23 / 56
第23話 あたしはここに来なければ、いけなかった
しおりを挟む
アマーリエは前国王であるコンラートを『おじい様』と呼んでいる。
ネドヴェト姉妹の祖父はハヴェル・ネドヴェトという。
このハヴェルの妻であり、アマーリエの祖母にあたるカテジナ。
この女性がコンラートの妹である。
アマーリエがコンラートを大伯父と呼ぶのが正しいということになる。
だが、ここで一つ問題があった。
アマーリエの歯が乳歯から、永久歯へと生え変わる時期だった。
おおおじは歯抜けには言いにくいものがある。
舌を噛みそうになり、言いにくい様子に見えたアマーリエにコンラートは優しく、微笑みかけながら「おじい様でかまわんよ」と言った。
コンラートは白く長い髭を生やし、優しそうな見た目をしている。
それは間違いではない。
彼は見た目通り、とても優しい人柄の男だった。
だから、アマーリエは「ここに来なければ、いけなかった」と改めて、思った。
エヴェリーナを匿い、きっと守ってくれるに違いないと考えたからだ。
「セバスさん、エヴァは?」
「ああ。心配なさる必……」
「大丈夫よ、エミーちゃん」
「大丈夫です」
セバスチアーンはトレードマークの口髭をいじりながら答えようとするが、それにかぶせるように口を開いたのはポボルスキー兄妹だった。
サーラの声は少しばかり甲高い部類に入った。
眠気覚ましには丁度いいと感じるアマーリエだったが、なぜこの二人がコンラートの離宮にいるのか。
それが気になって、仕方が無かった。
ユリアン・ポボルスキーはロベルトの取り巻きの一人だった。
遊びに来ただけと考えられなくもない。
だが、気軽に遊びに来ていい場所ではなかった。
王位を退いたとはいえ、前国王の座す離宮である。
「……ということでございます」
さすがマスター・バトラーの称号は伊達ではないとアマーリエは思った。
セバスチアーンは世界で五指に入る腕利きの筋金入りの執事である。
その職分は多岐に渡り、単に家宰だけではない。
身辺の警護に留まらない荒くれ仕事まで楽にこなす男なのだ。
ユリアンとサーラは二人が同時に喋ろうとするものだから、変なハーモニーを奏でているような滑稽なことになっていた。
内容もまとまっておらず、分かりにくいものがあった。
その点、セバスチアーンは違った。
理路整然とした喋り方といい、落ち着き払ったしゃがれ声といい、まるで講義を行っている老教師のようであり、アマーリエは思わず舟をこぎかけてしまった。
「それで助けてくれたロベルト第二王子殿下にお礼を言いたいのですけど?」
しかし、アマーリエの言葉に三人とも複雑な顔になり、微妙な空気が場を支配する。
離宮はロベルトの家である。
家長であるコンラートが不在であれば、ロベルトが代わりを務めるのが通例だった。
ところが、彼はこれまで一度も顔を覗かせていない。
これまでのように血縁者のように近い幼馴染の距離感をやめようと提案したのはアマーリエである。
それでもさすがに顔も見せないのは何とも言葉に言い表せない複雑なものが彼女にあった。
「そうですな。セバスめにお任せあれ」
ニッと口角を僅かに上げるとこれから、悪戯でも始めようかという悪戯っ子の如き表情をしたセバスチアーンが部屋を出ていった。
さすがマスター・バトラーと言わざるを得ない。
その無駄の無い動きはエレガントでスマートなものだった。
アマーリエは幼い頃、マスター・バトラーが何なのかとセバスチアーンに尋ねたことがあった。
「ましゅたーばとりゃーって、にゃに?」
「東西南北全てにおいて、最高の執事ということですな」
顎髭を撫でながら、幼児には訳の分からない答えを返すセバスチアーン。
マスター・バトラーの称号を持つ者でも幼子の相手は得意では無かった。
「つまり、さいつよですな」
言い直したセバスチアーンだったが、それでもアマーリエには理解が出来ない。
さいつよ! な執事とは、一体何を意味するのか。
それはアマーリエの中で現在でも大きな疑問として残っていた……。
「もう少し、詳しく説明してもらえるかしら? あまり頭がよくないので、分かんないの」
アマーリエがそう言うと何を意味しているのか、サーラが察した。
サーラも隣にいる自分の兄を横目で窺っていた。
兄妹であれば、ずっと被害を受けてきたに違いないのだとアマーリエは推理した。
頭の回転が速い人間によくあることだった。
自分は分かっているので相手も分かっていると思い込む。
その勘違いから、かなりのペースでペラペラと話を始める。
ユリアンは悪気なく、そうしているようだった。
アマーリエとサーラが話の半分以上を理解出来ていないとそもそも、考えていないのだ。
「わ、わかりました。分かりやすく、ですね」
アマーリエもユリアンのことを勘違いしていたことが分かり、心の中で謝った。
小説の中のユリアンは成長し、青年になった姿で描かれていた。
眼鏡をかけ、冷徹なやり手の政治家となった未来を見たものだから、目の前の彼もそういう性格なのだと思い込んでいたというのが真相である。
実際に接してみれば、ユリアンは分かりやすく、気遣いが出来る優しい性格の少年に思えた。
妹であるサーラへの態度も微笑ましいものがあり、本当に仲の良い兄妹に見える。
(ただ、彼は手加減という単語を辞書に登録すべきじゃないかしら?)
アマーリエは不満と愚痴を心の中で吐きながら、そう思った。
自分は確かに頭がよくないと言った。
だが、小さな子に読み聞かせるような言い方はさすがにきついと思わなかったのだろうか。
分かりやすくはあったものの、アマーリエもサーラも一応は十二歳である。
少しくらいは考慮に入れて欲しいと考えるアマーリエだったが、言葉にはしない。
グッと堪えるのだった。
「ポボルスキー伯爵令息の説明はとても、分かりやすかったです」
「そ、それは良かったです」
さりげなく嫌味を言ったつもりのアマーリエだが、ユリアンは普通に受け取った。
にへらと微笑むユリアンの様子を見るとそれほど警戒する必要もないし、悪い人ではなさそうだとアマーリエは改めて思う。
サーラは難しい話に余程、耐性がないのだろう。
器用に座ったまま、うつらうつらとしている。
そのまま、そっとしておくことにしたアマーリエは分かったことをまとめてみることに決めた。
描く絵を具現化させる特殊な魔法にはどうやら、制限があるということが分かった。
静物の具現化に関して、比較的自由なのも判明した。
魔法の一種だから、体内の魔力をある程度消費するのは同じだが、そこに一定のルールがあることも分かってきた。
静物は絵から具現化する際に魔力を消費し、それきりである。
いわゆる使い切り型だった。
消費するのはその時だけなのだ。
だから、エヴェリーナの身代わり人形も動かない物=静物として、認識された。
部屋で暇つぶしに描き、具現化された蝶々は静物ではない。
動く物なので具現化してから、動かしている間、ずっと魔力を消費するものだった。
蝶々は小さいので消費魔力が少なかったから、感じなかっただけに過ぎない。
あひるちゃん一号は人間が二人乗っても大丈夫な大きさだ。
おまけに空を飛ぶという動く物でもある。
常に具現化し続ける魔力を供給するのはアマーリエの魔力に依存している。
当然のように限界が来る。
それで急に消えてしまったのだ。
落下した二人は地面とキスをするしかない状況で救助の手を差し伸べたのが偶々、目撃したロベルト達だった。
慌てて、馬車を走らせたロベルトの発動した風の魔法がクッションのように展開し、落下の衝撃を和らげた。
二人にとって、ロベルトは命の恩人である。
だがそれよりも驚くべき事実があった。
癒しの魔法をかけたのがサーラだったということだ。
サーラは「あたちの魔法なんて、よわよわだから」と謙遜しているが、例え微弱な癒しであろうとも聖女認定される風潮があった。
「よし。待ってるよりも直接、言ってくるわ」
