78 / 85
第一部 名も無き島の小さな勇者とお姫様
第69話 ピーちゃんの正体
しおりを挟む
真っ白な卵のような体に黄金に輝く、頭の上の鶏冠。
不釣り合いな円らな瞳は意外にもかわいいかも……。
「ピーちゃん、なんだよね?」
「そうだっピ。二人のお陰でぼっくんは元の姿に戻れたっピ」
「リーナ! スゴイよ。ピーちゃんが大人になったんだ」
「ソ、ソウネ」
えぇ!? 嘘でしょ?
レオったら、どれだけ純粋なの?
わたしは吹き出しそうになるのを必死に堪えているのよ……。
だって、あんな姿になっても声はピーちゃんの愛らしい時のままなんですもの。
落差が激しくて、いけないわ!
「ぼっくんはグリンカムビだっピ」
「グリーンのカルビ?」
「違うっピ! グリンカムビだっピ!」
えっと……それよりもわたし、恐ろしい事実に気が付いてしまったのですけど。
あら? ピーちゃんは女の子ではなく、男の子なの?
わたしは女の子だと思っていたから、胸元に入れたり頬ずりしていたけど、ものすご~くまずいのではなくって。
レオと親しすぎるのが羨ましくて、嫉妬していたのが大きな間違いだったのに加えて、わたしの方が誤解される行動取っていたなんて、ショックだわ。
「だから、ぼっくんは鳴くっピ」
鳴く……? グリンカムビが鳴く?
どこかで聞いたような気がするのよね。
お祖父様から、ユグドラシルがどうのこうのでグリーンがカルビなんだったかしら?
違う気がするわ。
「キッキレキーキレキーレキーキー」
思い出したわ!
常世の長鳴鳥……。
神々の運命が訪れないようにと時を知らせる運命の鶏。
それがピーちゃんだったということなの?
島の聖なる木はやはり、ユグドラシルの……。
「地面が揺れてる!?」
結構、揺れているので震源地が近いどころか、わたし達の真下みたい。
何か、巨大な物体がのたうっているような感覚にも近いわね。
それよりも足元がふらついたわたしをレオがすぐに優しく、抱きとめてくれたことで胸がいっぱいになっている。
彼の優しさと気遣いが体温と胸の鼓動で伝わってきて、ずっとこのままでいたいくらい。
「ピィィィィ」
島どころか、世界に響き渡りそうな長鳴きを終えたピーちゃんの身体がみるみる縮んでいって、元の丸々と太った小鳥のサイズにまで戻ると落ちてくる!?
「ピーちゃん!」
このままだとピーちゃんが怪我すると目を瞑ったのとレオの声が同時だったと思う。
気が付いた時にはレオに横抱きに抱えられていて、目を回したピーちゃんがわたしの胸の上にいた。
わたしの胸が衝撃を吸収するクッションの代わりにでもなったのかしら?
目を回してはいるけど、特に怪我をしているようには見えない。
「大丈夫みたい」
「ごめん。つい、リーナを抱きかかえちゃった」
レオはなぜか、しゅんとしちゃって、叱られた仔犬のようにしょぼくれている。
ピーちゃんが心配だったから、咄嗟に体が動いただけ。
仕方がない行動だったと思う。
わたしを巻き込むように抱きかかえたことを申し訳なく思っているみたい……。
別にかまわないのに。
ずっとこうしてくれていてもいいと思っているのよ?
でも、その時のわたし達は知らなかったの。
このピーちゃんの鳴き声でまさか、あんなことが起こっていたなんて……。
不釣り合いな円らな瞳は意外にもかわいいかも……。
「ピーちゃん、なんだよね?」
「そうだっピ。二人のお陰でぼっくんは元の姿に戻れたっピ」
「リーナ! スゴイよ。ピーちゃんが大人になったんだ」
「ソ、ソウネ」
えぇ!? 嘘でしょ?
レオったら、どれだけ純粋なの?
