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第98話 歌姫の愉悦と勇者の悔恨①
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雷邸には暗黙の了解と思しき奇妙な取り決めがある。
麗央が先に済ませた後、ユリナがかなりの長時間、入浴する奇妙な入浴の掟だ。
麗央は猫舌で肌も弱いユリナが熱いお風呂よりも少しばかり、冷めた方が好みだから、そうしていると思っている。
だが真相は少しばかり、違う。
ユリナは麗央の残り湯に別のものを見出していた。
やや恍惚とした表情で湯に浸かり、存分に麗央成分を補充していると真顔で言い兼ねないのがユリナである。
そんな二人の夜はまだ始まったばかりだ。
ユリナが入浴を終えるのを麗央はリビングルームで待っている。
そこで暫くの間、談笑してから寝室に向かうのがルーチンになっていた。
夫婦なのだから、ピロートークで事足りそうなところだが、この二人にピロートークはない。
性生活の何たるかを理解していない若夫婦にとって、ベッドは睡眠をとる場所以外の考えがなかったからだ。
麗央にとってはリビングでの会話の方が数段、心理的な負担も少ない。
寝室ではユリナが刺激的な大胆な夜着姿になっている。
劣情を催しても決して、手を出さない麗央だけに悶々とした心で過ごすのは辛いものがあった。
それならば、リビングの方が安心して、会話を楽しめるというものだ。
麗央はそう思いたかった。
しかし、現実は時にうまくいかないものである。
このユリナはお風呂上がりそのまま。
バスタオルを巻いただけのあられもない姿でリビングチェアに腰掛けた。
自己主張の強すぎる豊かな二つの果実は重たくて、辛いのかテーブルに乗せている。
それがまた、麗央にとっては目の毒である。
それでなくともお風呂上りのユリナの全身から、漂う何とも言えない花のような香りに刺激されている。
おまけに視覚的な攻撃なのだから、堪ったものではない。
「ねぇ、レオ。本当にダメぇ?」
双丘を乗っけたまま、頬杖をつき、上目遣いの視線で見つめられ、思わず「しょうがないなあ。いいよ」と言いかけた麗央だったがすんでのところで踏み止まった。
「ダメだよ」
「何でよ。レオのくせにケチなんて」
「変な言い方するなあ」
そう言いながらもユリナの胸の谷間から、麗央は目を離せないでいる。
人間であれば、思春期真っ盛りで煩悩に悩まされる年頃である。
行為が何であるかのかと理解していなくても目の前で愛する思い人が、煽情的な姿でいれば、体は反応してしまう。
ユリナもある程度は学んでいる。
性知識が欠けているとはいえ、麗央の目がどこを見ているのかを理解している。
しかし、お姫様として大切に育てられたこともあり、先に出てくるのは恥じらいの感情だった。
だが、それを上回る感情が彼女の中にある。
麗央に見られ、嬉しいと感じるだけではなく、胸の奥で何とも言えない感情が次々と湧いてくるのだ。
それが何であるのかと理解出来ていないユリナは無意識に麗央の劣情を煽る行動を取り続ける。
「でも、レオ。うさぎちゃんに私のち……」
「おっぱいあげるのはダメだ! それは僕のだ!」
「えぇ?」
「あ……」
大いなる失言だった。
完全に麗央の早とちりである。
「ふぅ~ん」と言いたげなユリナに上目遣いで疑惑の目を向けられ、麗央の背を一筋の冷や汗が伝った。
麗央が先に済ませた後、ユリナがかなりの長時間、入浴する奇妙な入浴の掟だ。
麗央は猫舌で肌も弱いユリナが熱いお風呂よりも少しばかり、冷めた方が好みだから、そうしていると思っている。
だが真相は少しばかり、違う。
ユリナは麗央の残り湯に別のものを見出していた。
やや恍惚とした表情で湯に浸かり、存分に麗央成分を補充していると真顔で言い兼ねないのがユリナである。
そんな二人の夜はまだ始まったばかりだ。
ユリナが入浴を終えるのを麗央はリビングルームで待っている。
そこで暫くの間、談笑してから寝室に向かうのがルーチンになっていた。
夫婦なのだから、ピロートークで事足りそうなところだが、この二人にピロートークはない。
性生活の何たるかを理解していない若夫婦にとって、ベッドは睡眠をとる場所以外の考えがなかったからだ。
麗央にとってはリビングでの会話の方が数段、心理的な負担も少ない。
寝室ではユリナが刺激的な大胆な夜着姿になっている。
劣情を催しても決して、手を出さない麗央だけに悶々とした心で過ごすのは辛いものがあった。
それならば、リビングの方が安心して、会話を楽しめるというものだ。
麗央はそう思いたかった。
しかし、現実は時にうまくいかないものである。
このユリナはお風呂上がりそのまま。
バスタオルを巻いただけのあられもない姿でリビングチェアに腰掛けた。
自己主張の強すぎる豊かな二つの果実は重たくて、辛いのかテーブルに乗せている。
それがまた、麗央にとっては目の毒である。
それでなくともお風呂上りのユリナの全身から、漂う何とも言えない花のような香りに刺激されている。
おまけに視覚的な攻撃なのだから、堪ったものではない。
「ねぇ、レオ。本当にダメぇ?」
双丘を乗っけたまま、頬杖をつき、上目遣いの視線で見つめられ、思わず「しょうがないなあ。いいよ」と言いかけた麗央だったがすんでのところで踏み止まった。
「ダメだよ」
「何でよ。レオのくせにケチなんて」
「変な言い方するなあ」
そう言いながらもユリナの胸の谷間から、麗央は目を離せないでいる。
人間であれば、思春期真っ盛りで煩悩に悩まされる年頃である。
行為が何であるかのかと理解していなくても目の前で愛する思い人が、煽情的な姿でいれば、体は反応してしまう。
ユリナもある程度は学んでいる。
性知識が欠けているとはいえ、麗央の目がどこを見ているのかを理解している。
しかし、お姫様として大切に育てられたこともあり、先に出てくるのは恥じらいの感情だった。
だが、それを上回る感情が彼女の中にある。
麗央に見られ、嬉しいと感じるだけではなく、胸の奥で何とも言えない感情が次々と湧いてくるのだ。
それが何であるのかと理解出来ていないユリナは無意識に麗央の劣情を煽る行動を取り続ける。
「でも、レオ。うさぎちゃんに私のち……」
「おっぱいあげるのはダメだ! それは僕のだ!」
「えぇ?」
「あ……」
大いなる失言だった。
完全に麗央の早とちりである。
「ふぅ~ん」と言いたげなユリナに上目遣いで疑惑の目を向けられ、麗央の背を一筋の冷や汗が伝った。
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