「ええ!? ち、ちょっとお待ちください」
思い立ったアマーリエは早速、動こうとするがユリアンは慌てて、それを止めようとする。
うつらうつらどころではなく、既に夢の中の住人と化したサーラが寄りかかってるので動けない。
これ幸いとばかりに口角を上げ、悪そうな顔をしたアマーリエは制止を振り切った。
ユリアンはかなり焦った様子を見せるが、アマーリエはそんな声が聞こえない振りをして、そのまま行こうとする。
アマーリエは部屋を出ようと扉に手をかけ、勢いよく開けるとそこには硬直しているロベルトの姿があった。
ネドヴェト姉妹の祖父はハヴェル・ネドヴェトという。
このハヴェルの妻であり、アマーリエの祖母にあたるカテジナ。
この女性がコンラートの妹である。
アマーリエがコンラートを大伯父と呼ぶのが正しいということになる。
だが、ここで一つ問題があった。
アマーリエの歯が乳歯から、永久歯へと生え変わる時期だった。
おおおじは歯抜けには言いにくいものがある。
舌を噛みそうになり、言いにくい様子に見えたアマーリエにコンラートは優しく、微笑みかけながら「おじい様でかまわんよ」と言った。
コンラートは白く長い髭を生やし、優しそうな見た目をしている。
それは間違いではない。
彼は見た目通り、とても優しい人柄の男だった。
だから、アマーリエは「ここに来なければ、いけなかった」と改めて、思った。
エヴェリーナを匿い、きっと守ってくれるに違いないと考えたからだ。
「セバスさん、エヴァは?」
「ああ。心配なさる必……」
「大丈夫よ、エミーちゃん」
「大丈夫です」
セバスチアーンはトレードマークの口髭をいじりながら答えようとするが、それにかぶせるように口を開いたのはポボルスキー兄妹だった。
サーラの声は少しばかり甲高い部類に入った。
眠気覚ましには丁度いいと感じるアマーリエだったが、なぜこの二人がコンラートの離宮にいるのか。
それが気になって、仕方が無かった。
ユリアン・ポボルスキーはロベルトの取り巻きの一人だった。
遊びに来ただけと考えられなくもない。
だが、気軽に遊びに来ていい場所ではなかった。
王位を退いたとはいえ、前国王の座す離宮である。
「……ということでございます」
さすがマスター・バトラーの称号は伊達ではないとアマーリエは思った。
セバスチアーンは世界で五指に入る腕利きの筋金入りの執事である。
その職分は多岐に渡り、単に家宰だけではない。
身辺の警護に留まらない荒くれ仕事まで楽にこなす男なのだ。
ユリアンとサーラは二人が同時に喋ろうとするものだから、変なハーモニーを奏でているような滑稽なことになっていた。
内容もまとまっておらず、分かりにくいものがあった。
その点、セバスチアーンは違った。
理路整然とした喋り方といい、落ち着き払ったしゃがれ声といい、まるで講義を行っている老教師のようであり、アマーリエは思わず舟をこぎかけてしまった。
「それで助けてくれたロベルト第二王子殿下にお礼を言いたいのですけど?」
しかし、アマーリエの言葉に三人とも複雑な顔になり、微妙な空気が場を支配する。
離宮はロベルトの家である。
家長であるコンラートが不在であれば、ロベルトが代わりを務めるのが通例だった。
ところが、彼はこれまで一度も顔を覗かせていない。
これまでのように血縁者のように近い幼馴染の距離感をやめようと提案したのはアマーリエである。
それでもさすがに顔も見せないのは何とも言葉に言い表せない複雑なものが彼女にあった。
「そうですな。セバスめにお任せあれ」
ニッと口角を僅かに上げるとこれから、悪戯でも始めようかという悪戯っ子の如き表情をしたセバスチアーンが部屋を出ていった。
さすがマスター・バトラーと言わざるを得ない。
その無駄の無い動きはエレガントでスマートなものだった。
アマーリエは幼い頃、マスター・バトラーが何なのかとセバスチアーンに尋ねたことがあった。
「ましゅたーばとりゃーって、にゃに?」