わたしは吹き出しそうになるのを必死に堪えているのよ……。
だって、あんな姿になっても声はピーちゃんの愛らしい時のままなんですもの。
落差が激しくて、いけないわ!
「ぼっくんはグリンカムビだっピ」
「グリーンのカルビ?」
「違うっピ! グリンカムビだっピ!」
えっと……それよりもわたし、恐ろしい事実に気が付いてしまったのですけど。
あら? ピーちゃんは女の子ではなく、男の子なの?
わたしは女の子だと思っていたから、胸元に入れたり頬ずりしていたけど、ものすご~くまずいのではなくって。
レオと親しすぎるのが羨ましくて、嫉妬していたのが大きな間違いだったのに加えて、わたしの方が誤解される行動取っていたなんて、ショックだわ。
「だから、ぼっくんは鳴くっピ」
鳴く……? グリンカムビが鳴く?
どこかで聞いたような気がするのよね。
お祖父様から、ユグドラシルがどうのこうのでグリーンがカルビなんだったかしら?
違う気がするわ。
「キッキレキーキレキーレキーキー」
思い出したわ!
常世の長鳴鳥……。
神々の運命が訪れないようにと時を知らせる運命の鶏。
それがピーちゃんだったということなの?
島の聖なる木はやはり、ユグドラシルの……。
「地面が揺れてる!?」
結構、揺れているので震源地が近いどころか、わたし達の真下みたい。
何か、巨大な物体がのたうっているような感覚にも近いわね。
それよりも足元がふらついたわたしをレオがすぐに優しく、抱きとめてくれたことで胸がいっぱいになっている。
彼の優しさと気遣いが体温と胸の鼓動で伝わってきて、ずっとこのままでいたいくらい。
「ピィィィィ」
島どころか、世界に響き渡りそうな長鳴きを終えたピーちゃんの身体がみるみる縮んでいって、元の丸々と太った小鳥のサイズにまで戻ると落ちてくる!?
「ピーちゃん!」
このままだとピーちゃんが怪我すると目を瞑ったのとレオの声が同時だったと思う。
気が付いた時にはレオに横抱きに抱えられていて、目を回したピーちゃんがわたしの胸の上にいた。
わたしの胸が衝撃を吸収するクッションの代わりにでもなったのかしら?
目を回してはいるけど、特に怪我をしているようには見えない。
「大丈夫みたい」
「ごめん。つい、リーナを抱きかかえちゃった」
レオはなぜか、しゅんとしちゃって、叱られた仔犬のようにしょぼくれている。
ピーちゃんが心配だったから、咄嗟に体が動いただけ。
仕方がない行動だったと思う。
わたしを巻き込むように抱きかかえたことを申し訳なく思っているみたい……。
別にかまわないのに。
ずっとこうしてくれていてもいいと思っているのよ?
でも、その時のわたし達は知らなかったの。
このピーちゃんの鳴き声でまさか、あんなことが起こっていたなんて……。
0
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました
黒木 楓
恋愛
旧題:悪役令嬢に転生するも魔法を使えることの方が嬉しかったから自由に楽しんでいると、王子に溺愛されました
乙女ゲームの悪役令嬢リリアンに転生していた私は、転生もそうだけどゲームが始まる数年前で子供の姿となっていることに驚いていた。
これから頑張れば悪役令嬢と呼ばれなくなるのかもしれないけど、それよりもイメージすることで体内に宿る魔力を消費して様々なことができる魔法が使えることの方が嬉しい。
もうゲーム通りになるのなら仕方がないと考えた私は、レックス王子から婚約破棄を受けて没落するまで自由に楽しく生きようとしていた。
魔法ばかり使っていると魔力を使い過ぎて何度か倒れてしまい、そのたびにレックス王子が心配して数年後、ようやくヒロインのカレンが登場する。
私は公爵令嬢も今年までかと考えていたのに、レックス殿下はカレンに興味がなさそうで、常に私に構う日々が続いていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる