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191 正解
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突然現れた不審者さんの話はポタラさんが聞いて、その護衛はアリュウさんのクランがしてくれてるので、私たちは周辺の警戒。不測の事態で馬車を止めると、いつもなんともいえない緊張感に襲われるけど、今は魔法隊の人達が周りを固めてくれてる上に、グラースさんのクランもいるので安心感がある。
「食料問題ではなさそうな感じ?」
「うん。多分、魔物関連だと思う」
子供を連れた母親と思わしき人は、疲労はしてるみたいだけど、ものすごく痩せてるっていうわけではなくて、少なくとも生きるのに必要は栄養は常日頃から摂取してる様に見える。子供も同じで、不安そうにしていることを除けば健康そうだ。
「魔物関連だと討伐後の調査を入れると最短でも三日……以上は掛かるかなぁ~」
「移動時間を含めるともっとかも。今回決まった納期はないけど、ポタラさん、どうするのかな?」
討伐関係は指定された魔物を倒せば一応は仕事として終わりなんだけど、そもそも依頼者が魔物の数を正確に把握していないことも少なくない。その場合倒したと思ったらまだ他に魔物がいて、後日依頼者が被害を受けるケースもあったりする。だから討伐後の確認作業を依頼に含める人もいるけれど、その分費用が掛かるので、お金ではなくて冒険者の良心に訴える依頼者もいたりする。
「普段だったら寄り道コースな感じだけど、今回は荷が多いからね。寄り道して何かあったら、商人としてかなりまずい感じ?」
「うん。魔法隊の支援物資も含めると相当な量だからね。万が一があった場合はかなり困ったことになりそう」
「ポタラさんの馬車の空間拡大率、ほんと凄い感じだしね。あんなのドロテア家だって所有してないんじゃない?」
私達の魔法車もかなり高度な空間魔法がかかっているけど、それでもポタラさんの馬車ほどではない。今回の仕事ではその広い馬車の中にギッシリと荷が積まれている。
「多分ない……かな? 私が知らないだけかもしれないけど、少なくとも貴族でも簡単に購入できない馬車であることは間違いないよ」
当然、それほどの馬車には相応の金額がかかるんだけど、ポタラさんは近年の状況を鑑みて、困っている人をできるだけ多く助けたいと、空間拡大率が最高レベルの馬車を購入した。そのために結構な額をいろんな人に借りたけど、それらの返済が終わるまで何年掛かるか分からないって言ってた。
「まっ、私らは雇われの身だしね。ポタラさんがどんな決断をしようが、それを支持する感じで」
「うん。そう……だね」
親子を見ていると、できれば力になってあげたいって気持ちが先に出てくるけど、仕事中だもんね。……できればあの二人を助ける判断をしてほしいなぁ……でもそれって商人や冒険者としては正解ではないんだよね。でもなぁ……。はぁ。自分が危険に飛び込んでいくのは怖いけど楽な一面もある。でもこういう選択って気が滅入っちゃう。
「あっ、話終わったみたいじゃん。アハハ。見て見て。アリュウさんとポタラさんがやり合ってる感じ」
「もう、笑っちゃ駄目でしょ」
「何言ってんのよ。ドロシーだって、嬉しいくせに」
「それは……まぁ、そうかも?」
魔法を使っていないから、ここからだと二人の会話は聞こえない。でも何かを訴えるアリュウさんと、それを頑なに拒んでいるポタラさん。あのやり取りを見れば、ポタラさんが何を主張しているのかは容易に想像がついちゃう。髪をかきむしったアリュウさんが諦めた様にため息をつく。そして合図を出した。
「あっ、呼ばれた。それじゃあちょっと言ってくるから」
「うん」
各クランのリーダーがポタラさんのもとに集まっていく。アリリアナと入れ替わるようにセンカさんがやって来た。
「どうなりそうだ?」
「多分だけど、寄り道することになりそう」
