76 / 159
第76話 備忘録CaseVI・金の衣を着て②スタッフが美味しくいただきました
しおりを挟む
裏方では決して、世界に配信出来ない光景が広がる中、一行はようやく終着点に辿り着いた。
終着点もまた、醜悪にして不格好な代物だった。
身の丈はギガースとあまり変わらない。
三メートルを優に超える巨人であり、姿形は人間の姿を模していた。
足に当たる部分が蛇と化しているギガースと比べれば、大地をしっかりと捉える二本の足は人のそれである。
しかし、上半身はさらなる異形にふさわしい姿と言わざるを得なかった。
ギガースと同様に全身をぬめぬめとした黒い粘液を思わせる表皮に覆われているが、フォルムは人に近いせいか、浅黒い肌のように見える。
頭と思しき部位は半楕円を描いており、首に該当する部分が見当たらない。
異様なのは半楕円の根元部分から、左右にそれぞれ四つのモノが生えている。
左右を合計すると八個の楕円形のモノには中心に位置する半楕円のモノと同じく、無数の眼球が蠢いていた。
さらに異質なのは腕である。
腕らしきモノがたくさん生えていた。
左右それぞれに十本あり、合計でニ十本の腕らしきモノは各々が武装している。
壮観な眺めとすら言っても過言ではない。
見た目の醜悪さに目を瞑ればという前提が必要だったが……。
欧州の神話で描かれたギガースは神の眷属である。
だが『大迷宮』に現れたギガースはとても、神に連なる者とは思えない禍々しさをその身に宿した醜悪で不格好な生き物だった。
終着点もまた、同じだ。
”金の衣を着着た者”の名にふさわしく、金糸で編まれた豪奢な黄金色の衣を纏いし、醜くも傲岸不遜な空気を纏っていた。
口に該当する器官がないにも関わらず、唸るような囁くような耳障りな声でその者は叫んだ。
「ァヮレェュヮァ……カァミィニィガイサァレズ……チデハガァィサァレズゥゥゥ……ヮァレコソガァァ」
あまりにも耳障りな雑音だった。
拭い難い不快感は頭が受け入れることを拒絶するほどだ。
直接、相対する形となっていたイリスと陸は両手で耳を塞いでいるほどだ。
コメント欄も物凄い勢いで流れており、これが本日のライブを飾るラストバトルと捉えている視聴者が多かった。
「ふぅ~ん。面倒な相手みたいだけど……ねぇ、レオくぅん。頼みがあるんだけどぉ」
「何かな?」
スタッフが宙に映して見せたコメントに目を通していたユリナだったが、急によそ行きの甘ったるい声を出したかと思うと麗央に呼びかけた。
麗央もさすがに学んでいる。
ユリナが間延びした喋り方をして、”くん付け”で呼んでくる時はあまり、よろしくないお願いのある時だと身をもって、学習している。
しかし、学んでいようともユリナの『お願いっ☆』攻撃にはとことん弱いのだ。
「私はアレを動けなくするから、レオはお空のアレを壊して欲しいの」
「空のアレって、アレかい?」
「そう。アレ。レオなら、出来るでしょ?」
互いの息が届く、距離で上目遣いに自分を見つめてくるユリナを前に麗央は無言で頷くしかない。
「ねぇ、いいでしょ? やってよぉ」と心無し潤んだ瞳で訴えられ、断れる度胸は麗央にない。
力強く、何度も頷くバケツ頭を見て、視線をふと外したユリナの口角が微かに上がっていたことに気付いた者は誰もいなかった。
裏方でユリナと麗央がそんな会話を交わしている間にイリスとテラの戦いは始まった。
数々の得物を振り上げ、巨躯を恃みに襲い掛かるラーヴァナを前にテラは怯まない。
巧みにガントレットを操り、攻撃を凌ぐ彼の姿がライブ画面に大きく、映し出される。
イリスを庇うように戦うテラの姿はコメント欄でも概ね、好意的に受け止められていた。
さながらお姫様を守る騎士のように見えていたからだ。
セットされていたオールバックの髪型が激戦の末に崩れていた。