「東西南北全てにおいて、最高の執事ということですな」
顎髭を撫でながら、幼児には訳の分からない答えを返すセバスチアーン。
マスター・バトラーの称号を持つ者でも幼子の相手は得意では無かった。
「つまり、さいつよですな」
言い直したセバスチアーンだったが、それでもアマーリエには理解が出来ない。
さいつよ! な執事とは、一体何を意味するのか。
それはアマーリエの中で現在でも大きな疑問として残っていた……。
「もう少し、詳しく説明してもらえるかしら? あまり頭がよくないので、分かんないの」
アマーリエがそう言うと何を意味しているのか、サーラが察した。
サーラも隣にいる自分の兄を横目で窺っていた。
兄妹であれば、ずっと被害を受けてきたに違いないのだとアマーリエは推理した。
頭の回転が速い人間によくあることだった。
自分は分かっているので相手も分かっていると思い込む。
その勘違いから、かなりのペースでペラペラと話を始める。
ユリアンは悪気なく、そうしているようだった。
アマーリエとサーラが話の半分以上を理解出来ていないとそもそも、考えていないのだ。
「わ、わかりました。分かりやすく、ですね」
アマーリエもユリアンのことを勘違いしていたことが分かり、心の中で謝った。
小説の中のユリアンは成長し、青年になった姿で描かれていた。
眼鏡をかけ、冷徹なやり手の政治家となった未来を見たものだから、目の前の彼もそういう性格なのだと思い込んでいたというのが真相である。
実際に接してみれば、ユリアンは分かりやすく、気遣いが出来る優しい性格の少年に思えた。
妹であるサーラへの態度も微笑ましいものがあり、本当に仲の良い兄妹に見える。
(ただ、彼は手加減という単語を辞書に登録すべきじゃないかしら?)
アマーリエは不満と愚痴を心の中で吐きながら、そう思った。
自分は確かに頭がよくないと言った。
だが、小さな子に読み聞かせるような言い方はさすがにきついと思わなかったのだろうか。
分かりやすくはあったものの、アマーリエもサーラも一応は十二歳である。
少しくらいは考慮に入れて欲しいと考えるアマーリエだったが、言葉にはしない。
グッと堪えるのだった。
「ポボルスキー伯爵令息の説明はとても、分かりやすかったです」
「そ、それは良かったです」
さりげなく嫌味を言ったつもりのアマーリエだが、ユリアンは普通に受け取った。
にへらと微笑むユリアンの様子を見るとそれほど警戒する必要もないし、悪い人ではなさそうだとアマーリエは改めて思う。
サーラは難しい話に余程、耐性がないのだろう。
器用に座ったまま、うつらうつらとしている。
そのまま、そっとしておくことにしたアマーリエは分かったことをまとめてみることに決めた。
描く絵を具現化させる特殊な魔法にはどうやら、制限があるということが分かった。
静物の具現化に関して、比較的自由なのも判明した。
魔法の一種だから、体内の魔力をある程度消費するのは同じだが、そこに一定のルールがあることも分かってきた。
静物は絵から具現化する際に魔力を消費し、それきりである。
いわゆる使い切り型だった。
消費するのはその時だけなのだ。
だから、エヴェリーナの身代わり人形も動かない物=静物として、認識された。
部屋で暇つぶしに描き、具現化された蝶々は静物ではない。
動く物なので具現化してから、動かしている間、ずっと魔力を消費するものだった。
蝶々は小さいので消費魔力が少なかったから、感じなかっただけに過ぎない。
あひるちゃん一号は人間が二人乗っても大丈夫な大きさだ。
おまけに空を飛ぶという動く物でもある。
常に具現化し続ける魔力を供給するのはアマーリエの魔力に依存している。
当然のように限界が来る。
それで急に消えてしまったのだ。
落下した二人は地面とキスをするしかない状況で救助の手を差し伸べたのが偶々、目撃したロベルト達だった。
慌てて、馬車を走らせたロベルトの発動した風の魔法がクッションのように展開し、落下の衝撃を和らげた。
