薔薇の姫は夕闇色に染まりて

黒幸

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第一部 薔薇姫と夕暮れ

第18話 小さき者はない頭を捻る

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(パルム視点)

 頭の中でベルがたくさん、鳴ってる。
 グワングワンって、いってる。
 頭グルグルして、痛い。

 いけない。
 大事なこと、忘れた。
 パラケ・ルッスースとの約束。
 父言った。

「お前、目覚める。遥かな未来。血がお前の鍵。お前、目覚める」

 そんな感じだYO、いえい♪
 違う気するけど、分かんない。
 今の頭で父、本当は何と言ってたか、思い出せない。

 分かるのはたった一つのことだけ。
 目の前にいる二人がパミュのパパシルヴィオママアウローラということ。

(この娘、何者だ? いや、待てよ……心無し、アリーさんに似ていないか?)
(この子、誰なんでしょう? 何だか、シルさんに似ているような……気のせいでしょうか?)

 聞こえる。
 パミュには聞こえる。

 これがパミュのパワー!
 父、偉大。
 このパワーでパミュは……パミュは……何をする?

「パ、パパー」

 目覚めたばかりでまた、眠りたくない。

 ママの馬鹿パワー怖い。
 おまけに考えてることも怖い。

 ここはパパ、頼るべき。
 パミュ賢い。

(もしかして、不審者さんなんでしょうか? シルさんが見ていない時を見計らって、ケした方がいいのでしょうか?)

 虫も殺せそうにない顔で顔色一つ変えないママ。
 本当に怖い。
 消されないために娘の振りする。
 パミュ賢い。

「そうなんですよ。アリーさん。実は僕には娘がいまして」
(何者かは分からないがここは利用させてもらうとするか)
「娘さんですか?」
(え? 娘さんがいるということはあれがこうでこうして、ああなんですか!? 殺す? 二人ともヤる?)

 パパもママも怖い。
 ニコニコとしてる表情の裏で考えていること怖い。
 パパ、どうにかして?

「パパとよべっていわれた……パミュパルムのちちしんだ」
(何だと!? そういう話なのか? しかし、アリーさんの目が据わっていて、危険だ。ここは乗るしか、ないか)
「この子は亡くなった兄夫婦の子でしてね。僕が引き取って、娘のように育ててきました」
「そうでしたか。私はてっきり……勘違いしてしまって。そういうことでしたら、私の娘も同然ですね♪」
(良かったわ。二人もバラす解体するのは骨が折れるのよね。出来たら、シルさんとは仲良くしておきたいわ。をしやすくする為の結婚ですし……)

 パパ! やる。
 あれだけで話を合わせるなんて、スゴイ。
 パパ何者?

 両手を合わせて、優しそうな笑顔を見せている裏でそんなことを考えているなんて、ママが怖い……怖すぎる。
 ママも何者?



 でも、パミュ間違ってない。
 あの二人がパパとママなのは確か。
 パミュのこの身体。
 情報は二人の血から、ゲットしてる。
 間違いない。

「パミュ。がんばるます」

 ママの馬鹿パワーで吹き飛ばされたせいで頭の中身、色々と飛んだ。
 まともに喋れないの、困る。

「すぃ」

 この小さな体なら、逆に自然?

 父よ、パミュは生きる!
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