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第二部 名も無き島の大迷宮
第73話 隠し子の名はニール
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「ニルくた《きた》」
大きな背負いカバンを背負った小さな女の子は、どこかで見覚えがあるような……。
きれいに切り揃えられた濡れ羽色の髪。
猫の目を思わせる大きな目と輝く金色の瞳。
色こそ、違うもののわたしの幼い頃の姿にそっくりではなくって!?
でも、この色合いって……。
漆黒の鱗。
黄金の色をした瞳。
間違いないわ。
ニルと名乗ったのだし、あの子よね?
「ニーズヘッグなの?」
「そでし、マーマ」
ニールは言えないのにマーマは言えるのね。
どうなっているのよ、この子の言語能力!
「リーナ。その子は一体、誰なんだい?」
「ニル。マーマのこだお。パーパもよろちく☆」
「う~ん。レオ君。話がややこしくなりそうだから、一度、お家に戻りましょ」
「わ、分かったよ」
「わーい。パーパ、おんぶー」
「よーし! おいで」
「うん」
よく分からない状況でいきなりパパと呼ばれて、おんぶをせがまれたら、普通は嫌がると思うわ。
君がそういう子でないって、わたしはよく知っているけど……。
いくらなんでも打ち解けすぎではないかしら?
ちびトカゲの姿のニールをレオも知っているから、意気投合するのは分かるわ。
分かるけど!
あまりにも仲が良すぎるでしょ。
ニールをおんぶしているレオ。
ぴったりとくっついて、歩くわたし。
親子にしか、見えないわよ?
どこか楽しそうで周りを見ていないレオとニールは気が付かなかったのかしら?
好奇の視線が刺さってくるのですけど!
目が「その子は何?」と訴えているのよ。
違うんだから。
わたしとレオは愛し合っているけど、まだ赤ちゃんは来ないし、そもそもニールは赤ちゃんじゃないでしょ!
どうにか寝室に辿り着けたのでよかったわ。
逃げたんじゃないんだからね?
これは戦術的撤退なの。
「リーナ。また、難しい顔になってるよ」
「うん? ごめん、レオ君。ちょっと考え事をしてたから」
わたし似の容姿で髪の色はレオ。
勘違いされてもおかしくないわね。
わたしとレオの子供と言っても納得されるかもしれないわ。
これはまずいわよ。
まだ、結婚式も挙げていないのに!
お祖父様はいいとして、お祖母様とお母様にどうやって、言い訳すれば……。
「じゃあ、この子が服を持ってきてくれたんだね?」
「しょだよ。ニルもてきた」
「ん? そ、そうよね。やだぁ。わたしったら!」
こういう時こそ、冷静になるべきよね。
ニールに人化の魔法を教えたのはバステトだわ。
全く、余計なことをしてくれるんだから!
彼女としては「また、いいことしてしまったのだわ」とでも思っているのでしょうけど。
でも、物は考えようかしら?
「まずは着替えましょうか?」
「うん。分かった」
「ニールも着替えましょうね。あのレオ君……」
「あーい」
「何かな?」
レオは既に上着を脱ぎ捨てて、トラウザーまで脱ごうとしていた。
叔父様の修行で鍛えられたからか、上半身にさらに筋肉がついてたくましく見える。
どんどん男らしくなっていくのね、君。
違った!
見惚れている場合ではないわ。
どうして、君はここで着替えようとしているのよ?
「レオ君はあっちで着替えて」
「分かったよ」
レオの返事がちょっと残念そうに聞こえたのですけど。
もしかして、わたしの着替えを見たかったのかしら?
大きな背負いカバンを背負った小さな女の子は、どこかで見覚えがあるような……。
きれいに切り揃えられた濡れ羽色の髪。
猫の目を思わせる大きな目と輝く金色の瞳。
色こそ、違うもののわたしの幼い頃の姿にそっくりではなくって!?
でも、この色合いって……。
漆黒の鱗。
黄金の色をした瞳。
間違いないわ。
ニルと名乗ったのだし、あの子よね?
「ニーズヘッグなの?」
「そでし、マーマ」
ニールは言えないのにマーマは言えるのね。
どうなっているのよ、この子の言語能力!
「リーナ。その子は一体、誰なんだい?」
「ニル。マーマのこだお。パーパもよろちく☆」
「う~ん。レオ君。話がややこしくなりそうだから、一度、お家に戻りましょ」
「わ、分かったよ」
「わーい。パーパ、おんぶー」
「よーし! おいで」
「うん」
よく分からない状況でいきなりパパと呼ばれて、おんぶをせがまれたら、普通は嫌がると思うわ。
君がそういう子でないって、わたしはよく知っているけど……。
いくらなんでも打ち解けすぎではないかしら?
ちびトカゲの姿のニールをレオも知っているから、意気投合するのは分かるわ。
分かるけど!
あまりにも仲が良すぎるでしょ。
ニールをおんぶしているレオ。
ぴったりとくっついて、歩くわたし。
親子にしか、見えないわよ?
どこか楽しそうで周りを見ていないレオとニールは気が付かなかったのかしら?
好奇の視線が刺さってくるのですけど!
目が「その子は何?」と訴えているのよ。
違うんだから。
わたしとレオは愛し合っているけど、まだ赤ちゃんは来ないし、そもそもニールは赤ちゃんじゃないでしょ!
どうにか寝室に辿り着けたのでよかったわ。
逃げたんじゃないんだからね?
これは戦術的撤退なの。
「リーナ。また、難しい顔になってるよ」
「うん? ごめん、レオ君。ちょっと考え事をしてたから」
わたし似の容姿で髪の色はレオ。
勘違いされてもおかしくないわね。
わたしとレオの子供と言っても納得されるかもしれないわ。
これはまずいわよ。
まだ、結婚式も挙げていないのに!
お祖父様はいいとして、お祖母様とお母様にどうやって、言い訳すれば……。
「じゃあ、この子が服を持ってきてくれたんだね?」
「しょだよ。ニルもてきた」
「ん? そ、そうよね。やだぁ。わたしったら!」
こういう時こそ、冷静になるべきよね。
ニールに人化の魔法を教えたのはバステトだわ。
全く、余計なことをしてくれるんだから!
彼女としては「また、いいことしてしまったのだわ」とでも思っているのでしょうけど。
でも、物は考えようかしら?
「まずは着替えましょうか?」
「うん。分かった」
「ニールも着替えましょうね。あのレオ君……」
「あーい」
「何かな?」
レオは既に上着を脱ぎ捨てて、トラウザーまで脱ごうとしていた。
叔父様の修行で鍛えられたからか、上半身にさらに筋肉がついてたくましく見える。
どんどん男らしくなっていくのね、君。
違った!
見惚れている場合ではないわ。
どうして、君はここで着替えようとしているのよ?
「レオ君はあっちで着替えて」
「分かったよ」
レオの返事がちょっと残念そうに聞こえたのですけど。
もしかして、わたしの着替えを見たかったのかしら?
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