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第3章 茨の姫君
第30話 光の贈り物
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『おめでとう。汝は力を得た。汝こそ、真なる女王として相応しい』
まだ、夢心地の意識を奮い起こして、瞼を開けるとそこは見渡す限り、どこまでも白い光に包まれた純白の世界ですわ。
不思議な空間とでも言うべきかしら?
『汝は血に抗い、真なる光を得たのだ』
一面白い世界の中でひときわ大きな輝きを放っていて、姿形すら分からない光源と思しきものが威厳のある声の主みたい。
「レオは? レオは大丈夫なの?」
『それな。だいじょーぶだわ。お前の癒しの力、ちょすごだわ!ズッ友でガチヨロなのだわ』
「んんん?」
今のは多分、バステトでしょう?
意味が分からない訳ではないですけど、かなり変……。
でも、どうも何か、あったと理解して、いいですわね。
多分、自信はありませんけど。
『永き時、我らはこの地に縛られていた。されど、汝の光により、我らは楔より解き放たれた。礼を言おう』
バステトがギャーギャーと小声で喚いているのを威厳のある声が抑えて、非常に気になることを言ってますわ!
光? それよりもレオは?
レオはどうなったの?
『心配はいらぬ。汝の癒しの力は絶大なものだ。汝であれば、恐らくは失われた命をも戻せるかもしれぬ』
「え? えぇ?」
お祖母様とお母様は光の魔法を得意ですから、わたしにその形質が継がれていたとしてもおかしくないのです。
ただ、それをロキから受け継いだ闇の血が邪魔していたはず……。
そうではなかった?
わたしがそう思い込んでいただけ。
本当は元から、闇になど囚われていなかったのかしら?
『そうなのだわ。思い込みはいけないのだわ』
『バステトは少し、口を噤んでおれ』
『りょ』
バステトの言い回しは軽い。
だからこそ、逆に分かりやすいとも言えるのかしら?
変に頭で考えないのがいいのかしらね。
そう! わたしはレオを助けることが出来たのだわ!
いけませんわ。
バステトの口癖が伝染ったのではなくて!?
『我らはこの地を離れる。だが、その前に汝に感謝の気持ちを贈ろう』
『受け取るのだわ』
夢?
あまりにもはっきりとしていて、不思議な体験……。
でも、確かなことが一つだけ。
それはレオが助かったということ。
血の気を失っていたレオの顔色が元に戻りつつあって、荒かった呼吸も静かになっています。
傷だらけになっていた体も傷口がふさがり、血が止まっていました。
これがわたしの力?
光属性の癒しを使えたのだわ!
あら? 変な癖がついてません?
「よかった……レオ」
レオの体を抱き締めて、今更のように気が付きましたの。
わたし、何も着てませんわ!?
まだ、夢心地の意識を奮い起こして、瞼を開けるとそこは見渡す限り、どこまでも白い光に包まれた純白の世界ですわ。
不思議な空間とでも言うべきかしら?
『汝は血に抗い、真なる光を得たのだ』
一面白い世界の中でひときわ大きな輝きを放っていて、姿形すら分からない光源と思しきものが威厳のある声の主みたい。
「レオは? レオは大丈夫なの?」
『それな。だいじょーぶだわ。お前の癒しの力、ちょすごだわ!ズッ友でガチヨロなのだわ』
「んんん?」
今のは多分、バステトでしょう?
意味が分からない訳ではないですけど、かなり変……。
でも、どうも何か、あったと理解して、いいですわね。
多分、自信はありませんけど。
『永き時、我らはこの地に縛られていた。されど、汝の光により、我らは楔より解き放たれた。礼を言おう』
バステトがギャーギャーと小声で喚いているのを威厳のある声が抑えて、非常に気になることを言ってますわ!
光? それよりもレオは?
レオはどうなったの?
『心配はいらぬ。汝の癒しの力は絶大なものだ。汝であれば、恐らくは失われた命をも戻せるかもしれぬ』
「え? えぇ?」
お祖母様とお母様は光の魔法を得意ですから、わたしにその形質が継がれていたとしてもおかしくないのです。
ただ、それをロキから受け継いだ闇の血が邪魔していたはず……。
そうではなかった?
わたしがそう思い込んでいただけ。
本当は元から、闇になど囚われていなかったのかしら?
『そうなのだわ。思い込みはいけないのだわ』
『バステトは少し、口を噤んでおれ』
『りょ』
バステトの言い回しは軽い。
だからこそ、逆に分かりやすいとも言えるのかしら?
変に頭で考えないのがいいのかしらね。
そう! わたしはレオを助けることが出来たのだわ!
いけませんわ。
バステトの口癖が伝染ったのではなくて!?
『我らはこの地を離れる。だが、その前に汝に感謝の気持ちを贈ろう』
『受け取るのだわ』
夢?
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でも、確かなことが一つだけ。
それはレオが助かったということ。
血の気を失っていたレオの顔色が元に戻りつつあって、荒かった呼吸も静かになっています。
傷だらけになっていた体も傷口がふさがり、血が止まっていました。
これがわたしの力?
光属性の癒しを使えたのだわ!
あら? 変な癖がついてません?
「よかった……レオ」
レオの体を抱き締めて、今更のように気が付きましたの。
わたし、何も着てませんわ!?
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今度こそ、スローライフになっている(はずの)続編的扱いの新作『わたしが愛する夫は小さな勇者様~お姫様と勇者のスローライフ~』でヘルちゃんの暴走はさらに悪化します🙄
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