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20 狩猟者の試練・後日談
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「いってー」
「ごちゃごちゃ、うるさいわね。これくらいで男の子でしょ」
オルガのヤツ、包帯を変えるにしても乱暴なんだよ。
俺が自由に動けないからって、調子に乗っているな。
いや、しかし、動けないのは事実だな……。
これはまた、手酷くやられたもんだ。
全身打撲は生易しい。
頭部裂傷と左腕及び右足が複雑骨折。
さらに見えない部分で内臓も破裂しているが、これはエビ野郎のせいじゃないらしい。
自分自身の技で自分が大怪我をするというみっともない話だった。
どうやら、じっちゃんと母さんが出てくる夢を見た後で無意識のうちに光火砲(フォトンカノン)とやらを使ってしまったのだ。
ところが全身傷だらけの状態でいきなりフルパワーを撃とうとしたせいで思い切り、負荷がかかったというのが専門家の見立てだった。
「それで何だって?」
「だから、あたし達、三人とも合格だって」
「へえ。そうなんだ。合格って、合格の合格か?」
「はぁ? あんた、本当、頭打って血を出しすぎたんじゃないの? 前より酷くなってるわよ」
オルガは意地悪娘で底意地が悪いが、説明はうまい。
悔しいが馬鹿な俺でもすぐに理解できた。
俺は無意識のうちにフォトンカノンを使い、エビのアルファを倒した。
もっともあのエビ野郎、四肢が千切れて体もほとんど吹き飛んでいたにも関わらず、まだ瀕死。
つまり生きていたらしい。
どれだけ化け物なのかと空恐ろしくなってくるが、そこで「ここまで。全員、合格です」と学院長が教師陣を引き連れて、現れたそうだ。
フォトンカノン発射の瞬間、物陰に隠れていた二人は彼らによって、回収された。
俺もまた、彼らによって回収されたのだ。
だから、こうして治療を受けていて、オルガとも話ができているって訳さ。
「であのエビ野郎はどうなるんだ?」
「あれ、死んでなかったからね。また、凍らせて、次の試練で使うんじゃない?」
「そうなのか?」
「多分ね。あの神殿って、温度調節でエビをコントロールしているのよ。だから、試練が無い時は彼らにとって、あそこは単なる監獄ってところかしら?」
「なるほどな。でもさ。あんなのと戦って、勝てるヤツいるのかよ?」
「さあね? 世界は広いからね。そのうち出るかもしれないわよ、ふふっ」
オルガはそう言うと合格祝いでプレゼントされたデバイスを見せてくれた。
画面に映っているのはSNSだ。
世界で活躍中のプレイヤーの動画や配信が溢れ返っている。
「凄いな、これ。世の中は広いんだな」
「そうね。学院で一番なんて、井の中の蛙ってことよ」
「ほほお。五学年の女帝も大人になったなあ」
「あんたのことよっ。あたしじゃない」
「やめろ、痛いってばよ」
俺から無理矢理、枕を奪うとこれでもかというほどに枕で袋叩きにしてきた。
ムキになって彼女は叩いてくるが、実はそれほど痛くない。
かなり酷い怪我をしたはずなんだが、医療設備が整っているからなんだろう。
既にほとんど治っていると言っていい。
それにオルガはきーきーと言っている割にじゃれてくる子猫みたいなもんだ。
引っかかれてもそれほど痛くない。
可愛いもんだ。
「隙ありっ!」
「おまっ、そこは!?」
「バーカ!」
あいつ、男がやられたら、ダメなところに思い切り、エルボードロップを決めてから、逃げていきやがった。
さすがにこれは我慢できないぞ……。
泡吹きそうだ……。
あうち……。
「ごちゃごちゃ、うるさいわね。これくらいで男の子でしょ」
オルガのヤツ、包帯を変えるにしても乱暴なんだよ。
俺が自由に動けないからって、調子に乗っているな。
いや、しかし、動けないのは事実だな……。
これはまた、手酷くやられたもんだ。
全身打撲は生易しい。
頭部裂傷と左腕及び右足が複雑骨折。
さらに見えない部分で内臓も破裂しているが、これはエビ野郎のせいじゃないらしい。
自分自身の技で自分が大怪我をするというみっともない話だった。
どうやら、じっちゃんと母さんが出てくる夢を見た後で無意識のうちに光火砲(フォトンカノン)とやらを使ってしまったのだ。
ところが全身傷だらけの状態でいきなりフルパワーを撃とうとしたせいで思い切り、負荷がかかったというのが専門家の見立てだった。
「それで何だって?」
「だから、あたし達、三人とも合格だって」
「へえ。そうなんだ。合格って、合格の合格か?」
「はぁ? あんた、本当、頭打って血を出しすぎたんじゃないの? 前より酷くなってるわよ」
オルガは意地悪娘で底意地が悪いが、説明はうまい。
悔しいが馬鹿な俺でもすぐに理解できた。
俺は無意識のうちにフォトンカノンを使い、エビのアルファを倒した。
もっともあのエビ野郎、四肢が千切れて体もほとんど吹き飛んでいたにも関わらず、まだ瀕死。
つまり生きていたらしい。
どれだけ化け物なのかと空恐ろしくなってくるが、そこで「ここまで。全員、合格です」と学院長が教師陣を引き連れて、現れたそうだ。
フォトンカノン発射の瞬間、物陰に隠れていた二人は彼らによって、回収された。
俺もまた、彼らによって回収されたのだ。
だから、こうして治療を受けていて、オルガとも話ができているって訳さ。
「であのエビ野郎はどうなるんだ?」
「あれ、死んでなかったからね。また、凍らせて、次の試練で使うんじゃない?」
「そうなのか?」
「多分ね。あの神殿って、温度調節でエビをコントロールしているのよ。だから、試練が無い時は彼らにとって、あそこは単なる監獄ってところかしら?」
「なるほどな。でもさ。あんなのと戦って、勝てるヤツいるのかよ?」
「さあね? 世界は広いからね。そのうち出るかもしれないわよ、ふふっ」
オルガはそう言うと合格祝いでプレゼントされたデバイスを見せてくれた。
画面に映っているのはSNSだ。
世界で活躍中のプレイヤーの動画や配信が溢れ返っている。
「凄いな、これ。世の中は広いんだな」
「そうね。学院で一番なんて、井の中の蛙ってことよ」
「ほほお。五学年の女帝も大人になったなあ」
「あんたのことよっ。あたしじゃない」
「やめろ、痛いってばよ」
俺から無理矢理、枕を奪うとこれでもかというほどに枕で袋叩きにしてきた。
ムキになって彼女は叩いてくるが、実はそれほど痛くない。
かなり酷い怪我をしたはずなんだが、医療設備が整っているからなんだろう。
既にほとんど治っていると言っていい。
それにオルガはきーきーと言っている割にじゃれてくる子猫みたいなもんだ。
引っかかれてもそれほど痛くない。
可愛いもんだ。
「隙ありっ!」
「おまっ、そこは!?」
「バーカ!」
あいつ、男がやられたら、ダメなところに思い切り、エルボードロップを決めてから、逃げていきやがった。
さすがにこれは我慢できないぞ……。
泡吹きそうだ……。
あうち……。
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