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第11章 魔族大戦篇

第130話 魔吸のサック

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 「じゃあアタイから行くよ!魔力解放マジック・オープン

 サックの体の周りを三つの玉が回り出した。

 「何をしたか知らないが、全て貫いてやる!破滅の豪雨ルイン・ヘビーレイン!」

 風と雷が付与された大量の矢が拡散と連射により、豪雨のごとくふりそそぐ。

 「私も先生に続きます!擬似魔法フェイク・マジック・アイスバーン!」

 カチカチカチカチ!ルージュの指定した範囲が瞬時に凍りつく。サックは、矢が大量に突き刺さったまま、氷の中に閉じ込められた。擬似魔法は、一時的に適性以外の魔法が使えるというものだ。つまり、ルージュの知っている魔法ならば、ほとんどが再現出来る。

 「流石だなルージュ」

 「魔法なら先生にも負けませんよ!」

 氷が砕け、中からサックが出てくる。

 「さみぃ!だが、いい魔力だねぇ!」

 サックの周りを回っている玉に魔力が吸われていた。

 「なっ!なんだあの玉は!」

 「アタイの得意技『魔吸玉』さ。直で吸うよりは効率は下がるが、大抵の魔力攻撃なら吸うことが出来るのさ。そして、こいつはこんなことも出来る!」

 玉が発光したと思ったら、ミラの足元が凍りつき、動けなくなっていた。

 「な、何ぃ!」

 「吸収した魔力はアタイの自由にできるのさ!つまりアタイは、魔法を喰らえば喰らうほど強くなるのさ!」

 「そんな!私の攻撃じゃ…」

 「諦めるなルージュ!やつにも限界があるはずだ」

 「遅い!」

 「何!」

 ミラが気づくと、ルージュの後ろにサックが回り込んでいた。

 「おっと動くなよ?」

 首元に先程ミラが放った矢をルージュの首元に突きつけていた。

 「おい!魔族!何をするつもりだ!」

 「いやぁ、こいつの魔力が美味そうだから頂こうかと」

 「やめろ!ルージュから離れろ!」

 「私を舐めないで!擬似魔法・ヘルサンダー!」

 首元の矢を伝わり、サックが感電する。

 「馬鹿だねぇ!」

 サックは感電した電撃を取り込み、右手で放つ。

 「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ミラに電撃が行く。

 「先生!」
 
 「あ、あぁ、ルージュ…」

 「私の性で…」

 「気にするな…私は大丈夫だ…」

 「だから言ったんだ!アタイに魔法攻撃は無駄無駄!それより大人しくアンタの魔力を吸わせてよ?大事な先生を失いたくはないだろう?」

 「そ、それは…」

 ルージュが無抵抗になる。

 「ダメだ!ルージュ!呑まれるな!」

 「じゃあ遠慮なく、魔力を頂こうじゃないか!」

 ルージュの顔に手を当て、顔を近づける。

 「やめろぉぉぉぉ!」

 「んん!」

 ルージュは唇を奪われた。

 「ぢゅうぅぅぅぅぅぅ!あぁ!凄い!なんて濃い魔力なの!たまらないよ!」

 「あぁ…ルージュ…」

 ルージュの魔力が、サックにどんどん吸われていく。

 「美味い!アンタ最高だ!極上の魔力だ!」

 ルージュの魔力は純粋で濃く、サックは一心不乱に吸い続けた。すると、

 「ん?なんだ?体が動かない…」

 サックの動きが止まる。

 「んん!」

 ルージュは、入り込んできていたサックの舌を噛みちぎる。

 「ぎゃあああああああああ!」

 「ルージュ!大丈夫か!」

 「はい!何とか」

 そう言って、凍りついていたミラを炎で解凍する。

 「アンタ!アタイに何をした!」

 「美味しすぎるものは、時として毒になります!あなたは、大量の濃い魔力を急に取り込んだ。だから、体が拒否反応を起こしたんですよ!」

 「そ、そんな馬鹿な!アタイは魔吸のサックだ!アタイが魔力に負けるだと?」

 「よくも先生を傷つけ、私の魔力もとい唇を奪ってくれましたね?絶対に許しません!」

 ルージュの体から、魔力が溢れ出す。

 「おい?ルージュ?」

 「先生は離れていてくださいね?」

 この時、ミラは思った。このルージュはマジギレモードで近くにいると自分も危険だと。

 「わかった!離れる!」

 ミラが退避する。

 「動け!アタイの体!クソ!」

 「無駄ですよ?そんなに魔力が好きなら、沢山分けてあげますよ?」

 「や、やめてくれ!も、もう十分満足した!」

 「遠慮せずにどうぞ♪」

 サックの体を囲うように無数の魔方陣が出現した。

 「ひ、ひぃ!」

 「全魔法オールマジック収束コンバージェンス

 「終焉ジ・エンド!」

 サックに大量の魔力の爆発が放たれる。サックはその間も魔力を取り込み続け、やがて許容量を超え爆散した。
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