を上げていた。
四階ではなく、五階である。
「何で四階じゃないの?」
三階の次は当然のように四階だと考えていたユリナは合点がいかず、麗央の腕にしがみついたまま、首を傾げる。
「ああ、そうか。そうだよね」
不思議そうにしているユリナの様子にはたと気付いた麗央は、コメント欄に目を通すようにと指でジェスチャーした。
(ん? どういうこと?)
疑問に思いながらもユリナもプロの『歌姫』である。
伊達にYoTubeで配信主をやっている訳ではない。
なぜ麗央が口頭で教えてくれなかったのかを察したユリナはコメント欄の書き込みに目を通し、愕然とした。
日本では『四』という数字を『死』を連想させるとして気にする人が少なからずいる。
施設によっては『四』と『苦』を連想させる『九』を敢えて使わない例がある。
そのようなことが親切に書き込まれていた。
ユリナの見た目には東欧スラブ系民族の特徴が色濃く出ている。
その為、コメント欄でも日本在住の外国人との認識が強いが、実際は違う。
日本どころか、この世界の習俗や常識とはやや異なる文化圏の世界で長く生きてきたのが真実だった。
「も、もちろん、知ってたんだから」
しかし、文化の違いをまざまざと見せつけられようとユリナの負けず嫌いは相当なものである。
頬を赤らめ、口を尖らせたユリナの姿にコメント欄は好意的だ。
「リリーちゃんかわいい」と言われ、本人もまんざらではない。
「そうよね。私ってかわいいし」とそのまま正直に受け取る妙な素直さも持っている。
ユリナがアンバランスと言われる所以である。
コメント欄にはさらに親切な書き込みが続いた。
このホテルの五階から九階までが客室だった事実が明らかになった。
三階まではパブリックエリアだったが、ここから暫くはプライベートエリアが続くのだ。
「今度は何が待っているのかしら?」
「期待は出来ないと思うよ」
ここまでろくな歓迎をされていないのに目を輝かせるユリナとは対照的にバイザーから垣間見える麗央の目はどこか疲れを感じさせるものだ。
もっとも疲れの原因は敵生体ではなく、腕にしがみつく彼の愛妻なのだが……。
「なるほど……」
「これはちょっと面倒そうだね」
エレベーターを降りた二人の前に広がったのがこれまた、悪夢そのものと言っていい光景だった。
恨みがましい虚ろな目をした人の頭が多数、宙に浮いていた。
怨嗟の呻き声を上げながら、飛び交う死霊の群れである。
半透明の頭部は正しく、人間の頭そのものだったが、スケール感が若干おかしい。
人間の物にしては大きすぎるのだ。
口を開けば、小さな子供を一飲みにできる大きな生首だった。
「そうかしら? 私を誰だと思ってるの?」
ユリナは麗央の腕から身を離すと自信たっぷりに言い放つ。
左手は腰に副え、右手で勢いよく歌舞伎の見栄を切る仕草をした。
あまりの勢いの良さに心無し大きなメロンが揺れるので麗央視点が相当な盛り上がりを見せていることをユリナは知らない。
「私は『歌姫』なの。お姫様。分かるでしょ?」
「うん」
ユリナはそう言うとうっとりとした表情で胸の前で手を組んだ。
形の良いメロンが少し潰れて、揺れた。
(リボンがやばいなあ)
麗央は生唾をごくりと飲み込む。
麗央視点の視聴者も彼と同じ思いだった。
「だから、歌うわ」
「うん? え?」
言うが早いか、ユリナはいつの間にやら手にしていた漆黒の魔法杖ユグドラシルの穂先を床に突き立てた。
不意打ちを喰らったように見えるが、彼女の顔と胸ばかりを見ていた麗央と視聴者が悪いのである。
「ᛏᛟᚴᛟᛋᛁᛖᚾᛟᚪᚾᛋᛟᚴᚢᚥᛟᚪᛏᚪᛖᚤᛟᚢ」
ユリナの唄が始まる。
三階で麗央の為に願いを込めて囁いていたのと同じ難解な言語だった。