それが乱れた前髪といった風に見えるらしく、女性視聴者のハートを鷲掴みにした。
しかし、テラの固定ファンも増えてきたところでにわかに異変が生じる。
異変の原因は麗央である。
ユリナに請われるがままに空で輝いていた偽りの茜色の天体に向け、渾身の一撃を放ったのだ。
麗央の剣術は養父である歴戦の戦士に叩きこまれたものだが、必殺の構えは独学で会得した物だった。
得物である朱塗りの鞘があしらわれた刀『雷切』を左手に持ち、右手はその柄に添えている。
腰を低く屈めると前に出した右足の膝をやや曲げながら、左足の膝は地面につくギリギリの位置まで後ろに伸ばした。
この奇妙な姿勢が麗央の会得した独特な構えである。
精神を統一するように両目を閉じた麗央はゆっくりと呼吸を整える。
麗央は「今だ!」と気合一閃させる。
麗央は『雷切』の鞘から抜き放ち、空の彼方に浮かぶ球体へ向け、力を解き放った。
抜刀術と収束させた力を一気に放出を組み合わせた強力な斬撃の破壊力は絶大だった。
風を切り裂く轟音が唸りを上げ、茜色の天体を見事に壊し尽くしたのである。
「次は私の番ね♪ これくらいの加減でいいかしら?」
麗央の勇姿を祈りを捧げて見守る聖女には程遠く、瞳にハートマークが浮かびかねない勢いで見つめていたユリナだが僅かに小首を傾げると不穏な単語を口にする。
既に役目を終え、右手で大人しくしていたユグドラシルを魔法のステッキでも振るうようにラーヴァナに向けて、軽く数度、振る構えを見せる。
「え?」
「むむむ?」
ニ十本の腕を自在に使い狂乱したように暴れ尽くし、手のつけようがなかったラーヴァナを前に防戦一方となっていたイリスとテラだが、突如として動きを見せなくなったラーヴァナの異変に動揺を隠せない。
ヒートアップしていたコメント欄も一瞬、サーバーがパンクをしたのかと疑うほどに静まりかえった。
三メートルを超える巨体が大地を離れ、宙に浮いていた。
ラーヴァナも何が起きたのか分からず、無数ある目が泳いでいる。
「ちょっとやりすぎたかしら?」
ユリナは舌をちろりと覗かせ、言葉の割にあまり反省している素振りを見せない。
麗央も「いいんじゃないかな」とどこか諦めたような声の調子だった。
目に見えない幾重にも巻かれた魔法の鎖がラーヴァナの体を雁字搦めに縛り、宙に浮かせていたのだ。
身動きも取れず、力の源である地との接触を断たれたラーヴァナは祝福の一つを失った。
さらに麗央の一撃で空に浮かぶ偽りの太陽を破壊されたことにより、二つ目の祝福――昼夜に害されず――も失っている。
ラーヴァナを守る祝福は残り二つだった。
神と人に害されず、武器により傷つかない。
この祝福は既に破られたも同然だった。
「イリス、今よ。ヤっちゃいなさい☆」
ユリナの存外に軽く、明るい調子の声にイリスがようやく我を取り戻した。
イリスの手でなます切りのように裁断されたラーヴァナは見るも無残な姿で呆気ない最期を遂げることになった。
奇しくも神でもなければ、人でもないイリスによって、武器ではなく体の一部である爪で命を奪われることになろうとは当の本人だけではなく、背後で糸を引いた者も予想していなかったに違いない。
ギガースだった氷の塊はイザークがぺろりと平らげ、ラーヴァナだった肉片は穂先を見た目の通り、捕食者の大きく開いた顎のように変化させたユグドラシルの腹に収まった。
「これであの子を召喚べるわ」と満足そうな様子のユリナと丸々と肥えた体になったイザーク以外の面々はスタッフも含め、死んだ魚のような目になっていた。
YoTubeを影で動かしているユリナとはいえ、さすがにライブで殺戮や捕食の描写をそのまま、配信するのは気が咎めたらしい。
専門のスタッフにより描かれた可愛らしくデフォルメされたイリスとポメラニアンの姿のイザークの動くイラストに差し替え、『この後、スタッフが美味しくいただきました』の一文を付け加えたのである。
