くろいやつのくろいつらつらですわ～

くろいゆきと映画の話・蠍の王

　皆様、ごきげんようですわ～。
　お嬢様と言えば、門限ですわね！
　でも、私は特に門限なんてありませんでしたの。
　暗くなった時点で帰ってこないと心配されるだけですわ～。
　田舎道は暗いんですのよ～。

　さて、今回、取り上げるのは『スコーピオン・キング』ですわ～。
　主演は最も稼いだ俳優にまで昇りつめたドウェイン・ジョンソンですわ～。
　この『スコーピオン・キング』に出演した際はまだ、ザ・ロック名義ですわね。
　彼がアメリカの人気プロレス団体WWEの超人気レスラーだったのは有名な話ですわ。
　マイクパフォーマンスと顔芸(?)でロック様と言えば、とても有名でしてよ？
　多分、ですけど。

　話が脱線しましたけど、この物語は人気シリーズ『ハムナプトラ』の二作目『ハムナプトラ2』に登場した敵役スコーピオン・キングを主人公とした『ハムナプトラ』のスピンオフですの。
　『ハムナプトラ』でもロック様が演じてましたけど、魂まで闇堕ちした微妙なCGでの蠍と合体して、ほぼ怪物状態でしたわね。
　あまり、評判が良くなかったようですけど、闇堕ちする前、彼がまだ人間だった若き頃を描いたのが『スコーピオン・キング』なのですわ。

　ロック様が演じる主人公マサイアスはアッカド族の戦士。
　彼が復讐を誓い、暴虐な王との戦いに身を投じて、やがて愛を知り、王になっていくまでを描いてますの。
　暴虐な王の名がメムノーン。
　彼に仕える未来を予知する預言者がカサンドラ。

　あら？　と気が付いた方もいるのではなくって？
　予言が出来る女性カサンドラがいるので恐らく、メムノーンはアガメムノンですわ。
　ギリシア神話、それもトロイア戦争に関係してますわね。
　カサンドラはトロイアの王女で太陽神アポロンに見初められ、予言の力を与えられたが為に己が捨てられることを知って、逃げてしまった女性ですわ。
　それで『お前の予言は誰も信じない』という呪いを受けたんですのよね？
　アガメムノンはトロイアに攻め込んだギリシア軍の総大将で戦利品として、カサンドラをお持ち帰りしたのですわ～。
　カサンドラはこの時、既に自分の悲惨な最期を知っていたとも言われてますわね。
　アガメムノンは出陣の際に娘を殺した恨みで正妻とその愛人に殺されますけど、カサンドラも巻き添えで殺されてしまいますの。
　ところが話はこれで終わらないのですわ～。
　アガメムノンの遺児である息子オレステスと娘エレクトラが成長してから、父親の仇！　と母とその愛人を殺してしまいますの。
　何という復讐の連鎖。
　でも、ギリシアでは親殺しはご法度。
　息子オレステスは復讐の女神エリーニュスによる執拗な追跡と追及で発狂しかける……救われない話ですのよ？
　話が脱線し過ぎですわね😓

　『スコーピオン・キング』の中ではそんな要素は全く、出てきませんわ～。
　おハーブですわ～。
　ストーリー自体はいわゆる、ヒロイックファンタジーで凛々しいヒーローが麗しいヒロインを救うという分かりやすいものですのよ？
　アクション映画として、見ても悪くはないと思いますの。
　ロック様のファンであれば、間違いなく、楽しめるように演出されている気がしますもの。
　ただ、そうでない場合は極めて、普通という印象かしら？

　愛に生き、理想に燃える王となったであろうマサイアスがどうして、闇に堕ちてしまったのかが、分かりませんのよ。
　理想に燃えるあまり、現実との剥離に気が付いたのかしら？
　それとも愛する者を失ったのかしら？
　物語全体を通じて、闇に堕ちるとは一切、感じさせないんですもの。

　なお、『スコーピオン・キング2』も制作されてますけど、ロック様は出ていませんし、評価も芳しくないようですわ。