二人にとって、ロベルトは命の恩人である。
だがそれよりも驚くべき事実があった。
癒しの魔法をかけたのがサーラだったということだ。
サーラは「あたちの魔法なんて、よわよわだから」と謙遜しているが、例え微弱な癒しであろうとも聖女認定される風潮があった。
「よし。待ってるよりも直接、言ってくるわ」
「ええ!? ち、ちょっとお待ちください」
思い立ったアマーリエは早速、動こうとするがユリアンは慌てて、それを止めようとする。
うつらうつらどころではなく、既に夢の中の住人と化したサーラが寄りかかってるので動けない。
これ幸いとばかりに口角を上げ、悪そうな顔をしたアマーリエは制止を振り切った。
ユリアンはかなり焦った様子を見せるが、アマーリエはそんな声が聞こえない振りをして、そのまま行こうとする。
アマーリエは部屋を出ようと扉に手をかけ、勢いよく開けるとそこには硬直しているロベルトの姿があった。
6
お気に入りに追加
1,913
あなたにおすすめの小説
婚約者に好きな人がいると言われました
みみぢあん
恋愛
子爵家令嬢のアンリエッタは、婚約者のエミールに『好きな人がいる』と告白された。 アンリエッタが婚約者エミールに抗議すると… アンリエッタの幼馴染みバラスター公爵家のイザークとの関係を疑われ、逆に責められる。 疑いをはらそうと説明しても、信じようとしない婚約者に怒りを感じ、『幼馴染みのイザークが婚約者なら良かったのに』と、口をすべらせてしまう。 そこからさらにこじれ… アンリエッタと婚約者の問題は、幼馴染みのイザークまで巻き込むさわぎとなり――――――
🌸お話につごうの良い、ゆるゆる設定です。どうかご容赦を(・´з`・)
【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
前世の旦那様、貴方とだけは結婚しません。
真咲
恋愛
全21話。他サイトでも掲載しています。
一度目の人生、愛した夫には他に想い人がいた。
侯爵令嬢リリア・エンダロインは幼い頃両親同士の取り決めで、幼馴染の公爵家の嫡男であるエスター・カンザスと婚約した。彼は学園時代のクラスメイトに恋をしていたけれど、リリアを優先し、リリアだけを大切にしてくれた。
二度目の人生。
リリアは、再びリリア・エンダロインとして生まれ変わっていた。
「次は、私がエスターを幸せにする」
自分が彼に幸せにしてもらったように。そのために、何がなんでも、エスターとだけは結婚しないと決めた。
価値がないと言われた私を必要としてくれたのは、隣国の王太子殿下でした
風見ゆうみ
恋愛
「俺とルピノは愛し合ってるんだ。君にわかる様に何度も見せつけていただろう? そろそろ、婚約破棄してくれないか? そして、ルピノの代わりに隣国の王太子の元に嫁いでくれ」
トニア公爵家の長女である私、ルリの婚約者であるセイン王太子殿下は私の妹のルピノを抱き寄せて言った。
セイン殿下はデートしようといって私を城に呼びつけては、昔から自分の仕事を私に押し付けてきていたけれど、そんな事を仰るなら、もう手伝ったりしない。
仕事を手伝う事をやめた私に、セイン殿下は私の事を生きている価値はないと罵り、婚約破棄を言い渡してきた。
唯一の味方である父が領地巡回中で不在の為、婚約破棄された事をきっかけに、私の兄や継母、継母の子供である妹のルピノからいじめを受けるようになる。
生きている価値のない人間の居場所はここだと、屋敷内にある独房にいれられた私の前に現れたのは、私の幼馴染みであり、妹の初恋の人だった…。
※8/15日に完結予定です。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観ですのでご了承くださいませ。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる