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第二部 第1章 リスタート篇

第10話 未知の力

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 「これはまずい!」

 ミハエル目掛けて緑ドラゴンのブレスが放たれる。ミハエルは持っていた剣を手放し、緊急回避する。

 「なっ!あれは!」

 ミハエルが再び剣の方に目をやると、剣は一瞬で苔むし、ボロボロになっていた。

 「あのブレスにはあんな効果があるのか。あれを喰らえば喰らったものは即座に苔むしてしまうという訳か…。なんて恐ろしい能力何だ、あのブレスが人に当たると考えただけでゾッとするな…」

 間違いなく翠怠竜のブレスは即死級の攻撃と言ってもいいだろう。俺はあのブレスで一瞬で死んだ奴を一度見ている。その恐ろしさは嫌でも分かっている。ミハエルとアグノラではあの攻撃を対処することは厳しいだろう。

 「ミハエル!それ以上は無理だ!命があるうちに戻った方がいい」

 「ああ、分かっている。だが、こいつに俺たちを見逃すような隙は無い。二人の最大の攻撃をアイツに叩き込み、怯んだ隙に逃げよう!」

 「わかった!」

 二人が攻撃の準備を始める。しかし、緑ドラゴンは今まで見た事の無い行動を始める。

 「グオォォォォォォン!」

 緑ドラゴンの足元に魔法陣が出現する。

 「何だ?」

 「!?」

 ボコボコボコボコ!二人の元に突然木が生えた。

 「ぐあぁぁぁ!」

 「きゃあぁぁぁ!」 

 生えてきた木が二人に命中し、二人は後方に突き飛ばされる。

 「グオォォォ…」

 緑ドラゴンは唸りながらこちらにターゲットを変える。

 「あ、あぁ…」

 クリアは恐怖で足がすくんでいる。

 (俺がやるしかない!)

 クリアの元から離れ、緑ドラゴンに近づく。

 「ぴぴぴぃ!(走れ!クリア!)」

 「あぁ…ドラゴンさん!」

 (俺が相手だドラゴン!)

 パァン!取っておいた爆裂する実で注意をそらす。

 「あの小さなドラゴンが相手しているのか」

 「今のうちに形成を立て直すわよ!」

 「ドラゴンさん…大丈夫だよね…」

 クリアは俺を信じて遠くに走り出した。

 「グオォォォ!」

 バサッ!緑ドラゴンが突然空に飛び立った。

 (コイツ…まさか!)

 緑ドラゴンは俺を無視してクリアの方を向く。

 「なっ!あのドラゴン、ここから誰も逃がさないつもりか!」

 「私たちで助けるわよ!」

 二人が立ち上がりクリアの元に駆けつけようとする。しかし、

 「何!蔦が絡まっている!」

 「しまった!これじゃあ間に合わない!」

 そんな二人を気にすることなく緑ドラゴンは真っ直ぐにクリアの元へ向かう。そして、クリアは遂に緑ドラゴンに追い抜かれた。緑ドラゴンはクリアの逃げ道の前に立ち塞がる。

 「う、嘘…そんな…」

 「スゥゥゥゥ…」

 ドラゴンが息を吸い込む。

 「逃げて!」

 「間に合ってくれ!」

 二人はようやく絡んだ蔦から脱出した所だった。しかし、今からではクリアの場所までは間に合わない。

 「ぴぴぴぃぃぃぃぃぃぃ!(俺を忘れてんじゃねーぞ苔野郎!)」

 「えっ!ドラゴンさん?」

 ドン!リュートは全力疾走してクリアの元に駆けつけ、その勢いのままクリアを突飛ばし、ブレスの範囲から逃がす。そして、逆にリュートがブレスの範囲に入る。

 (すまんなクリア)

 バァァァ!緑ドラゴンのブレスにより、リュートが一瞬で苔になった。
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