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くろいゆきと映画の話・スペードの女王

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 皆様、ごきげんようですわ~。

 今回、取り上げる映画は『クイーン・イン・ザ・ミラー -女王の召喚-』でしてよ。
 サブタイトルの『スペードの女王』はロシアの詩人・小説家であるプーシキンの短編小説として、有名ですわね。
 この映画に出てくる『スペードの女王』はロシアを舞台にしたお話という設定ですけれど、あくまで都市伝説。
 日本でいうところのこっくりさんやイギリスの降霊術に似ていますわ。
 悪霊のスペードの女王を召喚すると願い事を叶えてくれる。
 でも、その代わりに召喚した者は殺されるというこれも割とよく聞きますわね。
 日本では合わせ鏡にまつわる都市伝説で怖いのがありますから、それが一番近いかしら?

 主人公のアナは十三歳の少女で母親と二人暮らし。
 両親は離婚したのか、死別したのかは詳しく描かれていませんけど、生活を支えるべく母親は働き詰めの多忙な日々。
 それもあって、アナと母親の関係は思春期も影響し、少し微妙な距離感になってましてよ。
 アナには同じ集合住宅に住んでいて、同様の悩みを抱えている同年代(最年少はアナ)のティーンエイジャーの友人が三人いるのですけど……。
 姉のような存在のケイティはアナのことを気にかけ、関係性もいいものの残り二人の少年がちょっとした問題児。
 四人で動画を投稿し、何かバズらないかと未成年なのに飲酒やたばこに手を出す。
 道を踏み外しそうな危険なラインにいた四人が偶然、目撃してしまったのが屋上から、飛び降りる一人の少年(青年?)。
 瀕死の少年が残した『スペードの女王』という単語がこのホラー映画の導入となりましてよ。

 四人組の中で知性派らしき眼鏡少年セバスチャンが調べ上げ、ロシアの都市伝説であることが分かり、怖いもの見たさと面白いものが取れて、バズるかもしれないという興味本位から、四人は『スペードの女王』の儀式を行ってしまいますの。
 儀式自体は不気味な影がちらつくことを匂わせつつも四人の中で一番、悪ふざけが過ぎるマシューが隠れていた扉から、飛び出し脅かすというオチで女性二人が「最低」「ふざけんな」で終わりますわ。

 ところがセバスチャンが『スペードの女王』について、もっと調べるべきだったと言い出し、よく言えば明るく、悪く言えばふざけてばかりいたマシューの様子が段々とおかしくなっていき……ついにはマシューが謎の心臓発作を起こし、プールサイドで倒れそのまま、帰らぬ人になってしまいますの。

 残された三人はマシューがふざけていたのではなく、自分達の身にも危険が迫っていることを知り、『スペードの女王』について詳しく、考察している本の著書スミルノフとコンタクトを取り、何とか自分達の力だけで解決を試みるのですけど……。
 ついに本格的に姿を現した『スペードの女王』により、セバスチャンも自宅の浴室で溺死。
 冒頭シーンの少年やマシューを殺した際は心理的な威圧感で追い詰めて、死に至らしめる『リング』の貞子タイプかと思いきや何と、直接バスタブに頭を引きずり込んでセバスチャンを殺すというパワー系でしたわ~。
 怖いことは怖いのですけど、おハーブですわね。

 事ここに至って、娘アナとの仲がぎくしゃくしていたママが介入し、スミルノフも巻き込み『スペードの女王』と直接、対決という流れになって中々、本格的なホラーテイストですわ~。
 この対決の描写自体は『スペードの女王』がアナの体に憑依したことで急にエクソシストぽくなるのですけど……。
 スミルノフは元内科医で息子を『スペードの女王』に殺された被害者に過ぎず、悪魔祓いの専門家でも何でもないのでいくら、息子の復讐の為に動いているとはいえ、ここはちょっとばかり疑問が浮かぶポイントですわね。
 何となく、見入ってしまうノリの良さがあるので見応えは十分ですわ~。
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