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第一部 名も無き島の小さな勇者とお姫様

第56話 姫と勇者の朝はいつも通り!?

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「うぅ~ん」

 温もりを感じる大きなものに包まれて、いつになく安心して寝られた気がするわ。
 それにこの匂いは……レオでしょ?
 君の匂いがわたしを落ち着かせてくれるし、何よりも好きなのだ。

「ん?」

 レオの匂いを感じる訳だわ。
 彼の首筋に顔を埋めるようにしていたら、嫌でも感じるわね。
 嫌ではなくて、むしろ好きですけど。

 なぜか、鼻は痛いし、体がスースーするのよね?
 スースーするのにレオと接している部分だけ、妙に熱を感じる。
 彼が寝る時、下着を穿くだけで直に接しているからだと思うのですけど……。

「え……」

 チラリと確認して、見るのではなかったと後悔したわ。

 わたし、何も着てない!
 それなのになぜか、サイハイソックスだけは脱いでいない……。
 しかも普段は魔力で抑えていた世界蛇ヨルムンガンドの尻尾まで出ているなんて!

 さらにわたしはレオの上に馬乗りになっているのですけど!?
 自分の体をピッタリと彼にくっつけていて、一体、何がどうなったら、こうなるのかしら?
 おまけにレオにしっかりと抱き締められていて、身動きすら取れないわ。

 動けない以上、ここは考えるくらいしか出来ないわね。
 まずは魔力を制御して、尻尾と爪を隠さないといけないわ。

 レオに見られちゃったのかしら?
 でも、気味が悪いと思われたのなら、こんなに優しく抱き締めてくれないわ。
 一体、どうなっているの?

 脱いだ時に魔石まで外したから、制御しきれなくて、出てしまったのは間違いないわね。
 まずは何があったのか、思い出さないと……。

 そうだわ。
 食事の時に飲んだあの飲み物よ!
 甘くて、不思議な飲み心地のあれのせいなんだわ。
 それで意識がなくなったのね。

 もしかしたら、急に意識がなくなって、鼻を打ったのかもしれないわね。
 きっと、そうだわ。
 それで何で服を全部、脱いでいるのよ……。

「あっ。リーナ、起きたんだ」
「え、えぇ」

 お互いに裸で抱き合っていて、わたしが馬乗りになっているこの状況は危ないのよ?
 それなのに、いつもの調子の君の声が聞こえてくると自然と気にならなくなってしまうのよね。
 不思議だわ。
 不思議ですけどさっきから、がお尻に当たっていて気になるのよね。
 妙に熱を持っていて、硬いみたい。

「ねぇ、レオ」
「どうしたの? 不思議そうな顔して」
「これ、何かしら?」

 どうにか動く、左手を伸ばして、お尻に当たっているを思い切り、掴んでみた。

「痛いよ、リーナ」
「んんん?」

 硬いけど妙にグニュとしていて、生々しい手触り。
 しかも熱を持っているみたいに熱い。

「レ、レオ君。これ、もしかして……」
「そろそろ、離してくれないと痛いって」
「あqwせdrftgyふじこ」
「リーナ!?」

 を握っているのか、気が付いてしまったわたしがもう一度、意識を手放したのは言うまでもないわ。
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