終着点もまた、醜悪にして不格好な代物だった。
身の丈はギガースとあまり変わらない。
三メートルを優に超える巨人であり、姿形は人間の姿を模していた。
足に当たる部分が蛇と化しているギガースと比べれば、大地をしっかりと捉える二本の足は人のそれである。
しかし、上半身はさらなる異形にふさわしい姿と言わざるを得なかった。
ギガースと同様に全身をぬめぬめとした黒い粘液を思わせる表皮に覆われているが、フォルムは人に近いせいか、浅黒い肌のように見える。
頭と思しき部位は半楕円を描いており、首に該当する部分が見当たらない。
異様なのは半楕円の根元部分から、左右にそれぞれ四つのモノが生えている。
左右を合計すると八個の楕円形のモノには中心に位置する半楕円のモノと同じく、無数の眼球が蠢いていた。
さらに異質なのは腕である。
腕らしきモノがたくさん生えていた。
左右それぞれに十本あり、合計でニ十本の腕らしきモノは各々が武装している。
壮観な眺めとすら言っても過言ではない。
見た目の醜悪さに目を瞑ればという前提が必要だったが……。
欧州の神話で描かれたギガースは神の眷属である。
だが『大迷宮』に現れたギガースはとても、神に連なる者とは思えない禍々しさをその身に宿した醜悪で不格好な生き物だった。
終着点もまた、同じだ。
”金の衣を着着た者”の名にふさわしく、金糸で編まれた豪奢な黄金色の衣を纏いし、醜くも傲岸不遜な空気を纏っていた。
口に該当する器官がないにも関わらず、唸るような囁くような耳障りな声でその者は叫んだ。
「ァヮレェュヮァ……カァミィニィガイサァレズ……チデハガァィサァレズゥゥゥ……ヮァレコソガァァ」
あまりにも耳障りな雑音だった。
拭い難い不快感は頭が受け入れることを拒絶するほどだ。
直接、相対する形となっていたイリスと陸は両手で耳を塞いでいるほどだ。
コメント欄も物凄い勢いで流れており、これが本日のライブを飾るラストバトルと捉えている視聴者が多かった。
「ふぅ~ん。面倒な相手みたいだけど……ねぇ、レオくぅん。頼みがあるんだけどぉ」
「何かな?」
スタッフが宙に映して見せたコメントに目を通していたユリナだったが、急によそ行きの甘ったるい声を出したかと思うと麗央に呼びかけた。
麗央もさすがに学んでいる。
ユリナが間延びした喋り方をして、”くん付け”で呼んでくる時はあまり、よろしくないお願いのある時だと身をもって、学習している。
しかし、学んでいようともユリナの『お願いっ☆』攻撃にはとことん弱いのだ。
「私はアレを動けなくするから、レオはお空のアレを壊して欲しいの」
「空のアレって、アレかい?」
「そう。アレ。レオなら、出来るでしょ?」
互いの息が届く、距離で上目遣いに自分を見つめてくるユリナを前に麗央は無言で頷くしかない。
「ねぇ、いいでしょ? やってよぉ」と心無し潤んだ瞳で訴えられ、断れる度胸は麗央にない。
力強く、何度も頷くバケツ頭を見て、視線をふと外したユリナの口角が微かに上がっていたことに気付いた者は誰もいなかった。
裏方でユリナと麗央がそんな会話を交わしている間にイリスとテラの戦いは始まった。
数々の得物を振り上げ、巨躯を恃みに襲い掛かるラーヴァナを前にテラは怯まない。
巧みにガントレットを操り、攻撃を凌ぐ彼の姿がライブ画面に大きく、映し出される。
イリスを庇うように戦うテラの姿はコメント欄でも概ね、好意的に受け止められていた。
さながらお姫様を守る騎士のように見えていたからだ。
セットされていたオールバックの髪型が激戦の末に崩れていた。
それが乱れた前髪といった風に見えるらしく、女性視聴者のハートを鷲掴みにした。
しかし、テラの固定ファンも増えてきたところでにわかに異変が生じる。
異変の原因は麗央である。
