異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第7章 集いし者篇

第82話 分断

　三体の苔むしたドラゴンはリュート達の前に立ちはだかり、大きな咆哮を上げる。

　「一体であの強さだったんだ。三体になったらかなり手強いぞ！」

　「グガァ！」

　三体いるうちの一体、真ん中に居る苔むしたドラゴンが魔方陣を展開する。

　「不味い！離れ…」

　バキバキバキッ！リュート達のいる場所に巨大な樹木何本もが生える。同時に地面が歪曲し、四人は分断された。

　「い、今のは…」

　「ニナは近くに居たか。大丈夫か！二人とも！」

　「うん！私は大丈夫！」

　「こっちは俺が何とかした！」

　ニナは近くにおり、俺と同じエリアに分断された。オリアナにはブレイズが着いているようなので安心だろう、しかし、クリアは一人で大丈夫だろうか。

　「グオォォォ…」

　目の前には苔むしたドラゴンが佇んでいる。翠怠竜の策略によって俺たちはバラバラでの戦いを余儀なくされた。

　「ちっ！早く二人と合流しないとな！本気で行くぜ！」

　「了解です。私も全力を尽くします！」

　リュートは神刀･夢幻白夜を抜く。ニナは二本のナイフを握り、構える。

　「グオォォォン！」

　苔むしたドラゴンが咆哮を上げると同時に、無数の樹木がリュートを目掛けて伸びる。

　「はぁ！どりゃあ！」

　ザクッ！ズバッ！リュートは刀を振り、植物を切り捨てていく。

　「ふっ！はぁ！」

　ニナも押し寄せる樹木を難なく回避し、回避と同時に切り落としている。

　「スゥゥゥゥ！」

　苔むしたドラゴンは息を思いっきり吸い込む。

　「出やがったな…！その手は食わないぜ！ニナ！あいつのブレスは危険だ！絶対に当たるな！」

　「わかりました！」

　バァァァ！苔むしたドラゴンの吐き出した息は触れたもの全てを苔にしていく。

　「甘いぜ苔ヤロウ！俺のスピードは前とは段違いだ！」

　「そんな単調な攻撃は私には当たりません」

　リュートは苔むしたドラゴンのブレスを左側に回避し、瞬間的に足を踏み込み、まだ息を吐き続けているドラゴンの背後に回り込んだ。ニナは右方向に回避した後、リュートと同じように右側から回り込んだ。

　「ナイスだニナ！」

　「一気に決めましょう！リュートさん！」

　「あぁ！わかった！」

　リュートが刀を構え、ニナはナイフを構える。

　「「黒紫の連弾デトネイト･パープル！」」

　ザシュッ！苔むしたドラゴンの首はリュートとニナの連携攻撃により切り落とされた。

　ズズゥ…。そのまま苔むしたドラゴンは地面に吸われるように消えていった。

　「よし、急いで二人と合流しよう！」

　「はい！」

　リュートとニナは樹木によって分けられた場所を脱出するのだった。