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185 四人の会話2
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「それじゃあ次の仕事はトウカちゃんとアリリアナちゃん達、一緒なんだ」
賑やかな食事後。イリーナは時間が出来たので実家に顔を出してくると言って、ロドルドさんとドルドさんを連れて帰宅。私とアリリアナもお暇しようかと思ったんだけど、メルルさんから少し時間があるからお喋りをしないかと提案されたので、医学書に囲まれた彼女の部屋でお茶を片手に、私達四人は久しぶりに輪を作っていた。
「そうなるな。もっとも魔法部隊の第一目的はあくまでも討伐なのでポポルシェ王国で支援物資を渡したら二人とは別行動になるだろうがな」
「討伐する魔物ってそんなにヤバい感じなの? 教会が周辺各国に助力求めるなんて、よっぽどだと思うんだけど」
「詳しい詳細は今隊長が確認中だが、恐らくは最近増えている強化種だろうな」
数年前から続いている魔物の増加現象。状況は良くなるどころか、悪化の一途を辿っており、増える魔物の中に新種や強化種と言われる普通よりも強い個体まで現れ始めている。
「トウカさん、気をつけてね。油断しちゃダメだよ」
「分かってる。とは言っても教会からガルド殿も派遣されるようだし、そう難しい任務にはならないだろう」
「ちょっと。それが油断な感じだからね」
アリリアナの言葉に賛同しつつも、トウカさんの言うことにも内心頷いてしまう。ガルドさんがいるならどんな強化種が相手でも大丈夫だろう。
メルルさんがほうっと吐息を漏らした。
「皆、もうすっかり一人前の冒険者よね」
「ふふん。でしょう」
「そ、そうかな?」
あまり自覚はないけれどそう言ってもらえるのは悪い気がしない。ただ私達二人とは違って、皿の上の饅頭に手を伸ばすセンカさんは心外そうな目をメルルさんに向けた。
「冒険者の仕事をするのはあくまでもギルドの外注を軍が受けるからであって、私は王国兵士なんだが」
「勿論分かってるわよ。ただ皆どんどん逞しく変わっていくんだなって言いたかったの。なんだか置いてけぼりの気分だわ」
「何言ってんのよ。メルルだって成長してるじゃん。最近、補助士じゃなくて治癒使いとしてシフトに入ることもあるんでしょ?」
「緊急の時だけね。まだまだ勉強することがいっぱいあるし、治癒使いとしての腕なら私よりもドロシーさんの方が全然すごいわ」
「えっ!? ううん。そんなことないからね」
確かに治癒魔法は得意ではあるけれど、本職の人と比べようとは思わない。
「まっ、隣の魔法草はよく育って見えると言うやつだな。私から見たらメルルも以前よりずっと頼もしく見える」
「同感」
「うん。私も」
「そ、そうかしら」
頬をほんのりと染めて視線を持っているカップに落とすメルルさん。照れたその仕草がどことなくレオ君に似てて、すっごく可愛い。
「そういえば話は変わるが、メルル。以前言っていたお見合いはどうなったんだ?」
「えっ!? メルルさんお見合いするの?」
「マジで? ちょっとメルル、なんで私らに教えないわけ?」
「お、お見合いって言っても会ってお話しするだけで、そんな大袈裟なものじゃないのよ? センカちゃんはその話をしてる時にたまたまうちに来てただけで、別に隠してたわけじゃないの」
「ちょっと会ってお話しするのがお見合いな感じでしょ。それで? それで? 相手はどんな人?」
アリリアナが身を乗り出すので、私とトウカさんは輪の中心に置いていた茶請けをサッと避難させた。
「えっと……絵巻あるけど見る?」
「見る見る」
「あっ、私も見たいかも」
「私は既に見たが、もう一度頼む」
メルルさんは私達の反応に苦笑すると、立ち上がって棚から一枚の絵巻を取り出した。そしてそれをアリリアナへと手渡す。
「どれどれ……へ~。結構人の良さそうな感じじゃん」
私とセンカさんは左右からそれぞれアリリアナの肩に手を置いて、彼女が持っている絵巻を覗き込んだ。そこに写っていたのは優しそうな顔の青年だ。年は私達よりも少し上かな? 魔法使いの外見年齢はあまり当てにならないけど、見た目で判断するならそれくらいだ。
「確かに悪人には見えないが、外見だけで決めてかかるのも問題だろ」
「まだ会ってないんだよね?」
「ええ。五日後に会う予定なの」
畳の上に敷かれた座布団に座り直すメルルさんの頬は、まだちょっと赤い。
「五日後って言ったら私らはもう出発した後か」
「なんかごめんね。皆が大変な時に」
「何言ってんのよ私らだって仕事の合間に普通に遊んでるし。そうだ。聞いて聞いて、ドロシーがついにーー」
「わぁああ!? わぁああ!? アリリアナ、シー!」
「むぐ!?」
この油断のならない大親友が何を言い出す気なのかを察して慌てて彼女の口を塞ぐ。そんな私の両肩をセンカさんとメルルさんがガシリと掴んだ。
「ふ、二人とも?」
笑顔なのに圧が凄い。そんな二人の顔が近付いてくる。
「なかなか興味深い話だな。ゆっくり聞かせてもらおうか」
「そういえば今朝出かける時、妙に機嫌のいいレオと出会ったのだけど、まさかドロシーさん……」
