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36 いざ、鎌倉デート③
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あのまま、バスに乗っていたら、大渋滞に巻き込まれていたに違いない。
ハイランドを抜けてから、鶴岡八幡宮までの細道が見事に渋滞していた。
それを横目にユーくんと民家の屋根伝いに道を急いだ。
「プレイヤーで良かったと思ったの初めてかも」
「ミレイちゃん、大袈裟だなあ」
そう言われるとその通りだから、ぐうの音も出ない。
代わりにぐぬぬぬとは出るけど。
でも、もしプレイヤーではなかったらと仮定するとそう言いたくもなるのだ。
渋滞を回避すべく、バスを降りたら、道が動かないのでタクシーも使えない。
そうなると歩くしかないけど、鶴岡八幡宮までざっと2キロくらいある。
八幡から、さらに若宮大路を下って、長谷を目指すとなれば、さらに3キロ追加だから、軽く5キロを超えてしまう!
一時間以上かかるのは確実だろう。
そんな苦労しなくても風のように駆け抜けることができるのって、便利だ。
それにそこそこ生活が楽になるくらいに稼げている訳で。
プレイヤー様様かもしれない。
ユーくんは遠いところから来たのだから、定番である鶴岡八幡宮に寄り道しない手はない。
休日だけに観光客の多さが尋常ではなくて、ごった煮状態だったけど。
お参りを済ませて、お守りやご当地グッズも買った。
「鳩サブレーはいらない? お土産で大きな缶入りのとか、いいと思うわ」
「でかくね?」
「大きいから便利なのよ。食べた後、有意義に使えるんだから」
懇々と鳩サブレーの缶の有効利用法について、語りたかったけど、どうもユーくんはあまり、興味がないらしい。
そういえば、そんなに甘い物が好きではないと言っていたのを思い出した。
それなら、小町通に……と考えてみたけど、あそこもどちらかと言えば、スイーツ系が多めだ。
諦めて、先を急ぐことにしたものの八幡宮から先は、中心街だけに屋根伝いのぴょんぴょん移動がやりにくくなる。
町の構造がそういう移動のできる地形ではないから、考えながら動かないと「これだから、プレイヤーは」みたいなクレームを付けられかねない。
実際、プレイヤー民と非プレイヤー民の軋轢は存在している。
時に普通に歩いたり、屋根伝い移動を交えたりしながら、長谷へと急ぐ。
「あれ? ここは何か、あったのかな?」
ふとユーくんが立ち止まったのはかつて六地蔵が祀られていた場所だ。
その一帯だけが月のクレーターのような状態になっていた。
「ちょっと前だったかなぁ。ニュースにもなったんだけど、ここにあったお地蔵様が動いたのよ」
「ああ。あのニュースかあ。どこ行っちゃったんだろうね」
「さぁ? 偶にあるよね。この手のニュースって」
「うん」
世界がこうなってから、起こり始めた異変の一つが銅像や石像などが動き出すことだった。
専門家によれば、邪悪な霊が憑りついて、動き出したらしい。
人の念が籠った物ほど、憑りつきやすいと言われるので仏像やお地蔵様も狙われるそうだ。
一種の呪霊や呪物だから、憑りつかれてしまうともはや別物に変わるので元に戻らない可能性が高いとも言われている。
むしろ、元に戻ったというニュースを聞いたことがない。
しかし、六地蔵まで来たので長谷までもうちょっとだ。
ハイランドを抜けてから、鶴岡八幡宮までの細道が見事に渋滞していた。
それを横目にユーくんと民家の屋根伝いに道を急いだ。
「プレイヤーで良かったと思ったの初めてかも」
「ミレイちゃん、大袈裟だなあ」
そう言われるとその通りだから、ぐうの音も出ない。
代わりにぐぬぬぬとは出るけど。
でも、もしプレイヤーではなかったらと仮定するとそう言いたくもなるのだ。
渋滞を回避すべく、バスを降りたら、道が動かないのでタクシーも使えない。
そうなると歩くしかないけど、鶴岡八幡宮までざっと2キロくらいある。
八幡から、さらに若宮大路を下って、長谷を目指すとなれば、さらに3キロ追加だから、軽く5キロを超えてしまう!
一時間以上かかるのは確実だろう。
そんな苦労しなくても風のように駆け抜けることができるのって、便利だ。
それにそこそこ生活が楽になるくらいに稼げている訳で。
プレイヤー様様かもしれない。
ユーくんは遠いところから来たのだから、定番である鶴岡八幡宮に寄り道しない手はない。
休日だけに観光客の多さが尋常ではなくて、ごった煮状態だったけど。
お参りを済ませて、お守りやご当地グッズも買った。
「鳩サブレーはいらない? お土産で大きな缶入りのとか、いいと思うわ」
「でかくね?」
「大きいから便利なのよ。食べた後、有意義に使えるんだから」
懇々と鳩サブレーの缶の有効利用法について、語りたかったけど、どうもユーくんはあまり、興味がないらしい。
そういえば、そんなに甘い物が好きではないと言っていたのを思い出した。
それなら、小町通に……と考えてみたけど、あそこもどちらかと言えば、スイーツ系が多めだ。
諦めて、先を急ぐことにしたものの八幡宮から先は、中心街だけに屋根伝いのぴょんぴょん移動がやりにくくなる。
町の構造がそういう移動のできる地形ではないから、考えながら動かないと「これだから、プレイヤーは」みたいなクレームを付けられかねない。
実際、プレイヤー民と非プレイヤー民の軋轢は存在している。
時に普通に歩いたり、屋根伝い移動を交えたりしながら、長谷へと急ぐ。
「あれ? ここは何か、あったのかな?」
ふとユーくんが立ち止まったのはかつて六地蔵が祀られていた場所だ。
その一帯だけが月のクレーターのような状態になっていた。
「ちょっと前だったかなぁ。ニュースにもなったんだけど、ここにあったお地蔵様が動いたのよ」
「ああ。あのニュースかあ。どこ行っちゃったんだろうね」
「さぁ? 偶にあるよね。この手のニュースって」
「うん」
世界がこうなってから、起こり始めた異変の一つが銅像や石像などが動き出すことだった。
専門家によれば、邪悪な霊が憑りついて、動き出したらしい。
人の念が籠った物ほど、憑りつきやすいと言われるので仏像やお地蔵様も狙われるそうだ。
一種の呪霊や呪物だから、憑りつかれてしまうともはや別物に変わるので元に戻らない可能性が高いとも言われている。
むしろ、元に戻ったというニュースを聞いたことがない。
しかし、六地蔵まで来たので長谷までもうちょっとだ。
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