「そうなのか? 意外だな。ドロシー達はそれでいいのか?」
「うん。冒険者とはしては正解じゃないのかもしれないけど……」
そこで私は彼を見る。お父様と戦った時の強くて優しい彼のことを。
「人助け……できるならしたいから」
「食料問題ではなさそうな感じ?」
「うん。多分、魔物関連だと思う」
子供を連れた母親と思わしき人は、疲労はしてるみたいだけど、ものすごく痩せてるっていうわけではなくて、少なくとも生きるのに必要は栄養は常日頃から摂取してる様に見える。子供も同じで、不安そうにしていることを除けば健康そうだ。
「魔物関連だと討伐後の調査を入れると最短でも三日……以上は掛かるかなぁ~」
「移動時間を含めるともっとかも。今回決まった納期はないけど、ポタラさん、どうするのかな?」
討伐関係は指定された魔物を倒せば一応は仕事として終わりなんだけど、そもそも依頼者が魔物の数を正確に把握していないことも少なくない。その場合倒したと思ったらまだ他に魔物がいて、後日依頼者が被害を受けるケースもあったりする。だから討伐後の確認作業を依頼に含める人もいるけれど、その分費用が掛かるので、お金ではなくて冒険者の良心に訴える依頼者もいたりする。
「普段だったら寄り道コースな感じだけど、今回は荷が多いからね。寄り道して何かあったら、商人としてかなりまずい感じ?」
「うん。魔法隊の支援物資も含めると相当な量だからね。万が一があった場合はかなり困ったことになりそう」
「ポタラさんの馬車の空間拡大率、ほんと凄い感じだしね。あんなのドロテア家だって所有してないんじゃない?」
私達の魔法車もかなり高度な空間魔法がかかっているけど、それでもポタラさんの馬車ほどではない。今回の仕事ではその広い馬車の中にギッシリと荷が積まれている。
「多分ない……かな? 私が知らないだけかもしれないけど、少なくとも貴族でも簡単に購入できない馬車であることは間違いないよ」
当然、それほどの馬車には相応の金額がかかるんだけど、ポタラさんは近年の状況を鑑みて、困っている人をできるだけ多く助けたいと、空間拡大率が最高レベルの馬車を購入した。そのために結構な額をいろんな人に借りたけど、それらの返済が終わるまで何年掛かるか分からないって言ってた。
「まっ、私らは雇われの身だしね。ポタラさんがどんな決断をしようが、それを支持する感じで」
「うん。そう……だね」
親子を見ていると、できれば力になってあげたいって気持ちが先に出てくるけど、仕事中だもんね。……できればあの二人を助ける判断をしてほしいなぁ……でもそれって商人や冒険者としては正解ではないんだよね。でもなぁ……。はぁ。自分が危険に飛び込んでいくのは怖いけど楽な一面もある。でもこういう選択って気が滅入っちゃう。
「あっ、話終わったみたいじゃん。アハハ。見て見て。アリュウさんとポタラさんがやり合ってる感じ」
「もう、笑っちゃ駄目でしょ」
「何言ってんのよ。ドロシーだって、嬉しいくせに」
「それは……まぁ、そうかも?」
魔法を使っていないから、ここからだと二人の会話は聞こえない。でも何かを訴えるアリュウさんと、それを頑なに拒んでいるポタラさん。あのやり取りを見れば、ポタラさんが何を主張しているのかは容易に想像がついちゃう。髪をかきむしったアリュウさんが諦めた様にため息をつく。そして合図を出した。
「あっ、呼ばれた。それじゃあちょっと言ってくるから」
「うん」
各クランのリーダーがポタラさんのもとに集まっていく。アリリアナと入れ替わるようにセンカさんがやって来た。
「どうなりそうだ?」
「多分だけど、寄り道することになりそう」
「そうなのか? 意外だな。ドロシー達はそれでいいのか?」
「うん。冒険者とはしては正解じゃないのかもしれないけど……」
そこで私は彼を見る。お父様と戦った時の強くて優しい彼のことを。
「人助け……できるならしたいから」
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