上 下
70 / 529
第5章 竜王の暮らし篇

第58話 特別な関係

しおりを挟む
 ミラとの一日を満喫した後、数日が経過した。クリアと俺が休みの日になった。例のごとく、クリアにも聞く。

 「クリアなんでも言ってくれ、出来ることならなんでもやるぞ?」

 「う、うん」

 何やら元気がないように見える。

 「どうした?体調が悪いのか?」

 「大丈夫!なんでもないよ!リュートと二人きりかぁ…せっかくだから街に出かけようか」

 「了解」

 クリアと街に出かける。服を買ったり、美味しいものを食べたりして過ごす。しばらく経過したが、やはりクリアはあまり元気がない。

 「やっぱりクリア様子が変だ。どうしたんだ」

 「えっ。そ、そんなことないよ!元気だよ。次の所に行こうよ」

 その後もしばらく二人で時間を潰すが、クリアは元気がないままだ。クリアは何かに悩んでいるようだ。相談に乗った方がいいのだろうか。下手に踏み込んで、余計な傷を付けたくはない。だが、クリアにはやはり笑顔になって貰いたい。

 「クリア、こっち来て」

 人通りが少ない落ち着ける広場に着く。

 「座って」 

 「う、うん」

 切り込もう。

 「クリア、俺に相談してくれないか?何かに悩んでいるんだろう?」

 「で、でも…リュートに嫌われたくない」

 「俺はお前を嫌ったりしない!いつまでもずっと一緒にいてやる!」

 俺にしては珍しく、熱くなる。

 「わかったリュートに話す」

 黙ってクリアの話に耳を傾ける。 

 「わ、私…リュートと特別な関係になりたいの!」

 「リュートが周りに女の子を増やすのは別に何とも思わない。だけど、私が飽きられて捨てられないかと不安になっちゃう時があるの。リュートの事は信じているけど私、怖いの」

 「私はリュートのことを愛してるの!私のことをリュートは愛してくれるの?私と結婚してくれないの?」

 クリアは泣きそうな顔で言う。

 「言っちゃった…」

 もう元の関係には戻れない。パーティメンバーと秘書、その一線を越えようとしている。 

 「はっはっは!そんな事で悩んでたのか?」

 「どうして笑うの?」

 「だって…」

 「だって?」

 「もう俺の嫁みたいなものじゃん?」

 「よ、嫁?私が?」

 だってもう肉体関係持ってるし、一緒の家に住んでるし、もう結婚してるようなものだ。これまでもこれからもクリアやみんなを手放すつもりは毛頭ない。

 「俺は最初からそのつもりだったんだけど、クリアには言わないと伝わらないようだから言うよ」

 「クリアはもう俺の大切な嫁だ。誰にも渡さないし、お前を手放したりしない」

 「あぁリュート、リュートぉ!」

 泣いて抱きついてくる。

 「嬉しい。嬉しいよ」

 この世界の結婚定義はガバガバだ。手続きとかもないし、決まりもない。だから俺はすっかり結婚した気でいたのだが、クリアたちには言わなければ伝わらないことのようだ。

 「これまでもこれからもクリアは俺の嫁だ」

 「うん。ありがとうリュート。でもリュート?サレナたちにも言ってあげた方がいいよ?」

 「えっ?」

 「だって私たち一度もリュートと結婚してるなんて思ったことないもの」

 えー。全員?伝えることって大事だ。

 「結婚するならいっぱいしないとね?リュートに箔が付くし」

 この世界では一夫多妻は普通のようだ。うーん。パーティメンバーに入れて肉体関係を持った時点で、俺の嫁になったようなものだと思うんだが。

 「じゃあリュート?全員分の指輪買ってね?」 

 「わかった。買おう」

 こうして、一夜にして4人の妻が出来た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

創造眼〜異世界転移で神の目を授かり無双する。勇者は神眼、魔王は魔眼だと?強くなる為に努力は必須のようだ〜

ファンタジー
【HOTランキング入り!】【ファンタジーランキング入り!】 【次世代ファンタジーカップ参加】応援よろしくお願いします。 異世界転移し創造神様から【創造眼】の力を授かる主人公あさひ! そして、あさひの精神世界には女神のような謎の美女ユヅキが現れる! 転移した先には絶世の美女ステラ! ステラとの共同生活が始まり、ステラに惹かれながらも、強くなる為に努力するあさひ! 勇者は神眼、魔王は魔眼を持っているだと? いずれあさひが無双するお話です。 二章後半からちょっとエッチな展開が増えます。 あさひはこれから少しずつ強くなっていきます!お楽しみください。 ざまぁはかなり後半になります。 小説家になろう様、カクヨム様にも投稿しています。

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!! 国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。 幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。 彼はもう限界だったのだ。 「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」 そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。 その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。 その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。 かのように思われた。 「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」 勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。 本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!! 基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。 異世界版の光源氏のようなストーリーです! ……やっぱりちょっと違います笑 また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

処理中です...