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18 一路、鈴鹿へ
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ポータルを使って、今日のレイドが行われる鈴鹿へと移動した。
わたしはポータルでK県から、O府まで移動。
そこでユーくんと合流してから、再びポータル移動。
高校生になったばかりで大変なユーくんの負担を少しでも減らしてあげたいと思って、そうしているのだけど結構、出費が痛かったりもする。
ポータルの使用料金が距離によって、比例するのは『リトリー・オンライン』と同じ。
でも、その金額がかなり、違う。
戸惑いと困惑の二重奏なのだ。
『リトリー・オンライン』では割と遠く、それも海外までも気軽に旅に出られたのにそれができない。
だから、仲が良かった友人とも現実で合流を果たすのが難しい。
日本国内ですら、北海道や九州へ行くのにポータル料金がそこそこ、かかるんだから……。
「ユーくんは何で平気なのよ?」
「むしろ、ミレイちゃんは弱すぎん?」
「ぐぅ」
ぐぅの音も出ない。
けれど、これだけは言いたい。
十歳上なのにちゃん付けはやめて!
何だか、こそばゆくなってくる。
でも、悪い気もしない。
多分、相手がユーくんだから、なんだろうと思う。
「落ち着いたら、行こうか」
「ごめんね」
乗り物酔いする人にポータルは向いていない。
これは『リトリー・オンライン』でも言われていたこと。
そして、乗り物酔いする人はだ~れだ?
わたしなのである。
見事に該当して、ポータルに乗れば、毎回気分が悪くなっている。
待ち合わせ時間よりも早めに行こうとする理由の一つが、これのせいだったりする……。
今回の舞台は鈴鹿のとある場所。
『蟹塚』と呼ばれている慰霊塔の近辺がそれに該当する。
この『蟹塚』にはかつて、鈴鹿周辺を荒らしためっちゃ大きな蟹の化け物を祀っているとか。
伝承では3メートルはあろうかという化け蟹が暴れて、高僧に祓われて改心して、自害したのでその骸を祀っている、ということになっているらしい。
実際のところはどうか、分からない。
世界がこんな感じになっているから、その化け蟹さんとやらが大手を振って、歩いていてもおかしくないと思う。
だから、てっきり今回のレイドもそういう系統の魔物だったり、怪異が対象なのかと思ったら、まさかのスライム退治……。
しかもこれ、ポイント稼ぎとしてはかなり美味しい部類に入る。
「何か、裏があるのかな?」
「考えすぎだよ」
のほほんとしたけろけろっな顔でそう言われたら、そうなのかもと納得しかねない何かがある。
でも、メルキセデクが力説していたこともあって、気になるのだ。
虫の知らせとでも言うべきものなのか、無性に気にかかって仕方ない。
案外、勘がいい方だから、こういうのが嫌な時に限ってよく当たるんだけど……。
『ミレイユ。警戒してください』
警戒を促すバルディエルの声が、ちょっとした観光気分で浮かれていたわたしを現実へと戻すのだった。
やっぱり、うまい話なんて、そうそうある訳ないか……。
わたしはポータルでK県から、O府まで移動。
そこでユーくんと合流してから、再びポータル移動。
高校生になったばかりで大変なユーくんの負担を少しでも減らしてあげたいと思って、そうしているのだけど結構、出費が痛かったりもする。
ポータルの使用料金が距離によって、比例するのは『リトリー・オンライン』と同じ。
でも、その金額がかなり、違う。
戸惑いと困惑の二重奏なのだ。
『リトリー・オンライン』では割と遠く、それも海外までも気軽に旅に出られたのにそれができない。
だから、仲が良かった友人とも現実で合流を果たすのが難しい。
日本国内ですら、北海道や九州へ行くのにポータル料金がそこそこ、かかるんだから……。
「ユーくんは何で平気なのよ?」
「むしろ、ミレイちゃんは弱すぎん?」
「ぐぅ」
ぐぅの音も出ない。
けれど、これだけは言いたい。
十歳上なのにちゃん付けはやめて!
何だか、こそばゆくなってくる。
でも、悪い気もしない。
多分、相手がユーくんだから、なんだろうと思う。
「落ち着いたら、行こうか」
「ごめんね」
乗り物酔いする人にポータルは向いていない。
これは『リトリー・オンライン』でも言われていたこと。
そして、乗り物酔いする人はだ~れだ?
わたしなのである。
見事に該当して、ポータルに乗れば、毎回気分が悪くなっている。
待ち合わせ時間よりも早めに行こうとする理由の一つが、これのせいだったりする……。
今回の舞台は鈴鹿のとある場所。
『蟹塚』と呼ばれている慰霊塔の近辺がそれに該当する。
この『蟹塚』にはかつて、鈴鹿周辺を荒らしためっちゃ大きな蟹の化け物を祀っているとか。
伝承では3メートルはあろうかという化け蟹が暴れて、高僧に祓われて改心して、自害したのでその骸を祀っている、ということになっているらしい。
実際のところはどうか、分からない。
世界がこんな感じになっているから、その化け蟹さんとやらが大手を振って、歩いていてもおかしくないと思う。
だから、てっきり今回のレイドもそういう系統の魔物だったり、怪異が対象なのかと思ったら、まさかのスライム退治……。
しかもこれ、ポイント稼ぎとしてはかなり美味しい部類に入る。
「何か、裏があるのかな?」
「考えすぎだよ」
のほほんとしたけろけろっな顔でそう言われたら、そうなのかもと納得しかねない何かがある。
でも、メルキセデクが力説していたこともあって、気になるのだ。
虫の知らせとでも言うべきものなのか、無性に気にかかって仕方ない。
案外、勘がいい方だから、こういうのが嫌な時に限ってよく当たるんだけど……。
『ミレイユ。警戒してください』
警戒を促すバルディエルの声が、ちょっとした観光気分で浮かれていたわたしを現実へと戻すのだった。
やっぱり、うまい話なんて、そうそうある訳ないか……。
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