くろいやつのくろいつらつらですわ～

くろいゆきと映画の話・おっちゃん一人舞台モンスターハンター

　皆様、ごきげんようですわ～。

　今回、取り上げる映画は『モンスターハンティング 復讐の狩人』でしてよ。
　序盤のシーンで描かれるのは主人公である髭もじゃのおっちゃんことモンスターハンターの過去の回想ですわね。
　森の中で何か得体の知れないモノと戦っているらしいおっちゃん。
　布に包まれた女の子が何にやられたのかは分からないのですけど、その命の灯が徐々に消えていく……。
　お前の仇は必ず取る！　というおっちゃんの台詞からどうやら女の子が娘でモンスターに殺された(らしい)ということですわ。

　この映画はほぼ『らしい』でしか、描写されない非常にシュールな作品。
　モンスターに殺された娘の復讐とばかりにモンスター退治に執念を燃やすおっちゃんは、山奥に粗末な丸太小屋を建て、手配書を見てはモンスターを退治する日々。
　この日々が淡々と描かれてますの。
　どれくらいに淡々かと申しますと……
　モンスターハンティングとタイトルに銘打ちながら、明確な戦闘描写は終盤のラスボス(らしい)モンスターとの一戦だけ。
　この一戦ですら、照明がない暗い洞窟のような場所なのが影響し、ほぼ暗くて何が行われているか分からないものすご～～～く地味なものでしてよ？

　ただ、おっちゃんが旅する自然の風景の描写は雄大でその場面だけ、切り取ってみると『ロード・オブ・ザ・リング』などを連想出来ないこともない訳ではない(´・ω・`)
　確かにきれいではありますもの。
　ただ、絵面は鎧を着た髭のおっちゃんが一人ぽつねんと歩いているだけ！
　そう。
　この髭のおっちゃんの一人舞台であって、台詞もほぼナッシング。
「ほんげえあああ」「もるすあああ」みたいなよく分からない叫び声を上げたり、「俺劉備守る」くらいしか喋らない『三國無双』の魏延レベルでしか言葉らしい言葉を喋りませんの。
　でも、無駄に拘っているのが小物類の描写ですわね。
　鎧や兜のデザインや完成度は高く、ちょっと『スカイリム』のドラゴンボーンぽいのは御愛嬌ということで……。
　モンスターの手配書も手書きで書かれた羊皮紙といった感じで味わいがありますわ。

　残念ながら、モンスターやクリーチャーの描写はいまいちですわね。
　おっちゃんがドリフのコントのように武器を片手に画面の外に歩いていく。
　恐らく「うわー、やめろー」「うるさい」なやり取りでモンスターとやり合っているのか、おっちゃん暫くすると怪我をして、モンスターの首だけ刈って戻ってきますの。
　そして、首を杭に何かの呪いのように刺していく。
　これがもう淡々と繰り返されるだけの映画ですわ～🌿

　最後はなぜか、後生大事に取っていたとしか思えないタールのような謎の液体が偶然、モンスターの首にかかり復活？
　そんな描写の末にラスボス(らしい)モンスターに憑依され、変化した娘の遺体と「許さんぞー」「うわーやめろー」という腹話術の人形と争う腹話術士のような戦闘が描かれますわ～。
　でも、これで終わりかと思ったら、終わりではありませんのよ？
　これ以上はネタバレになりますから、見る方は見ない方がよろしくってよ？



　ある日、帰宅したおっちゃん。
　カメラワークがわざと足だけを映し、その足取りが重く異様な物であることが示唆されますの。
　そして、壁にある杭に本日の獲物の首が刺されるのですけど……

　それが何と、髭のおっちゃんの首ですわ～！
　恨めしく、目を見開いたままのおっちゃんの生首が杭にグサリと刺され、その光の無い瞳に『骸骨騎士様』のように頭が髑髏モンスターになったおっちゃんの姿が移り、ジ・エンドですわ。
　ふ、ふかいで……すん？