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16 とっておき
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「んがああああああ!」
アルファの初撃を止めるべく、スリーパーと突進するしかないと決めた俺だったが、その前に呆気にとられることになろうとは……。
空気が震えるほどの気合が入った絶叫と共にスリーパーが……。
さらに大きくなった。
何だ?
このぶよぶよした風船が膨れました! って感じでちっとも強そうではないのは!
いや、しかしだ。
大きさだけは一回り、大きくなっているから、強い……のか?
見てくれが大きいから、筋力も上がったと考えるべきなのか。
そんな都合のいい話がある訳ないだろうが!
それがどうも、あったらしい。
信じられないことにスリーパーのヤツ、一人でアルファの攻撃を受け止めやがった。
喰らっているけど、大丈夫なのか?
心配ではあるが、瞬間交差した視線で察した。
あいつはとっておきの力を使って、囮になったんだ。
ならば、俺は……俺ができることをやるしかないってな!
まだ残っている取り巻きを全て、駆逐する。
それが俺にできる……いや、俺にしかできないことだ。
ここに来るまでの間、オルガは言っていた。
「これは仮説なんだけどさ。この神殿って、多分、強制的……何らかの人為的な手段で低温に保たれていたんじゃないかな? あのエビ……もしかしたら、低温だと動けなくなるのかも」
「じゃあ、何だ? 試練とかの為にわざと凍らせておいたヤツラを誰かが温めたってことか?」
「そうなるわね」
「だから、あいつらの弱点はひょっとしたら、温度なんじゃないかな」
そんなことを言っていたのには理由があった。
オルガは北の方の出身で寒い地方で育ったのが影響しているのか、氷を操る技を身に付けているらしい。
本当はとっておきで秘密にしておきたかったと悔しそうに言っていたが、そんな悠長なことを言える状況ではないとさすがに理解したようだ。
そうさ。
スペシャリングは彼女がとっておきの技でヤツラに目に物を見せる為の戦術なんだ。
恐らく、技を準備するのに多少の時間が必要なんだろう。
俺とスリーパーは彼女が心置きなく、技を発動できる時間と安全を確保する。
手持ちの投げ槍で取り巻きのブラックタイガーを屠る。
オルガを狙おうとするのを優先に片付けるが、何と言っても数が多い。
あれだけ、準備した手槍が残り少ない。
そうなると今後は近接戦を挑むしかない!
スリーパーは一人であの化け物みたいなエビ野郎と戦っているんだ。
さっさと雑魚どもを片付けないとそう長くは持たないだろう。
「うぜえんだよ!」
前から接近してきたヤツの頭に槍を突き刺し、絶命したところを腕をもぎ取って、そのまま、後ろから不意打ちを狙ってきたヤツの顔面目掛け、思い切り放り投げた。
多少、体液を浴びたが仕方ない。
満身創痍なスリーパーに比べれば、これくらい、どうということはない。
取り巻きは片付いた。
思ったよりも手こずったと言うべきか。
深く突き刺さった槍を引き抜き、得物を取り戻してから、スリーパーの援護をすべく、急いだ。
急げ!
急ぐんだ! もっと早く!
そうだ、オルガは?
オルガの準備は終わったのか?
背後にふと視線をやると全身から、白いもやのようなものを放つ彼女の姿が見えた。
手槍を構えて、投擲の姿勢に入っている。
どうやら、準備が終わったようだ。
さあ、反撃の時間だ!
アルファの初撃を止めるべく、スリーパーと突進するしかないと決めた俺だったが、その前に呆気にとられることになろうとは……。
空気が震えるほどの気合が入った絶叫と共にスリーパーが……。
さらに大きくなった。
何だ?
このぶよぶよした風船が膨れました! って感じでちっとも強そうではないのは!
いや、しかしだ。
大きさだけは一回り、大きくなっているから、強い……のか?
見てくれが大きいから、筋力も上がったと考えるべきなのか。
そんな都合のいい話がある訳ないだろうが!
それがどうも、あったらしい。
信じられないことにスリーパーのヤツ、一人でアルファの攻撃を受け止めやがった。
喰らっているけど、大丈夫なのか?
心配ではあるが、瞬間交差した視線で察した。
あいつはとっておきの力を使って、囮になったんだ。
ならば、俺は……俺ができることをやるしかないってな!
まだ残っている取り巻きを全て、駆逐する。
それが俺にできる……いや、俺にしかできないことだ。
ここに来るまでの間、オルガは言っていた。
「これは仮説なんだけどさ。この神殿って、多分、強制的……何らかの人為的な手段で低温に保たれていたんじゃないかな? あのエビ……もしかしたら、低温だと動けなくなるのかも」
「じゃあ、何だ? 試練とかの為にわざと凍らせておいたヤツラを誰かが温めたってことか?」
「そうなるわね」
「だから、あいつらの弱点はひょっとしたら、温度なんじゃないかな」
そんなことを言っていたのには理由があった。
オルガは北の方の出身で寒い地方で育ったのが影響しているのか、氷を操る技を身に付けているらしい。
本当はとっておきで秘密にしておきたかったと悔しそうに言っていたが、そんな悠長なことを言える状況ではないとさすがに理解したようだ。
そうさ。
スペシャリングは彼女がとっておきの技でヤツラに目に物を見せる為の戦術なんだ。
恐らく、技を準備するのに多少の時間が必要なんだろう。
俺とスリーパーは彼女が心置きなく、技を発動できる時間と安全を確保する。
手持ちの投げ槍で取り巻きのブラックタイガーを屠る。
オルガを狙おうとするのを優先に片付けるが、何と言っても数が多い。
あれだけ、準備した手槍が残り少ない。
そうなると今後は近接戦を挑むしかない!
スリーパーは一人であの化け物みたいなエビ野郎と戦っているんだ。
さっさと雑魚どもを片付けないとそう長くは持たないだろう。
「うぜえんだよ!」
前から接近してきたヤツの頭に槍を突き刺し、絶命したところを腕をもぎ取って、そのまま、後ろから不意打ちを狙ってきたヤツの顔面目掛け、思い切り放り投げた。
多少、体液を浴びたが仕方ない。
満身創痍なスリーパーに比べれば、これくらい、どうということはない。
取り巻きは片付いた。
思ったよりも手こずったと言うべきか。
深く突き刺さった槍を引き抜き、得物を取り戻してから、スリーパーの援護をすべく、急いだ。
急げ!
急ぐんだ! もっと早く!
そうだ、オルガは?
オルガの準備は終わったのか?
背後にふと視線をやると全身から、白いもやのようなものを放つ彼女の姿が見えた。
手槍を構えて、投擲の姿勢に入っている。
どうやら、準備が終わったようだ。
さあ、反撃の時間だ!
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