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第6章 竜王の闘い篇

第66話 凶竜

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 鎖に繋がれた四足歩行の巨大なドラゴンが、兵たちの後ろから現れる。

 「我々が捕獲したモンスターの中でも一番強く、凶暴な個体だ。貴様らでは苦戦は間違いなしだ!」

 凶暴なドラゴンは明らかに高ランクだ。500は超えているだろう。このドラゴンは凶竜(エヴィルドラゴン)だ。この大陸に数匹しかいないレアな種族だ。その凶暴な性格で数多の冒険者を屠ってきた。

 「行け!」

 ドラゴンが鎖から開放される。ドラゴンは兵士たちを食べ始めた。人間が御せるようなモンスターでは無いのだ。

 「何をしている!敵は向こうだ!」

 「やめろ!」

 「うわー!」

 兵士の数がどんどん減って行く。徐々にドラゴンが四人に間合いを詰める。

 「兵士の後は私たちの番ですわ」

 「あれは結構骨がありそうだ」

 「私たちなら大丈夫です!」

 「新たな研究に繋がります」

 兵士たちが左右に展開し、ドラゴンの道を作る。ドラゴンの視界に四人が映る。

 「私からいこう」

 ミラが弓を構える。

 「先生!援護します!」

 ルージュは杖をかまえる。

 「付与・風、雷」

 矢が放たれる。

 「拡散、追尾」

 放たれた矢が拡散し、数が増える。増えた矢が全てドラゴンの方を向く。
 ドラゴンが黒い息を吐く。黒い息は煙のようになっていて、ドラゴンの体を徐々に覆う。

 「ドラゴンがバリアを纏ったぞ!これならば無敵だ!」

 兵士たちが歓声の声を上げる。凶竜の闇纏(ダークネス・クロール)は剣や魔法を通さない絶対の防御と言われている。この状態になった凶竜を倒した報告は今まで上がっていない。

 だが、彼女らのレベルは桁違いだ。

 「三重の壁トリプル・ウォール

 矢の飛んでいく先に、火、光、闇の三属性の壁が出来る。その壁を矢が通過すると、矢にその三属性が付与された。ミラとルージュが声を揃えて言う。
 
 「「合体魔法矢マジック・ユナイト・アロー」」

 矢に五属性が纏う。

 「「矢貫五重奏クインテット・ペネトレーション!」」

 無数の矢がドラゴンの装甲を貫通し、刺さる。

 「ゴガァァァァ!」

 凶竜が怒りの咆哮を上げる。

 「馬鹿な…凶竜の黒纏を破っただと…」

 敵の指揮官が言葉を失う。凶竜の黒煙が消える。しかし、凶竜は矢が刺さりながらも次の攻撃に移る。凶竜の口元に、強大な魔力が集まり出す。凶竜の残りの魔力全部だろう。凶竜の最強技「凶砲(エヴィル・ブラスト)」だ。凶竜の凶砲は、ここら一体を軽く吹き飛ばす威力がある。この技を目撃した人物は数えられるほどしかいない。何故なら、全て死ぬからだ。

 「ハッハッハ!いいぞ凶竜!そのまま奴らを消し飛ばしてしまえ!」

 「ここは私に」

 マギが前に出る。そして、先程の大砲に触れる。

 「変形ディフォメーション

 大砲は巨大な盾に変形する。そのまま、四人の前に配置される。

 「そんな盾では防げんぞ!行け凶竜!」

 凶竜の口からビームが発射される。

 「機械的反射メカニカル・リフレクション

 正面から盾に当たったビームが綺麗に左右二つに分かれ、飛んでいく。

 「「ぐわぁ!」」

 敵兵が一瞬で消え去る。

 「何?何をした!」

 「この盾は魔力を完全反射します。魔力の塊ならば、このように」

 ドラゴンの背後にいる指揮官だけが残った。 

 「流石ですわマギ様。私がトドメをささせて頂きますわ」

 そう言うとサレナは自分の剣を抜く。右手に元から持っていた剣、左手に魔法武器D.D.ソードを持っている。魔法武器は進化する武器だ。持ち主の要望には答える。

 「接続コネクト!」

 剣に魔法武器をぶつける。すると、剣が合体し、変形していく。剣は巨大な大剣となる。

 「白聖魔大剣ホーリー・ブレイド!」

 剣を掴み、構える。一瞬で凶竜に間合いを詰め、剣を振りかぶる。

 「白き剣の切り裂きホワイト・スラッシュ

 魔力を纏う刀身は鋭い切れ味を誇る。なんの抵抗もなく、凶竜は真っ二つに切り裂かれた。

 「馬鹿な!凶竜だぞ!負けるわけが…」

 四人に指揮官は囲まれる。

 「降伏を」

 「もう終わりだ。諦めろ」

 マギとミラが降伏を促す。

 「ふっふっふ…」

 「何がおかしい!」

 「俺たちにはメルーグ様がいる!あの方が居る限り俺たちに負けはない!メルーグ様万歳!」

 そう言うと、指揮官は自分の命を絶った。

 「メルーグにはなにか秘密があるのか?」

 「リュートさんたち大丈夫でしょうか」

 こうして、メルーグ帝国の兵は全滅した。しかし、皇帝の元に向かうリュートたちにも刺客が現れるのだった。
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