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第14章 侵略する帝国篇

第163話 剣聖の所以

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 「うん?動ける!動けるようになったか!」

 麻酔が解け、ミラは起き上がる。

 一体どのくらいの時間動けなくなっていたんだろうか。連れていかれたルージュの元に急がなくては。更には、リュート達にも危険人物がいることを伝えなければならない。城がある中心部に向かう。

 「はぁぁぁぁぁ!」

 ズバ!ザクッ!ミラが行動を再開した時、城の前の広場で敵を切り続ける者がいた。

 「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

 「なんなんだ!この女!」

 「何時になったらへばるんだ?」

 サレナはリュート達を先に進ませた後、ひたすらに敵を切り続けていた。もうどのくらいの敵を切り裂き、どのくらい時間が経ったかわからなくなっていた。

 「はぁ…はぁ…。流石に量が多いですわね…」

 流石のサレナにも、疲れが見え始める。徐々に剣の勢いも鈍り始める。

 「今だ!スナイパー兵!」

 「了解した。既に準備は出来ている」

 サレナは気づいていないが、この国の兵士は皆、通信機を持っている。サレナにバレずに行動を起こすことが可能なのだ。

 サレナから遠く離れた高いビルの屋上で一人の兵士が特大のスナイパーライフルを構えている。

 「こいつは野生のドラゴンを軽く消し飛ばす威力がある。掠っただけでも命取りだ」

 スナイパー兵はスコープを覗き込む。そこには一人になっても懸命に戦う白き剣聖の姿があった。

 「可哀想になぁ。お仲間に置いていかれ、無限にも等しい兵士たちを一人で相手するなんてなぁ…。今、楽にしてやる!」

 スコープがサレナの頭部を捉える。

 「さらばだ。感情的な色彩!」

 トリガーが引かれ、高速で弾丸が射出される。弾丸は狙いから反れることなく真っ直ぐ、サレナの頭蓋目がけて飛んでいく。

 「甘いですわ!」

 スパッ!目に見えぬ程の速度の弾丸はいとも容易くサレナの剣に切り裂かれた。

 「馬鹿な!200メートルは離れているぞ!」

 「私を見くびらないで下さいませ!白き剣聖の名の元に、剣よ顕現せよ!」

 現れたD.D.ソードを掴む。

 「濃霧ディープミスト

 剣から濃い霧が溢れ出す。霧はサレナの姿を見失わせる。

 「どこだ!」

 「あの女はどこへ行った!」

 地上にいた兵士たちに混乱が走る。

 「ふっ…。そんなもので隠れたつもりか?我がライフルには霧用のスコープもあるのだよ」

 スナイパー兵はスコープを差し替えた。

 「さて、これであの女に穴を開けられるな」

 スコープを覗き込み、サレナを探す。見つけた。

 「自分も霧で方向が分からないだろ?こいつで大人しく眠れ!」

 二発目の弾丸が放たれる。しかし、またもや弾丸は弾かれサレナに当たらなかった。

 「何故、当たらない!」

 「あの辺りから音が…見つけましたわ!そちらに居ましたのね?」

 サレナはD.D.ソードを構える。

 「白き十字の光ホワイト・クロス!」

 十字形の斬撃は空中に停滞する。

 「解放パージ

 サレナの掛け声と共に、スナイパー兵は飛んできた斬撃に切り裂かれたのだった。
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