「ᛏᚪᛖᛣᚪᚱᚢᚺᛁᚴᚪᚱᛁᛞᛖᛏᛖᚱᚪᛋᛟᚢ」
麗央はただ聞き惚れた。
ユリナの醸し出す神秘的な雰囲気に見惚れるのではなく、聞き惚れたのである。
「ᛟᛋᛟᚱᛖᚱᚢᚴᛟᛏᛟᚾᚪᛋᛁ」
視聴者もまた同じだった。
ユリナが何を謳っているのかは誰にも分からない。
その発音を理解出来る者などいようはずもない。
しかし、コメント欄が停止するほどに皆が聞き惚れたのである。
「ᛏᛟᛒᛁᚱᚪᚺᚪᛋᛟᚴᛟᚾᛁᚪᚱᚪᚾ」
怨嗟の声を上げ、大きな口を開き威嚇していた死霊の群れも異変を来す。
半透明だった彼らの体が微かな黄金色の燐光を放ち始めたのだ。
この世への恨みからか、あれほどに醜悪な面構えをしていた彼らの表情が和らいでいった。
唄が終わるとユリナは再び、ユグドラシルをその手に握り、その穂先を天に掲げるような仕草をした。
穂先に嵌め込まれた大きな魔石がひときわ大きな輝きを放った。
あまりの眩さに見ていた者は視界を白光で満たされ、ホワイトアウト現象に似た症状が発生した。
「終わったわ♪」
終わりを告げる『歌姫』の声はあまりにもあっけらかんとした無邪気なものだった。
視聴者だけではなく、麗央までもが毒気を抜かれたように感じながら、未だにちかちかする目を凝らすと目前の状況が一変していた。
明るさとは無縁の陰鬱としたおどろおどろしい空気に包まれていたエレベーターホール前が様変わりしたとしか言いようがない変化を遂げていたのだ。
照明が普通に灯り、整備の行き届いたホテルの客室フロアにしか見えない光景だった。
怨嗟の声を上げ、宙を舞っていた死霊の群れがいた痕跡すらない。
「あのリリーさん。これは?」
「お姫様ぽいでしょ?」
「あ……うん。そうだね」
麗央は思った。
これは歌姫やお姫様ではない。
聖女の仕事ではないのかと……。
しかし、ユリナは仕事をやり切った感を全身から発している。
ちらちらと麗央の表情を窺っていることから、俗にいう褒めてもらいたいオーラも発している。
こういう時、何も言わずにそっと抱き締め、頭を撫でるのが良策である。
そんな結論に麗央が達するまで随分とかかったのは言うまでもない。
いわゆる男所帯で育った麗央が、恋する乙女の複雑な心を解するのがどれだけ至難の業だったのか。
元来、麗央は素直な質なのも災いした。
「今の凄いな」と率直な感想を目を輝かせながら、真っ正直に言ってしまうのだ。
当然、ユリナの反応は芳しくない。
「そういうことじゃないんだけどなぁ」とどこか瞳の光を失った虚ろな表情をするのでさすがの麗央も学んだのである。
最善の策は強く抱き締め、深い口付けを交わすこと。
ユリナが満足するまで大人のキスを続けるのがベストだったが、バケツのせいでそれは出来そうにない。
しかし、腕の中でうっとりした表情を隠そうともせず、身を任せるユリナを見ると麗央は案外、これもいいものだと思い始めている。
コメント欄も滅多に見られない『歌姫』の人間らしい表情に沸いた。
視聴者は『歌姫リリー』の歌唱力とルックスを高く評価している。
その一方で彼女の『歌姫』としての笑顔や表情にどこか作り物じみたところを感じる者もいたのである。
そのような者の心まで捉える表情だったのだ。
しかし、ユリナは気付いていない。
彼女は麗央のよしよしで軽く、違う世界に旅立っている。
恐ろしい勢いで投げ銭が飛び交っていようとは全く、知らなかった。
『歌姫』の突発的なダンジョンチャレンジライブはここまで、彼女の予想を遥かに超える驚きの収益を上げていた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる