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第11章 魔族大戦篇

第124話 魔剣のズーグ

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 「では、行きましょうか」

 ズーグが剣を取る。サレナも既に剣を抜き、構えている。
 ふっとズーグの視界からサレナが消える。

 「速いですね!」

 ガキィン!サレナが一瞬で背後に回り、攻撃を仕掛けた。しかし、ズーグの剣は自動で動き、所有者の身を守った。

 「剣が独りでに!」

 「この剣は『意志が宿った』魔剣です。以後、御見知りおきを」

 「魔剣ですか。相手にとって不足なしですわ。はぁぁぁぁ!」

 サレナは怒涛の連続攻撃を繰り出す。その剣速は人間では目指できないほどだ。しかし、魔剣はその動きについて行く。

 「私の剣速に着いてこられるなんてなかなかやりますわね」 
 
 その時、ズーグとは違う声が聞こえてきた。

 「ソノコウゲキ、オボエタゾ」

 「なっ!剣が喋りましたわ!」

 「先程申しあげた通り、この剣は意志を持っています。自ら学習する剣という訳です」

 「オレハサイキョウダ!」

 「そうですね。貴方の力を見せてあげましょうか」

 先程までサレナの高速剣撃を弾いていただけだった、魔剣は、徐々に攻撃をいなすようになって来た。

 「貰いました!」

 ズーグは、サレナの剣速をほんの僅かな時間で上回った。

 「そんな…私の鍛え上げた剣撃に…」

 「私は、魔剣の能力で強敵に出逢えば出会うだけ強くなることが出来ます。貴方は強い。だが、既に私たちは貴方を超えた!」

 サレナの剣が弾かれる。

 「ズーグ・スラッシュ」

 魔剣により、サレナが切り掛かられる。

 「貰いましたよ!」

 「だが、甘いですわ!」

 サレナは体を上手くひねり攻撃を回避した。

 「まさか!この攻撃が意図も容易く避けられるとは、驚きました…」

 「オイ!ズーグ!コイツスゴクツヨイゾ」

 「わかりました!私も本気を出しましょう」

 「魔の力よ、剣の力よ、私に。全ては剣により無に帰る」

 ズーグが詠唱をし始め、魔剣から魔力が溢れ出す。その魔力がズーグを包む。

 「イキナリイイノカ?ズーグ?」

 「ええ。彼女はまだ本気じゃないみたいです。どうやら私たちが本気を出しても勝てるかどうかわかりませんよ…」

 サレナはまだまだ余裕そうだが、ズーグは攻撃について行く魔剣の成長にだいぶ魔力を使わされた。サレナの剣は、それほどまでに凄いものだった。

 ズーグの右腕に魔剣が絡みつく。どうやら、魔剣と一体化するようだ。やがて、ズーグの右手は魔剣となり、凄まじい魔力を放っている。

 「私が勝てないと思った相手は貴方が初めてですよ!ですが、魔王様のために負ける訳には行きません!」

 「私も負けられませんわ!」 

 そう言うとサレナも詠唱を開始する。

 「白き剣聖の名の元に剣よ顕現せよ!」

 D.D.ソードが現れる。サレナは通常の剣と魔法武器、二本の剣を構える。

 「この一撃で決めさせて頂きますわ!」

 「貴方との戦いはとても興味深い!こんなに心が踊るのは初めての体験です。だから、私は貴方を超え、この剣で世界を取ります」

 ズーグの右腕の剣が紫色に発光し出す。

 「はぁぁぁぁぁぁぁ!ズーグ・ブレイカー!」

 振り下ろされた重い一撃は大地を裂く程の威力だ。しかし、サレナはそれすらも超える。

 「白き双翼の調ホワイト・ツインズ!」

 サレナの二刀流の剣撃は、ズーグの右腕を魔剣ごと切り飛ばしたのだった。
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