異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第17章 竜神達のバカンス篇

第201話 海、第二幕

　全員で楽しくバーベキューを終え、一息つくことにした。

　しばらく、ゆったりと海を眺めて過ごす。波の音がいい癒し効果だ。人間のころの俺だったら間違いなくこの時点で疲れ果てていた。もしかしたら、家に帰る勢いだったのかもしれない。だが、俺は今は竜神だ。体力はまだまだ有り余っているし、みんなと過ごすこの平和な時間を少しでも満喫したい。

　「よーし。そろそろ、また海で遊ぼうよ」

　クリアが立ち上がる。

　「そうですね」

　「休憩はこの位でいいでしょう」

　クリアの掛け声で立ち上がったのは二人。ルージュとローザだ。どうやら三人はまだまだ海で遊びたいようだ。

　「なら、これで遊んでみたらどうだ？」

　俺は以前に対決したビーチバレーのボールを創成した。
 
　「ありがとうリュート。使わせてもらうね」

　「何？どうやって使うの？」

　「ボールを落とさないように、みんなで打ち合えばいいんだよ」

　「なるほど。それなら私にも出来そうね」

　ローザは未知の物体に少し不安だったようだが、ルージュの一言で安心したようだ。

　「サレナとミラはどうするの？」

　「私はもう少しゆっくりさせて下さいませ」

　「私も少し休みたい気分だ」

　どうやら、サレナとミラの二人は少しお疲れのようだ。

　「了解。リュートはどうする？」

　「俺も少し休むよ」

　「わかった。行こうルージュ、ローザ」

　三人が再び海の方へ向かった。

　「いやぁ…若いな…まだまだ元気だ…」

　「皆様楽しそうで何よりですわ。私は、はしゃぎすぎて少し疲れてしまいましたわ」

　「サレナもか。実は私もなんだ」

　「なら、二人にはとっておきのリラックス方法があるよ」

　俺は持ってきた荷物から二枚のシートを取り出す。

　それを日差しが当たる所に敷く。

　「リュート様？これは一体？」

　「そのシートの上に寝そべるといいよ。波の音と日差しで気持ちいいんだ」

　「なるほど」

　「二人とも少しお疲れみたいだから、これで少し休んでくれ」

　「では、お言葉に甘えさせていただきますわ」

　「私も失礼する」

　むにょん。二人は胸を潰しながら、うつ伏せで横になる。

　「確かに温かくて気持ちいいですわ」

　「あぁ。これはかなり気持ちいいな…」

　二人はご満悦のようだ。

　そんな二人とは裏腹にまだまだ元気な元気っ子三人組はボールを打ち合って楽しそうに遊んでいる。

　「ルージュ！」

　「はいクリアさん！次はローザさん！」

　「おっと！危なかったわ！」

　ボールが、三人の手の上で跳ねている。それと同時にクリアとローザの四つのボールも跳ねていて中々の破壊力だ。　

　昼過ぎの浜辺にはまだまだ元気な声が響き渡るのだった。