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閑話・後日談
後日談 神々の運命の行方
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ヘルヘイムから、遠く離れた神々の大地アスガルドで全てを見ていた王オーディンが嘆息する。
「これで我らの運命は変わるやもしれぬのう」
「俺にはよく分からんですな。運命などねじ伏せて、なんぼのもんでは?」
無精髭を撫でながら、どこか仏頂面を下げていたトールが心底、理解出来ないとでも言いたげな表情を浮かべる。
「そう簡単なものではあるまいよ」
「そういうもんですかね」
「ああ。難しいもんじゃな」
白く長い髭を無意識のうちに撫でるオーディンは暫し、夢想する。
神々の運命でアスガルドに攻め寄せてくる三兄妹は本来であれば、その命を奪うのが最善の策であった。
それが出来なかったのはひとえに肉親の情が邪魔をしたとしか、言えない。
いくら未来で牙を剥く存在とはいえ、血脈を受け継ぐ孫であることに違いはない。
何よりも妻と娘がそれを許してはくれないだろう。
その為、遠く離れた過酷な地へと追放したが、それでは運命は変わりはしない。
そこでグングニルを使わざるを得ないと判断した。
ラグナロクにおいて、もっとも大きな障害の一つとなるであろう世界蛇をこの世界から、実質的に消し去った。
いや、消し去ったのではない。
新たな一つの存在になっただけなのだ。
それが吉と出るか、凶と出るかは分からない。
実際に孫娘のリリスの動きはラグナロクを回避出来るかもしれないと希望を持たせるものだった。
死者の居場所として、ヘルヘイムはうまく機能している。
ミステルティンもあの地にある限りはラグナロクが起こりようがないはずだ。
それに仕掛けとして、けしかけた雷神の子との関係もうまくいった。
その余波で一つの障害となりうるロキの息子を消し去ることが出来たのも大きい。
「だが、嫌な予感もするのじゃ」
「予感ですか? まあ。何が出てこようが俺は叩き潰すだけですよ」
叩き潰せないものも世の中にはあるということをこの息子は理解しないだろう。
そう考えているオーディンは何も言わず、ただ溜息を吐く。
懸念材料としては件の孫娘の雷神の子への執着が予想以上だったということか。
さすがはあの女の血を引いているだけあるわいと妻の顔を思い浮かべ、背筋が寒くなったオーディンであった。
しかし、この時、オーディンが感じていた嫌な予感はあながち、間違いではなかったのだ。
「はぁはぁ……くそう。この私がこのような目に遭おうとは! この屈辱。決して忘れんぞ。覚えておれ」
ソレはまだ、生きていた。
左腕と両脚を失い、頭部もほぼ原形を留めていない。
だが、ナリはまだ生きていた。
辛うじて動く左手を使い、どうにか姿を隠し、逃げのびていたのだ。
「ほお。生きていたか。どうやら、胴体は無事なようだな。これは僥倖」
「お、お前は!? ぐぎゃ」
その男は辛うじて残っていたナリの頭部を軽く、踏み潰す。
再生を始めていたナリの身体もさすがに頭を失い、その機能を停止した。
燃え盛る焔を纏った大きな剣を振るうとナリの身体を引き裂き、その臓物を取り出し、高笑いを始めた。
「ふはははは。これでいい。これでいいのだ。神々の運命は避けられんよ、オーディン!」
男はナリの臓物を手に一陣の風と共にその姿を消した。
「これで我らの運命は変わるやもしれぬのう」
「俺にはよく分からんですな。運命などねじ伏せて、なんぼのもんでは?」
無精髭を撫でながら、どこか仏頂面を下げていたトールが心底、理解出来ないとでも言いたげな表情を浮かべる。
「そう簡単なものではあるまいよ」
「そういうもんですかね」
「ああ。難しいもんじゃな」
白く長い髭を無意識のうちに撫でるオーディンは暫し、夢想する。
神々の運命でアスガルドに攻め寄せてくる三兄妹は本来であれば、その命を奪うのが最善の策であった。
それが出来なかったのはひとえに肉親の情が邪魔をしたとしか、言えない。
いくら未来で牙を剥く存在とはいえ、血脈を受け継ぐ孫であることに違いはない。
何よりも妻と娘がそれを許してはくれないだろう。
その為、遠く離れた過酷な地へと追放したが、それでは運命は変わりはしない。
そこでグングニルを使わざるを得ないと判断した。
ラグナロクにおいて、もっとも大きな障害の一つとなるであろう世界蛇をこの世界から、実質的に消し去った。
いや、消し去ったのではない。
新たな一つの存在になっただけなのだ。
それが吉と出るか、凶と出るかは分からない。
実際に孫娘のリリスの動きはラグナロクを回避出来るかもしれないと希望を持たせるものだった。
死者の居場所として、ヘルヘイムはうまく機能している。
ミステルティンもあの地にある限りはラグナロクが起こりようがないはずだ。
それに仕掛けとして、けしかけた雷神の子との関係もうまくいった。
その余波で一つの障害となりうるロキの息子を消し去ることが出来たのも大きい。
「だが、嫌な予感もするのじゃ」
「予感ですか? まあ。何が出てこようが俺は叩き潰すだけですよ」
叩き潰せないものも世の中にはあるということをこの息子は理解しないだろう。
そう考えているオーディンは何も言わず、ただ溜息を吐く。
懸念材料としては件の孫娘の雷神の子への執着が予想以上だったということか。
さすがはあの女の血を引いているだけあるわいと妻の顔を思い浮かべ、背筋が寒くなったオーディンであった。
しかし、この時、オーディンが感じていた嫌な予感はあながち、間違いではなかったのだ。
「はぁはぁ……くそう。この私がこのような目に遭おうとは! この屈辱。決して忘れんぞ。覚えておれ」
ソレはまだ、生きていた。
左腕と両脚を失い、頭部もほぼ原形を留めていない。
だが、ナリはまだ生きていた。
辛うじて動く左手を使い、どうにか姿を隠し、逃げのびていたのだ。
「ほお。生きていたか。どうやら、胴体は無事なようだな。これは僥倖」
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燃え盛る焔を纏った大きな剣を振るうとナリの身体を引き裂き、その臓物を取り出し、高笑いを始めた。
「ふはははは。これでいい。これでいいのだ。神々の運命は避けられんよ、オーディン!」
男はナリの臓物を手に一陣の風と共にその姿を消した。
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今度こそ、スローライフになっている(はずの)続編的扱いの新作『わたしが愛する夫は小さな勇者様~お姫様と勇者のスローライフ~』でヘルちゃんの暴走はさらに悪化します🙄
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