わたしの旦那様は小さな勇者~お姫様と勇者のスローライフ~

黒幸

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第一部 名も無き島の小さな勇者とお姫様

第26話 姫の踊り子大作戦

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 黒いレースの下着で攻める作戦は悪くなかったと思いますの。
 結構、いいところまではいったと思うのですけど。
 あと一歩、何かが足りなかったのかしら?

 次の作戦ですわ!

「レ~オ~」
「ここにいるよ」
「早くぅ」
「本当にいいのかな……」

 レオは微妙に周囲を気にしているみたい。
 そうよね。
 忘れてましたわ。
 ここは女性用の服が多いので周りは女性ばかりですもの。

 悪目立ちしちゃっていたのね。
 これは次の作戦の軌道修正が必要かしら?
 さすがに今度は引きずり込まないわ。

 押してダメなら、引いてみるべきでしょう?

「これはどうかしら?」
「リ、リーナ! それって」
「しっ。ダメよ、レオ。あまり、声を出すとバレちゃうでしょ」
「ごめん」

 効果は絶大に効いてますわ♪
 肌を露わにしている面積として考えたら、さっきの黒レースの下着とそんなに変わらないのですけど、こちらの方がレオは好みということかしら?
 大浴場でも水着には興味があったように見えましたもの。

 濃紺のビキニの水着と白い薄絹の腰布が組み合わさった『踊り子の服』と呼ばれる防具の一種……ええ?
 こんな薄着で冒険の旅に出る人はいない?
 冒険は冒険でもきっと愛の冒険のことですわ。

「これ、どうなってるの?」
「ち、ちょっとレオ!?」

 どうやら、違ったみたいですわ~。
 わたしの勘違いだったみたい。
 レオはビキニの下と腰布がどういう構造か気になっただけなのよ。

 だからといって、腰布をめくって、マジマジと見られるのは恥ずかしいのですけど!
 もしかして、これも新しいレオなりの好意なの?
 違う気がするわ……。

「ダメだよ。こんなに薄着だと危ないし、それに……」

 そこで言葉を切って、レオは思いつめたような表情を見せてくれました。
 こんな顔も出来るのね。
 ずるいですわ。

「リーナが見られると何か、イヤなんだ」
「うん。着ないわ……でも、レオの前でだけなら、いいでしょ?」
「え? う、うん」

 わたしも大概に甘いかしら?
 でも、君にだけ、特別なんだから。

 結局、レオが中々、首を縦に振ってくれないので作戦が台無しだわ。
 認めてくれたのは葡萄酒色の無難なコート・ドレス。
 袖丈は長く、レースとフリルがふんだんに使われたクラシックなデザインのものですわ。
 レオには内緒で裾丈を短く、胸元をもう少し開けるようにとオーダーしておきましたの。

 何といっても動きやすいですし、レオも嬉しいはずだわ♪
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