ユリナに請われるがままに空で輝いていた偽りの茜色の天体に向け、渾身の一撃を放ったのだ。
麗央の剣術は養父である歴戦の戦士に叩きこまれたものだが、必殺の構えは独学で会得した物だった。
得物である朱塗りの鞘があしらわれた刀『雷切』を左手に持ち、右手はその柄に添えている。
腰を低く屈めると前に出した右足の膝をやや曲げながら、左足の膝は地面につくギリギリの位置まで後ろに伸ばした。
この奇妙な姿勢が麗央の会得した独特な構えである。
精神を統一するように両目を閉じた麗央はゆっくりと呼吸を整える。
麗央は「今だ!」と気合一閃させる。
麗央は『雷切』の鞘から抜き放ち、空の彼方に浮かぶ球体へ向け、力を解き放った。
抜刀術と収束させた力を一気に放出を組み合わせた強力な斬撃の破壊力は絶大だった。
風を切り裂く轟音が唸りを上げ、茜色の天体を見事に壊し尽くしたのである。
「次は私の番ね♪ これくらいの加減でいいかしら?」
麗央の勇姿を祈りを捧げて見守る聖女には程遠く、瞳にハートマークが浮かびかねない勢いで見つめていたユリナだが僅かに小首を傾げると不穏な単語を口にする。
既に役目を終え、右手で大人しくしていたユグドラシルを魔法のステッキでも振るうようにラーヴァナに向けて、軽く数度、振る構えを見せる。
「え?」
「むむむ?」
ニ十本の腕を自在に使い狂乱したように暴れ尽くし、手のつけようがなかったラーヴァナを前に防戦一方となっていたイリスとテラだが、突如として動きを見せなくなったラーヴァナの異変に動揺を隠せない。
ヒートアップしていたコメント欄も一瞬、サーバーがパンクをしたのかと疑うほどに静まりかえった。
三メートルを超える巨体が大地を離れ、宙に浮いていた。
ラーヴァナも何が起きたのか分からず、無数ある目が泳いでいる。
「ちょっとやりすぎたかしら?」
ユリナは舌をちろりと覗かせ、言葉の割にあまり反省している素振りを見せない。
麗央も「いいんじゃないかな」とどこか諦めたような声の調子だった。
目に見えない幾重にも巻かれた魔法の鎖がラーヴァナの体を雁字搦めに縛り、宙に浮かせていたのだ。
身動きも取れず、力の源である地との接触を断たれたラーヴァナは祝福の一つを失った。
さらに麗央の一撃で空に浮かぶ偽りの太陽を破壊されたことにより、二つ目の祝福――昼夜に害されず――も失っている。
ラーヴァナを守る祝福は残り二つだった。
神と人に害されず、武器により傷つかない。
この祝福は既に破られたも同然だった。
「イリス、今よ。ヤっちゃいなさい☆」
ユリナの存外に軽く、明るい調子の声にイリスがようやく我を取り戻した。
イリスの手でなます切りのように裁断されたラーヴァナは見るも無残な姿で呆気ない最期を遂げることになった。
奇しくも神でもなければ、人でもないイリスによって、武器ではなく体の一部である爪で命を奪われることになろうとは当の本人だけではなく、背後で糸を引いた者も予想していなかったに違いない。
ギガースだった氷の塊はイザークがぺろりと平らげ、ラーヴァナだった肉片は穂先を見た目の通り、捕食者の大きく開いた顎のように変化させたユグドラシルの腹に収まった。
「これであの子を召喚べるわ」と満足そうな様子のユリナと丸々と肥えた体になったイザーク以外の面々はスタッフも含め、死んだ魚のような目になっていた。
YoTubeを影で動かしているユリナとはいえ、さすがにライブで殺戮や捕食の描写をそのまま、配信するのは気が咎めたらしい。
専門のスタッフにより描かれた可愛らしくデフォルメされたイリスとポメラニアンの姿のイザークの動くイラストに差し替え、『この後、スタッフが美味しくいただきました』の一文を付け加えたのである。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる