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第14章 侵略する帝国篇

第161話 罠

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 敵兵を全て吹き飛ばすと。砂塵の中から一人の男が現れる。

 「な!誰だ貴様は!」

 ミラが聞く。

 「初めまして。感情的な色彩のミラさんとルージュさん。私はソーマと申します」

 ソーマは丁寧な振る舞いで、ミラとルージュに挨拶する。

 「どうして私たちの名前を!」

 「何をおっしゃいますか。あなた方は今やこの大陸で知らぬものは居ないほどの有名人でしょう?」

 「貴様はここに何をしに来た。まさか私たちと戦うつもりか?」

 ミラとルージュは臨戦態勢に入る。
 
 「先程の戦いであなた方はだいぶ魔力を消費したはずだ。いやー、出来れば戦いは控えたいのですが、皇帝の頼みなのでね」

 そう言いながら、ソーマは何かをしようと画策する。

 「動くな!大人しくすれば命はとらない」

 ミラが弓を構える。

 「わかりました。?」

 ソーマは目を閉じる。脳内で様々な式が展開する。

 「考案インベント・麻酔。実行エクスキューション・投与」

 ガクン!ミラは膝から崩れ落ちる。

 「何…急に…か、体が…動か…」

 ミラの体は徐々に麻痺し、次第に話すことも出来なくなった。

 「先生!よくも先生を!」

 ルージュが杖を構える。

 「任務対象を傷つけ訳にはいかないので、あなたには大人しく眠って貰います」
 
 「考案・睡眠薬。実行・投与」

 「な…」

 ドサッ!ルージュは一瞬で深い眠りについた。

 「さて、任務完了だ」

 「待て…ルージュ…に…何を…」

 「まぁ口封じはされていませんから話してもいいですよ」

 ソーマはルージュを連れ去ろうとした目的を話し出した。

 「一言で言えば彼女、ルージュは人間ではないんですよ」

 「!?」

 ミラは驚いたが声が出なかった。

 「出生に秘密があるという訳です。では、私は仕事に戻らなくてはならないので失礼しますね」

 「待て…」

 ソーマはルージュを抱えて、城に戻っていく。

 「今…だ!」

 ソーマが後ろを向いたと同時にソーマの脳天に矢が刺さった。ミラは予め撃った矢を空中で留め、誘導を使ってソーマに当てた。

 「よし…やったか…」

 朧気な思考でも確かにソーマを射抜いたことはわかった。

 「やはり感情的な色彩は侮れませんね」

 ミラは背後から声がするのを感じた。

 「ば、馬鹿な…」

 私は何時、確実にソーマを射抜いたはずだと錯覚していた?いや、これは違う。のだ。

 「考案・幻覚薬。実行・投与」

 更に思考が出来なくなってきた。

 「じゃあ。帰りますね」

 「く、そ…ルー…ジュ」

 ミラは気を失った。
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