「ア、アハハ」
久しぶりの四人での会話はとても賑やかなものになった。
賑やかな食事後。イリーナは時間が出来たので実家に顔を出してくると言って、ロドルドさんとドルドさんを連れて帰宅。私とアリリアナもお暇しようかと思ったんだけど、メルルさんから少し時間があるからお喋りをしないかと提案されたので、医学書に囲まれた彼女の部屋でお茶を片手に、私達四人は久しぶりに輪を作っていた。
「そうなるな。もっとも魔法部隊の第一目的はあくまでも討伐なのでポポルシェ王国で支援物資を渡したら二人とは別行動になるだろうがな」
「討伐する魔物ってそんなにヤバい感じなの? 教会が周辺各国に助力求めるなんて、よっぽどだと思うんだけど」
「詳しい詳細は今隊長が確認中だが、恐らくは最近増えている強化種だろうな」
数年前から続いている魔物の増加現象。状況は良くなるどころか、悪化の一途を辿っており、増える魔物の中に新種や強化種と言われる普通よりも強い個体まで現れ始めている。
「トウカさん、気をつけてね。油断しちゃダメだよ」
「分かってる。とは言っても教会からガルド殿も派遣されるようだし、そう難しい任務にはならないだろう」
「ちょっと。それが油断な感じだからね」
アリリアナの言葉に賛同しつつも、トウカさんの言うことにも内心頷いてしまう。ガルドさんがいるならどんな強化種が相手でも大丈夫だろう。
メルルさんがほうっと吐息を漏らした。
「皆、もうすっかり一人前の冒険者よね」
「ふふん。でしょう」
「そ、そうかな?」
あまり自覚はないけれどそう言ってもらえるのは悪い気がしない。ただ私達二人とは違って、皿の上の饅頭に手を伸ばすセンカさんは心外そうな目をメルルさんに向けた。
「冒険者の仕事をするのはあくまでもギルドの外注を軍が受けるからであって、私は王国兵士なんだが」
「勿論分かってるわよ。ただ皆どんどん逞しく変わっていくんだなって言いたかったの。なんだか置いてけぼりの気分だわ」
「何言ってんのよ。メルルだって成長してるじゃん。最近、補助士じゃなくて治癒使いとしてシフトに入ることもあるんでしょ?」
「緊急の時だけね。まだまだ勉強することがいっぱいあるし、治癒使いとしての腕なら私よりもドロシーさんの方が全然すごいわ」
「えっ!? ううん。そんなことないからね」
確かに治癒魔法は得意ではあるけれど、本職の人と比べようとは思わない。
「まっ、隣の魔法草はよく育って見えると言うやつだな。私から見たらメルルも以前よりずっと頼もしく見える」
「同感」
「うん。私も」
「そ、そうかしら」
頬をほんのりと染めて視線を持っているカップに落とすメルルさん。照れたその仕草がどことなくレオ君に似てて、すっごく可愛い。
「そういえば話は変わるが、メルル。以前言っていたお見合いはどうなったんだ?」
「えっ!? メルルさんお見合いするの?」
「マジで? ちょっとメルル、なんで私らに教えないわけ?」
「お、お見合いって言っても会ってお話しするだけで、そんな大袈裟なものじゃないのよ? センカちゃんはその話をしてる時にたまたまうちに来てただけで、別に隠してたわけじゃないの」
「ちょっと会ってお話しするのがお見合いな感じでしょ。それで? それで? 相手はどんな人?」
アリリアナが身を乗り出すので、私とトウカさんは輪の中心に置いていた茶請けをサッと避難させた。
「えっと……絵巻あるけど見る?」
「見る見る」
「あっ、私も見たいかも」
「私は既に見たが、もう一度頼む」
メルルさんは私達の反応に苦笑すると、立ち上がって棚から一枚の絵巻を取り出した。そしてそれをアリリアナへと手渡す。
「どれどれ……へ~。結構人の良さそうな感じじゃん」
私とセンカさんは左右からそれぞれアリリアナの肩に手を置いて、彼女が持っている絵巻を覗き込んだ。そこに写っていたのは優しそうな顔の青年だ。年は私達よりも少し上かな? 魔法使いの外見年齢はあまり当てにならないけど、見た目で判断するならそれくらいだ。
「確かに悪人には見えないが、外見だけで決めてかかるのも問題だろ」
「まだ会ってないんだよね?」
「ええ。五日後に会う予定なの」
畳の上に敷かれた座布団に座り直すメルルさんの頬は、まだちょっと赤い。
「五日後って言ったら私らはもう出発した後か」
「なんかごめんね。皆が大変な時に」
「何言ってんのよ私らだって仕事の合間に普通に遊んでるし。そうだ。聞いて聞いて、ドロシーがついにーー」
「わぁああ!? わぁああ!? アリリアナ、シー!」
「むぐ!?」
この油断のならない大親友が何を言い出す気なのかを察して慌てて彼女の口を塞ぐ。そんな私の両肩をセンカさんとメルルさんがガシリと掴んだ。
「ふ、二人とも?」
笑顔なのに圧が凄い。そんな二人の顔が近付いてくる。
「なかなか興味深い話だな。ゆっくり聞かせてもらおうか」
「そういえば今朝出かける時、妙に機嫌のいいレオと出会ったのだけど、まさかドロシーさん……」
「ア、アハハ」
久しぶりの四人での会話はとても賑やかなものになった。
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