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第9章 魔族襲来篇

第99話 夢幻

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 ブランは魔力の光に包まれ、巨大化し始める。どこかで見たような展開だ。場所まで同じのような気がする。

 「俺は魔王様に仕える魔界六魔の一人、魔拳のブランだ!こんな所で負ける訳には行かない!」

 魔界六魔というのがあるのか、多分四天王みたいなものだろうか。

 かなりイケメンだったブランの見た目が、どんどん変わっていく。お世辞にもかっこいいとは言えない見た目に変化した。RPGでよく見る第二形態みたいなものだろうか。それをやるのは大魔王の気がするが、まぁ気にしても仕方ない。

 「この姿になったからにはお前はもう終わりだ!」

 10メートルはありそうな巨体から禍々しいオーラが放たれている。人型は人型なのだが、横に大きい。その姿は正しく壁のようだ。

 「ぐおぉぉぉぉぉぉ!死ねぇ!」

 ブランは思いっきり地面を殴る。地面がひび割れたと同時に、激しい衝撃波が俺を襲う。思った以上に衝撃波は強く、俺は吹き飛ばされた。

 「どうだ!これが六魔の力だ!勇者もたいしたことがないな!」

 吹き飛ばされた衝撃で眼鏡が取れる。

 「俺から眼鏡を外させるとは、なかなかやるな。これで、こっちも少しは力を出せる」

 そう、俺はこれっぽっちも本気を出していない。まぁ正確に言うと、出したくても出せないが正しいのだが。それでも進化したことにより、多少のステータスは上がり、スキルの制限も少なくなってきた。こいつを倒すことで、俺は元の力を出せるようになる。そんな確信がある。だから、少し本気を出す。

 「な、何だと!貴様、まだ力を隠していたのか!」

 明らかに強くなった俺を見て、驚くブランを尻目に、まずは真眼で相手を確認する。

 名前 ブラン
 種族 上級魔人・超化(ハイデーモン・スーパー)
 rank  842
 称号 魔拳魔人

 神号 魔界六魔[第五座]
 
 技能 拳術(極) 付与術(拳) 召喚術 超化 魔力強化

 かなりの高ランクだ。だが、スキルは少なめ、よって攻略方法はある。そう言えば、俺には試してみたいものがあった。

 「さて、これならどうかな?」

 夢幻白夜が光を放つ。



 「くそっ!これでも食らえ!飛拳!」

 魔力が篭もった拳が実体をもって飛んでくる。さながら、ロケットパンチのようだ。

 「無駄だ!」

 飛んできた拳は刀によって切り裂かれる。

 「ふっ。それを読んでいた!」

 拳は真っ二つになり、飛んでいき地面に着弾する。その拳は地面にぶつかると同時に激しい衝撃波を放つ。

 「何ぃ!」

 後ろからの衝撃で、リュートは刀と銃を落とし、ブランの方向へ吹き飛ばされる。

 「貰ったぞ!勇者!」

 ブランは、吹き飛ばされてきたリュートを狙う。

 「剛牙!」

 鋭いパンチが放たれ、リュートの体を貫く。そのままリュートは体に穴が空いたまま、地面に転がる。
 
 「はぁはぁ…勝った!勇者に勝ったぞ!ハッハッハッハー!」

 ブランが勝ち誇った笑いを放つ。


 
 「という夢を見たのさ」

 ブランの心臓が後ろから刀で貫かれる。

 「ぐはぁ!な、何が起こった!」

 ブランの後ろにはさっき殺したはずの勇者が立っていた。

 「夢幻白夜の能力『夢幻』の味はどうだった?」

 「げ、幻術か!これほどまで精巧なものを作り出せるとは…」

 「じゃあ終わりだ!」

 刀を挿したまま、上に切り裂く。

 「くそぉぉぉ!俺の野望がぁぁぁぁ!勇者ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 叫びを上げながらブランは真っ二つになり、消えて行った。
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