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外伝 新米転移者の異世界生活 2

その9 相変わらず運が良すぎる件

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 「こちらへ向かいましょう」

 「わかった」

 俺達はエストの家を出て、西に向かった。ムガ王国西門から外に出て、ダール王国へ向かうようだ。

 「私が案内しますね」

 「ありがとう。頼むよ」

 もちろん俺は道なんてわからないので、エスト頼りになってしまう。

 道中にはモンスターも居る。経験値を得るいい機会なので、倒して進んで行きたい。

 ムガ王国を後にしてしばらく進むと、モンスターを発見した。どこかで見たことがあるモンスターだ。

 「カナトさん!あのスライム希少種ですよ!」

 やっぱりそうか。あのうっすら光った鈍い黄金のスライムには見覚えがある。

 「エスト。ちょっと待ってて」

 エストを隠れて待機させ、背後からスライムにゆっくり近づく。偽装の腕輪を装備しているので、気づかれることは無い。

 「経験値、頂き!」

 スライムは意図も容易く切り裂かれた。体に力が流れ込む。

 『希少種の撃破を確認しました。追加報酬が付与されます』

 そして、目の前に宝箱が現れる。

 「凄いですよカナトさん!希少種は滅多に出現しないんですよ」

 希少種というのはそんなに珍しいものなのだろうか、俺はもう既に何体かの希少種を倒しているのだが…

 「開けてみよう」

 宝箱の中には腕輪が入っていた。鑑定を使って見よう。

 〔超会心の腕輪〕:クリティカル攻撃の威力が跳ね上がる。

 うーん。強いのだろうか。俺は既に会心というスキルを持っている。重ねがけは出来るのだろうか。

 「エスト?これは俺が装備していいか?」

 「はい。もちろんです。カナトさんの手柄ですから」

 じゃあ遠慮なく左腕にはめる。右腕には偽装の腕輪も装備しているので、両腕に腕輪を装備した状態になる。だからと言って動きにくい訳ではなく、腕輪はしっかりと腕にフィットし、邪魔にはならない。

 希少種スライムを撃破し、ダール王国への歩みを進める。歩くには少し遠い距離なので、途中の街で休むことになるだろう。そんなことを考えながら歩いていると、

 「カナトさん!あれ!」

 エストが驚いた声を上げる。

 「どうした?」

 エストが指さした先を確認すると、一匹のモンスターが居た。

 〔火鳥(フレアバード)〕

 鳥だ。文字通り火の鳥と言った感じの見た目だが、火の色が金色だ。

 「エスト?あれがどうしたんだ!」

 「カナトさん!あれ希少種ですよ!希少種!」

 「また希少種か?本当に希少種ってレアなのか?」

 「レアですよ!私も見たのは今日が初めてです!」

 これもスキル強運の影響なのだろうか。まぁレアアイテムをドロップするなら倒さない手はない。

 「カナトさん。火鳥は物理攻撃があまり効きませんよ?」

 「まぁ見てて」

 バレないように背後から火鳥に近づく。

 「オラァ!」

 ズバッ!火鳥は断末魔を上げることなく力尽きた。

 「ラッキー!まぁ俺にかかればこんなもんさ」

 「カナトさん凄いです…」

 『希少種の撃破を確認しました。追加報酬が付与されます』

 宝箱が現れる。開けると中にはネックレスがあった。

 〔奇跡の首飾り〕:獲得経験値が増加する。

 またまた便利なアクセサリーだ。これももちろん装備する。

 「さて、先に進もうかエスト」

 「はい。わかりましたカナトさん」

 こうして、カナトとエストはダール王国へ歩みを進めた。だが、この時のカナトは自身のステータスが変化していることに気が付いていないのだった。
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